イカサマイマサ『ザ・カセットテープ・ミュージック』 イカサマイマサ『ザ・カセットテープ・ミュージック』

イカサマイマサ
『ザ・カセットテープ・ミュージック』

何度か自分のギター・プレイのことを取り上げてくれていたらしく、それについて視聴者がSNSに投稿してくれているので知った『ザ・カセットテープ・ミュージック』(BS12)という番組。マニアックそうな内容や番組タイトルから、最初ラジオ番組だと思って探していたけど見つからない。

この連載の編集氏に「どこの局で聴けるか知らない?」と尋ねたら「それ、テレビ番組ですよ。なんならウチから書籍も出ていますよ」と世間知らずっぷりを笑われました。“し、しまった、テレビだったとは”と焦りながら「日曜の夜9時から? 了解、今度観てみる」と返したまま時は流れ、先日「番組の最終回でも、いまみちさんのギターのこと弄ってましたね、観ました?」とメールが。

“えッ、最終回?”と、だいぶビックリ。BSだとは思わず、地上波の番組表ばかり探していたせいで、まだ観れてなかったこともバレ、編集氏の脳内リストには「いまみちはガチの世間知らず」と記入されたらしい、嗚呼くやしい。

『ザ・カセットテープ・ミュージックの本 ~つい誰かにしゃべりたくなる80年代名曲のコードとかメロディの話~』
マキタスポーツ × スージー鈴木

ソロ·アルバムのレコーディングもゴールが見えて来た最近、“最後にギター·ダビングして完パケ印を付ける”という儀式にハマっています。

ここで問題になるのが、件の番組の最終回で「いまみちの“ピキ”」と言われてたらしい、プレイ前後のタッチノイズやスクラッチ音。

アタマからケツまでの流れの中でダビングするのが好きだ。なので、たとえ曲の真ん中あたりで一回弾くだけでも、曲アタマからRecボタンをオンにしてもらって聴きながら弾くイメージ。一見無駄に思えるかもだけど、ベーシックとの馴染み度も増すし、皆と一緒に弾いているみたいな共通のドライブ感が得られて、自分に限って言えば、とても効果的、キミも試してみる?

ところが不思議なもので、録音後、使用する箇所の前後の不用なノイズをミュートしてプレイバックすると、なんか「よ、邪魔するぜぇ」てなチャラい兄ちゃん登場!みたいな感じになってしまう。なので自分は歌入れの際のイントロや間奏部での足拍子なんかも、そのまま生かしてもらってるくらい。もっとも、ミックスの際にはエンジニア君が非情にカットしてるかもしれないけれど。

そんなわけで、『ザ·カセットテープ·ミュージック』の最終回で「いまみちの“ピキ”」と呼ばれた「目を閉じておいでよ」のタッチノイズは、「あ、息遣いのつもりだから残しておいて」というオーダーを呑んでくれたエンジニアによって、抹殺されずに済んだ音だったという次第。

こんなマニアックなとこに目をつける酔狂な番組、ぜひ観たかったなぁ。スタジオに篭もってばかりいないで、世間をもっと勉強しておきます。では、また!

いまみちともたか

Profile

いまみちともたか

いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。

公式HP>
Twitter>
Facebook>
Instagram>