2025年3月29日(土)にバンド初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライブを行なったLOSTAGE。あいにくの雨模様だったが、会場には大勢のファンが詰めかけ、通常の3人編成はもちろん、ゲスト・ミュージシャンを加えた6人編成でもステージを披露した。本記事では、ライブで使用されたカスタムショップ製のテレキャスターとAmerican Vinatgeシリーズのジャズマスターを五味拓人(g)の解説付きでご紹介。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
Takuto’s Guitars
Fender Custom Shop
1963 Telecaster Relic
6人編成用に導入したテレキャスター
2020年に中古で購入した、カスタムショップ製の63年リイシュー・テレキャスター。今回のライブでは、Achico(Ropes)、Koichi、Kazuya Hori(AYNIW TEPO)の3人が加わった6人編成時のみで使用。
本器は6人編成用のギターだが、レコーディングでは3人編成の楽曲でも使用することがあるという。基本的にチューニングはレギュラーに設定。
もともとのピックアップの出力が弱かったため、リアのみVooDoo PickupsのTE50 Fatに交換。ブリッジ・サドルはブラス製に交換されていた。
ピックアップはリアとフロントを楽曲やフレーズによって使い分けている。「HARVEST」ではギター・ソロでフロントに切り替え、クリーンなサウンドでソロを弾いていた。
使用楽曲(2025年3月29日@日比谷野外大音楽堂)
- 「かぎろひ」(Capo 2)
- 「Les Misérables」(E-A-D-A-B-E Tuning ※3弦のみ全音上げ)
- 「グレイアイドフィッシュ」(Capo 3)
- 「MESSAGE」(Capo 2)
- 「HARVEST」(Capo 5)
- 「残像」(E-A-D-A-B-E Tuning ※3弦のみ全音上げの状態でCapo 2)
Fender
American Vintage ’62 Jazzmaster
最新のモードを担うジャズマスター
2022年に購入した、American Vintageシリーズの62年リイシュー・ジャズマスター。この日のライブでは、「巡礼者たち」、「平凡」、「ひかりのまち」といった最新の楽曲で使用された。
チューニングは基本的に半音下げにセッティング。ピックアップはリアがメインで、「平凡」ではミックス・ポジションでジャキジャキした音にしているとのこと。
以前からジャズマスターへの興味はあったそうだが、数年前まで日本でジャズマスターを使用するギタリストが多く、ブームが少し収まったタイミングでようやく導入できたと語る。独特のアームの効きが気に入っているそうだ。
もともと搭載されてたピックアップの出力が弱く、リアとフロントどちらもSeymour DuncanのSJM-2bというパワーのあるモデルに交換されている。また、ブリッジ・サドルは購入時からRetro Tone Pickupsのブラス・サドルに交換されていたとのこと。
演奏中、右手がボリューム・ノブに当たってしまうことが多く、トーン・ノブの位置にボリューム・ノブを移動。トーン・ノブの配線は生きているが、ノブが表面に出ないように埋められている。プリセット・コントロールの配線はそのままにしているが、使用することはないので、スイッチがオンにならないようにテープで固定。
使用楽曲(2025年3月29日@日比谷野外大音楽堂)
- 「巡礼者たち」(D♯-G♯-D♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※6-5-2-1弦を半音下げ、4-3弦を半音上げの状態でCapo 2)
- 「平凡」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態で6弦以外の1〜5弦のみCapo 2)
- 「ひかりのまち」(D♯-A♯-D♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※6-2-1弦を半音下げ、5-4-3弦を半音上げの状態でCapo 2)
Interview
詰まっているというか、
木の感じがあるんですよ。
テレキャスターは6人編成用ですか?
レコーディングでは3人編成でも使うこともあるんですけど、これは6人編成用に中古で買いました。今日のライブでも6人編成の時はこのテレキャスを弾きます。カスタムショップの63年モデルですね。
テレキャスターは色々と試したんですか?
いや、これもただ“かっこいい!”というだけで(笑)。
黒いギターがお好きなんですね。
そうですね。ポリだとキレイすぎるんですけど、黒のラッカー塗装の古着っぽい感じが凄く好きです。
改造点はありますか?
ピックアップですね。もともとのピックアップはちょっとビンテージに寄りすぎだったというか、出力が弱めだったので、リアだけVooDoo PickupsのTE50 Fatという出力が高めのものに換えています。

ピックアップはリアがメインなんですか?
フロントを使う時もあって、半々ですね。
サウンドの印象は?
乾いていて、ビンテージっぽい音がします。詰まっているというか、木の感じがあるんですよ。ちょっと箱モノ的というか。それと凄く軽いんです。
ジャズマスター特有の
グニャっとしたアームが使いたくて導入しました。
ジャズマスターの詳細も教えて下さい。
American Vintageシリーズの62年モデルです。3年くらい前に買いました。
ジャズマスターを導入しようと思ったキッカケは?
ずっと弾いてみたいと思ってたんですけど、少し前までは若い子や先輩でも使っている人がけっこう多くて、ちょっと敬遠してたんです。で、そろそろ僕も使ってもいいかなって(笑)。あとアームの独特の感じがけっこう好きなんですよ。リッケンを弾いていてもネック・ベンドで揺らしていたんですけど、ジャズマスター特有のグニャっとしたアームが欲しくて導入しました。
ボリューム・ノブがなくなっていますが、これは?
弾いている時にノブを触っちゃってボリュームが下がることがあったので、トーン・ノブの場所にボリューム・ノブを移動させました。ここだとリッケンのボリューム・ノブと同じくらいの位置になってるんですよ。その代わりにトーン・ノブが本来のボリューム・ノブの場所にあるんですけど、配線自体は生きています。

プリセット・コントロールの配線はそのままですか?
はい。生かしてますけど使ってないですね。
ピックアップはオリジナルですか?
これも、もともとのピックアップが力不足で、Seymour DuncanのSJM-2bっていうジャズマスター感が薄くなっちゃうけどパワー感があるやつに交換しました。リアとフロント両方を交換しています。

よく使うピックアップ・ポジションは?
基本はリアなんですけど、何曲かでミックス・ポジションを使います。僕、ギターってリアで音を作るのが当たり前だと思っていて、フロントとセンターで作るのが得意じゃないんですよ(笑)。
ジャズマスターは今日のライブではどの曲で使いますか?
1曲目の「巡礼者たち」ですね。これはアームを使いたかった曲です(笑)。あとは後半にやる新曲の「ひかりのまち」という曲。それと「平凡」っていうヘヴィな曲ではミックス・ポジションにして、ジャキっとした音で弾いています。
『PILGRIM』(2023年)のレコーディングも使ったんですか?
このアルバムはジャズマスターで録りました。アルバムごとにギターを買う癖があるんですよ。
2025年3月29日(土)日比谷野外大音楽堂
【Setlist】
01. 巡礼者たち
02. こぼれ落ちたもの
03. My Favorite Blue
04. BLUE
05. ポケットの中で
06. 母乳
07. Flowers/路傍の花
08. かぎろひ(6人編成)
09. Les Misérables(6人編成)
10. グレイアイドフィッシュ(6人編成)
11. MESSAGE(6人編成)
12. HARVEST(6人編成)
13. NAGISA(6人編成)
14. 残像(6人編成)
15. ひとり
16. 平凡
17. 楽園
18. 窓
19. SURRENDER
20. ひかりのまち
21. 瞬きをする間に
-Encore-
22. 手紙
23. NEVERLAND(6人編成)