2025年3月29日(土)にバンド初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライブを行なったLOSTAGE。あいにくの雨模様だったが、会場には大勢のファンが詰めかけ、通常の3人編成はもちろん、ゲスト・ミュージシャンを加えた6人編成でもステージを披露した。本記事では、ライブで使用された五味拓人(g)のペダルボードを本人の解説付きでご紹介。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
Takuto’s Pedalboard


2台のアンプに対応するサウンドメイクを実現
【Pedal List】
①Sonic Research / ST-300(チューナー)
②Klon / KTR(オーバードライブ)
③One Control / Agamidae Tail Loop(プログラマブル・スイッチャー)
④MXR / Six Band EQ(EQ)
⑤MXR / Micro Amp(ブースター)
⑥Z.Vex Effects / Box Of Rock Vexter Series(オーバードライブ/ブースター)
⑦Lovepedal / White Dragon Fuzz(ファズ)
⑧ProCo / Turbo RAT(ディストーション)
⑨Electro-Harmonix / Green Russian Big Muff(ファズ)
⑩Electro-Harmonix / POG(ピッチ・シフター)
⑪Electro-Harmonix / Deluxe Memory Man(ディレイ)
⑫strymon / El Capistan V1(ディレイ)
⑬strymon / FLINT V1(リバーブ/トレモロ)
⑭Mastro Valvola / Area(リバーブ)
⑮Voodoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワー・サプライ)
⑯BOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)
ギターからの接続順は、まず①ST-300と②KTRを通って③Agamidae Tail Loopにインプット。③Agamidae Tail Loopの各ループに接続されているペダルは下記のとおり。
・Loop 1=④Six Band EQ
・Loop 2=⑤Micro Amp
・Loop 3=⑥Box Of Rock
・Loop 4=⑦White Dragon Fuzz
・Loop 5=⑧Turbo RAT
・Loop 6=⑨Green Russian Big Muff
③Agamidae Tail Loopのアウトからは⑩〜⑭まで番号順に接続され、⑭AreaのアウトからはマーシャルJCM800 2203の上に置かれた⑯NS-1Xを通ってアンプにインプット。⑯NS-1XはJCM800 2203のセンド/リターンにループされていた。

②KTRはおもに6人編成の際に使用するフェンダーSuper Reverb用。Super Reverbはクリーンにセッティングされているため、本機でクランチを作って歪ませているという。その場合、GAINが12時、TONEが12時、OUTPUTが10〜12時というセッティングにする。また、マーシャルJCM800 2203でジャズマスターのミックス・ポジションを使用する際はローが膨らむため、筐体に貼られた赤い目印のセッティングに変更し、歪ませずにEQを補正することも。
同じく⑦White Dragon FuzzもSuper Reverb用で、「グレイアイドフィッシュ」や「残像」などのリフやソロで使用。音量を抑えめに設定し、遠くで鳴っているような音像をイメージしているとのこと。
3人編成の際はJCM800 2203で歪ませているため、クランチ・サウンドが必要な場合は④Six Band EQを踏んでレベルを下げている。以前はボリューム・ペダルを使用していたが、ボリュームを絞った際の音のこもりが気になり、トーンの調整ができるグラフィックEQを導入。
⑥Box Of Rock、⑧Turbo RAT、⑨Green Russian Big Muffの3台はJCM800 2203のブースト用で、音圧を出したい時や、サステインを伸ばしたい時など、フレーズごとにそれぞれを踏み分けている。
最も使用頻度の高い⑥Box Of Rockは右側のRock chのみを使用しており、左側のBoost chは未使用。オンにした時にコード感が失われないように、DRIVEノブは12時とやや控えめ。「母乳」のソロと「SURRENDER」の間奏では、最も音量が稼げる⑨Green Russian Big Muffを踏んでいた。
⑤Micro AmpはJCM800 2203の歪みにゲインを足すこともあれば、Super Reverbを使用する「HARVEST」ではレベル・ブースターとして音量を上げてソロを弾くことも。

