2025年3月29日(土)にバンド初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライブを行なったLOSTAGE。あいにくの雨模様だったが、会場には大勢のファンが詰めかけ、通常の3人編成はもちろん、ゲスト・ミュージシャンを加えた6人編成でもステージを披露した。本記事では、ライブ当日にスタンバイされていた2本のリッケンバッカー330を、五味拓人(g)による解説付きで紹介する。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
Takuto’s Guitars
1999 Rickenbacker
330 Fireglo
20年以上使い続ける不動のメイン・ギター
五味のメイン・ギターは、フガジのギタリストであるガイ・ピチョトーの影響で2003年頃に購入した、ファイアーグローの1999年製リッケンバッカー330。
ライブでフィードバックを出すためによくボディを叩いていたところホール部分が割れてしまい、木部を継ぎ足して修復されている。ナットは牛骨製に交換され、中の配線材は“ローもミドルもバランス良く出力される”という理由からBelden 8412に交換済み。フレットはミディアム・ジャンボ・サイズに打ち替えられている。
使用するピックアップはほぼリアのみ。
リッケンバッカーは基本的に半音下げチューニングにセッティングされている。そのため弦はErnie Ballの.011〜.048(Power Slinky #2220)という少し太めのゲージを使用。それに合わせてブリッジ・サドルの溝も調整しているとのこと。
本器の気に入っているところは“やっぱり見た目です(笑)”と語ってくれた。
使用楽曲(2025年3月29日@日比谷野外大音楽堂)
- 「こぼれ落ちたもの」(D♯-G♯-C♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※3弦のみ半音上げ、ほかは半音下げ)
- 「My Favorite Blue」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「BLUE」(D♯-G♯-C♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態で6弦以外の1〜5弦のみCapo 4)
- 「ポケットの中で」(D♯-G♯-C♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態でCapo 5)
- 「母乳」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「Flowers/路傍の花」(D♯-G♯-C♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態でCapo 3)
- 「NAGISA」(D♯-G♯-C♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態でCapo 3)
- 「ひとり」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「楽園」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「窓」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「SURRENDER」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「瞬きをする間に」(D♯-G♯-D♯-G♯-A♯-D♯ Tuning ※4-3弦のみ半音上げ、ほかは半音下げ)
- 「手紙」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げ)
- 「NEVERLAND」(D♯-G♯-C♯-F♯-A♯-D♯ Tuning ※全弦半音下げの状態でCapo 3)
2000 Rickenbacker
330 Jetglo
サブとして手に入れたジェットグロー
一時期はメイン・ギターとして使用していた時もあったが、現在はサブとしてスタンバイされているジェットグローの2000年製リッケンバッカー330。2004年頃にメインであるファイアーグロー330のサブとして入手したものだ。
メイン器と同様、ナットは牛骨製に、中の配線材はBelden 8412に交換されているが、フレットはオリジナルのまま。本器は塗装が重く、コッテリしたサウンドの印象とのこと。今回のライブでは未使用だった。
Interview
リッケンは弾いていて気持ち良いですね。
弦を1本ずつ鳴らしている感じがあります。
メインの330を手に入れた時期は?
2003年とか、それくらいやったと思います。見た目がかっこよくて(笑)。
音の印象はどうですか?
空気感がしっかり出るというか、乾いている音がしますね。サブで黒い330も持ってるんですけど、買った時から音が違うんですよ。黒のほうは塗装が重たくてコッテリしている感じで、鳴りが全然違って、あんまりサブにならなくて困っています(笑)。
ネック裏の塗装は使い続けていくうちに剥がれていったんですか?
そうですね。赤いほうをずっと使い続けたからなのか、もともとそういう塗装なのか……黒いほうを全然触っていないので、もはや全然わからないですけど(笑)。
弦高は低めにセッティングしていますか?
リッケンにしては弦高が高いほうだと思います。赤いほうはフレットをミディアム・ジャンボに打ち直しているんですよ。もともとリッケンは凄く低いフレットが打ってあって、弦高も低くて、弾きにくくて。なのでミディアム・ジャンボに打ち直してもらいました。

メイン・ギターの一番気に入っているところは?
見た目です(笑)! あとは弦と弦の間のスペースというか、幅が好きなんです。フェンダー・ギターの弦間だとストロークしている時にピックが流れていく感じなんですけど、リッケンは1本ずつはじいている感覚がある。弾きごたえがあって、弾いていて気持ち良いですね。弦を1本ずつ鳴らしている感じがあります。

サブの330はいつ頃手に入れたものですか?
メインの1〜2年後にサブとして買ったかな。こっちはフレットを打ち直していないんですけど、メインテナンスに出した時にナットを換えてもらいました。色的には黒のほうが好きなんですよ。
弦は何を?
Ernie Ballの.011〜.048(Power Slinky #2220)ですね。LOSTAGEは基本的にチューニングが半音下げなので、テンションを稼ぐため太めにしていて。それとPower Slinkyは弦の指触りが一番好きです。
アンプの上にはShubbのカポが4つも用意されていますが……?
僕、ギターのネックはRがキツイやつのほうが好きなんですけど、カポを付けるとどうしてもチューニングが不安定になるので、ずっと悩んでいたんですね。そんな時、ギタマガWEBのエルヴィス・コステロのライブ機材記事を見ていたら、コステロがカポをShubbのもので揃えていたんです(笑)。

そうでしたね(笑)!
“かっこいい!”と思ってマネしました(笑)。このカポはブリップを調節できるし、いい塩梅のところを見つけられるので、使い勝手が良いなと思って。
2025年3月29日(土)日比谷野外大音楽堂
【Setlist】
01. 巡礼者たち
02. こぼれ落ちたもの
03. My Favorite Blue
04. BLUE
05. ポケットの中で
06. 母乳
07. Flowers/路傍の花
08. かぎろひ(6人編成)
09. Les Misérables(6人編成)
10. グレイアイドフィッシュ(6人編成)
11. MESSAGE(6人編成)
12. HARVEST(6人編成)
13. NAGISA(6人編成)
14. 残像(6人編成)
15. ひとり
16. 平凡
17. 楽園
18. 窓
19. SURRENDER
20. ひかりのまち
21. 瞬きをする間に
-Encore-
22. 手紙
23. NEVERLAND(6人編成)