マディ・ウォーターズの気合いが表出した超貴重なライブ・カバー マディ・ウォーターズの気合いが表出した超貴重なライブ・カバー

マディ・ウォーターズの気合いが表出した
超貴重なライブ・カバー

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はシカゴ・ブルースの王様、マディ・ウォーターズの登場!! 1音目のスライドから痺れる、極上のシカゴ・スタイル。これはもう……夜に聴くべきです(笑)。サミュエル・ロウホーンのオブリも秀逸で聴きどころ満載!

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


ターニング・ポイントを意識した選曲!?

シカゴ・ブルースの王様、マディ・ウォーターズによる「ストーミー・マンデイ」。71年11月に、ミシガン湖沿いの高級住宅地にある、ミスター・ケリーズという(ニューヨークでいえばコパカバーナのような)高級クラブで録音したライブ盤に収録。

マディのライブ音源としては、最も珍しい1曲で、正規録音の「ストマン」はこの時のものだけ。ハーモニカのポール・オッシャー(マディ・バンド最初の白人プレイヤー)によれば、マディはこの時のライブをターニング・ポイント的にとらえていたとのことで、それでこんな有名曲をやったのかもしれない。

ハープのオッシャー、ピアノにパイントップ・パーキンス、ギターにサミュエル・ロウホーンとピー・ウィー・マディスン、ベースにカルヴィン・ジョーンズ、ドラムにウィリー・スミスという黄金のメンバー。

マディのスライドで始まるが、すぐに各楽器が混然一体となった、シカゴ・スタイルへ。これこそマディが、マディ・バンドが作り上げたスタイル。ボーカルは、ちょっぴり語尾をファルセット風にしたりもしているが、どこをどう切ってもマディだ。

歌へのレスポンスやソロは、おそらくサミュエル・ロウホーン。トレモロ・ピッキングも交えた、まろやかでアグレッシブな、独特のプレイが味わえる。