クセになる音のギター・オブリが聴けるナンシー・ウィルソン・カバー クセになる音のギター・オブリが聴けるナンシー・ウィルソン・カバー

クセになる音のギター・オブリが聴ける
ナンシー・ウィルソン・カバー

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はジャズ・ディーヴァ=ナンシー・ウィルソンが歌った「ストマン」! ジャック・マーシャルによるギターは、ジャジィだがヘナヘナな音で、時折出てくるチョーキングは抜けた感じもする……が、これがクセになるのですよ。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


ヘナヘナな音、だけどクセになる〜。

ナンシー・ウィルソンといえば、60~70年代を代表する女性ジャズ・シンガー。それも飛び切りの美貌の持ち主。60年にキャピトルからデビューし、およそ半世紀にわたり活動し、残したアルバムは50枚以上。情念派ではなく、軽やかな歌唱で、65年にキャノンボール・アダレイ・カルテットと共演した「セイヴ・ユア・ラヴ・フォー・ミー」がR&Bチャートで11位になるなど、アルバムもシングルもR&Bやポップ・チャートに上がることが多かった。

「ストーミー・マンデイ」は、60年の2枚目のアルバム『Something Wonderful』収録。さすが本家キャピトル、タイトルは「Call It Stormy Monday (But Tuesday Is Just As Bad)」の正式名称だ。イントロはTボーンのオリジナルの発展形。

ギターのジャック・マーシャルは60年代のTVホラー・コメディ「The Munsters」のコミカルなテーマ曲で知られるが、元来はジャズ・ギタリストである。同盤の他曲ではマイルドなトーンで洒落たバッキングを披露しているが、この曲は、ほかよりもリア・ピックアップっぽい固く下品な音で、ベンディングも多用する。なるほど、「The Munsters」のテーマにもつながるな、と思わせる。ソロもなく、ナンシーがすっきりと(しかし、しっかりブルージィに)3コーラス歌って、すっと終わる。