イカサマイマサ『パーソナル』 イカサマイマサ『パーソナル』

イカサマイマサ
『パーソナル』

ちょっと離れた地域に居る友人と、直接会って話そうという流れになって、久々に楽器を持たず新幹線に乗って驚いた。新幹線列車公衆電話サービスが6月で終了したんだって?!

偶然“サービス終了”のシールが貼ってある緑色の電話機とテレフォンカード販売機を見かけて知ったのだけど、そういえば列車内に限らず公衆電話なんて使うどころか、もう長いこと意識さえしなくなっている。携帯電話が普及して御役御免、てとこなんだろうけど、最後に使ったのいつだろう。10年? 15年? もっと? 覚えてないくらい前ってこと? 固定電話の黒、電話BOXの緑、軒先の赤電話、カウンター横ならピンク電話、みたいに置き場所や用途に応じて色々あったなぁ。今もどこかに残っているのかしら。

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昭和30年代には繁華街や街の広場に“街頭テレビ”と呼ばれた無料の受像機が置かれ、プロレス中継とかが始まると近所の住人が集まり、皆で贔屓のレスラーを応援したり、漫才コンビに拍手喝采したり、があったんだそうな。それが1964(昭和39)年秋に東京で開催されたオリンピックの頃には、一般家庭へのテレビの普及率が8割を超え「一家に一台」になっていったことで、街頭テレビは姿を消していったんだと。公衆電話も似た流れなのかな。

音や映像や噂話、これらを大勢が同じタイミングで同じように受け取ることが当然だったのが、望むなら一人一人が好きな時に好きな場所で好きな部分だけを楽しめるようになったのは、享受するために必要だった大型の機器や仕組み(パブリック=マス)が、時代が進めば進むほど小型(パーソナル=ニッチ)化してきたからなんだろうなぁ。サービス終了のシールを見ながらそんなことを思い、目的地に着いた自分は友人との待ち合わせ場所の確認がてら、街歩き。

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すると、たまたま出くわしたライブハウスの出演ボードに、その晩は鮎川誠、翌日は伊藤銀次、とあるじゃないか。その場で連泊を決め、旅先での友人とのミーティングに加え、ベテラン・ギタリスト2人のソロLIVEも観ていくことにした。お二人ともフルではない、いわばミニマムニッチ編成のギグ。だけどそのぶんギターと声が際立つから、“御本人色”が強く滲み出て、観ていてとても楽しかった。

“マスの影響力が薄まりニッチが増えると、選択肢が激増する代わり、自分から能動的に情報をつかみにいかないと当たりに巡り会う機会が減ってしまいそう”と思っていたけど、なんのなんの、無欲でいても当たるときは良い出会いもあるじゃん。

「犬も歩けば棒にあたる」には良い意味もあったんだった。

ではまた!

いまみちともたか

Profile

いまみちともたか

いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。

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