⑩POGは「楽園」のテーマ、「ひとり」の間奏で使用。DRY OUTPUTとSUB OCTAVEはMAXまで上げられており、+1 OCTAVEと+2 OCTAVEも上から2番目のパラメーターまで上げられている。“上げるとコーラスっぽくなってしまう”という理由から、+1 OCTAVE DETUNEDと+2 OCTAVE DETUNEDはカット。
⑪Deluxe Memory Manは楽曲ごとのディレイ・タイムを気にせず、包み込むようなディレイが欲しい時にオン。本機のコーラスを薄くかけており、「NAGISA」や「瞬きをする間に」などを始め、多くの楽曲で浮遊感のあるサウンドを演出していた。
逆に⑫El Capistanはディレイ・タイムをハッキリさせた使い方で、ギター・ソロでオンにする場合はタップ・テンポを使用するという。TAPE HEADはmulti、MODEはAに設定されていた。「NAGISA」、「平凡」、「手紙」、「NEVERLAND」などでの大きなディレイは本機によるもの。
⑬FLINTはリバーブのみを使用しており、ほとんどの楽曲でオンにしていた。モードはホール・リバーブをシミュレートした’80sに設定。ライブでは楽曲によってMIXとDECAYノブを操作し、リバーブのショート/ロングを変えているとのこと。
⑭AreaはREVERBモードのショート・リバーブをプリセット。「ポケットの中で」や「Flowers/路傍の花」のサビなどで効果的な残響効果を効かせていた。
Interview
曲によってリバーブの深さを変えるんですよ。
だから自由度が高く使えるんです。
一時期と比べるとペダルの数が増えましたね。
そうですね。ここから減らしたいんですけど、1フレーズのためだけに必要なものとかがあって……(笑)。
KTR(②)はどのような使い方を?
6人編成でSuper Reverbを使う時にオンにします。アンプがクリーンなので、これでクランチを作っていますね。White Dragon Fuzz(⑦)も6人編成用。LEVELを控えめにセッティングして、ギター・ソロとかが遠くで鳴っているような使い方をしています。
Green Russian Big Muff(⑨)は現行品ですが、拓人さんはロシアン・マフを長らく愛用していますよね。
これは「母乳」や「SURRENDER」などで単音の大きなフレーズを弾く時に使います。Turbo RAT(⑧)とBox Of Rock(⑥)は、1コードをロング・トーンで伸ばす時に踏んでいます。
Box Of RockのBoost chを使うことは?
こっちはほとんど使わないですね。
⑤Micro Ampはどのような時に踏みますか?
クリーンで少しだけブーストさせたい時とか、マーシャルの歪みを足したい時とか、1フレーズ的なところで時々踏みます。
POG(⑩)も長らくスタメンからはずれないペダルです。
これはオクターブの上も下もバキッと出していますね。DETUNEDを入れるとコーラスっぽくなるので、どっちも切っています。
ディレイがDeluxe Memory Man(⑪)とEl Capistan(⑫)の2台ありますが、それぞれの使い分けは?
Deluxe Memory Manはあんまりディレイ・タイムを考えず、包み込むようなディレイが欲しい時に踏みます。逆にEl Capistanはタイムを合わせて、ディレイを見えるようにしたい時に使いますね。例えばギター・ソロでかける時はタップ・テンポを使ってタイムを合わせています。
リバーブもFLINT(⑬)とArea(⑭)の2台ですね。
FLINTはライブ中、曲によってリバーブの深さを変えるんですよ。だから自由度が高く使えるんです。Areaは凄く短いリバーブをプリセットしていて、かける曲のフレーズが決まっています。FLINTにはプリセット機能がないので、もう1台リバーブを増やしているという感じですね。
FLINTのトレモロを使うことは?
前は使っていたんですけど、どうしてもタイム感が合わないので、最近は使ってないです(笑)。
2025年3月29日(土)日比谷野外大音楽堂
【Setlist】
01. 巡礼者たち
02. こぼれ落ちたもの
03. My Favorite Blue
04. BLUE
05. ポケットの中で
06. 母乳
07. Flowers/路傍の花
08. かぎろひ(6人編成)
09. Les Misérables(6人編成)
10. グレイアイドフィッシュ(6人編成)
11. MESSAGE(6人編成)
12. HARVEST(6人編成)
13. NAGISA(6人編成)
14. 残像(6人編成)
15. ひとり
16. 平凡
17. 楽園
18. 窓
19. SURRENDER
20. ひかりのまち
21. 瞬きをする間に
-Encore-
22. 手紙
23. NEVERLAND(6人編成)