『ドゥーム・クルー・インク』
ブラック・レーベル・ソサイアティ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2021/12/2021-1213-disc-review-02-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
ザック・ワイルド(g, vo)、ダリオ・ロリーナ(g)、ジョン・ディサルヴォ(b)、ジェフ・ファブ(d)
【曲目】
①セット・ユー・フリー
②デストロイ&コンカー
③ユー・メイド・ミー・ウォント・トゥ・リヴ
④フォーエヴァー・アンド・ア・デイ
⑤エンド・オブ・デイズ
⑥ルーインズ
⑦フォーセイクン
⑧ラヴ・レイン・ダウン(2021ヴァージョン)
⑨ゴスペル・オブ・ライズ
⑩シェルター・ミー
⑪ギャザー・オール・マイ・シンズ
⑫フェアウェル・バラッド
⑬ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー
⑭言いだせなくて
独自のハードネスに新機軸のツイン・リードをプラスしてさらなる高みに到達した意欲作
ザック・ワイルド率いるブラック・レーベル・ソサイアティの11thアルバム。
楽曲に関しては80~90年代のHR/HMテイストを打ち出したナンバーを核にしつつ、シャッフル・チューンの②⑪や、翳りを帯びたバラードの④⑦⑫などを配していることがポイント。アルバム構成と静と動の対比を活かした楽曲アレンジが相まって、激しさと深みを合わせ持った佳作に仕上がっている。オジー・オズボーンの影響を感じさせるザックのボーカルも魅力的。
ギターは全曲で披露されている長尺のギター・ソロが一番の聴きどころ。ホット&テクニカルなフレージングやメロウなソロ、ザックとダリオ・ロリーナによるスリリングな掛け合いとハーモニーなど、耳を惹かれるシーンは多い。ギター・ソロで楽曲のエモーションがより増幅するという彼らならではの醍醐味をたっぷりと味わえる。
センスの良さがうかがえるリフ/バッキング・ワークやファット&エッジィなギター・サウンドなども注目。
(村上孝之)
『SUNBURST ~我武者羅』
LOUDNESS
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2021/12/2021-1213-disc-review-03-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
高崎晃(g, vo)、二井原実(vo)、山下昌良(b)、鈴木政行(d)【ゲスト】西田“Dragon” 竜一(d)
【曲目】
< DISC 1>
①Rising Sun -instrumental-
②OEOEO
③大和魂
④仮想現実
⑤Crazy World
⑥STAND OR FALL
⑦The Sanzu River
⑧日本の心
< DISC 2>
①輝ける80’s
②エメラルドの海
③天国の扉
④All will be Fine with You
⑤Fire in the Sky
⑥HUNGER for MORE
⑦The NAKIGARA
⑧wonderland
高崎晃の圧倒的な存在感を示したデビュー40周年記念ダブル・アルバム
2021年にデビュー40周年を迎えたLOUDNESSが、29枚目にしてバンド初となる2枚組スタジオ・アルバムを完成させた。
DISC1は『40周年記念ツア-2021』の会場限定で発売された限定CDと同内容になっており、タッピングを軸にした構築美に溢れたギター・ソロが聴けるスピード・ナンバーの③、長尺のギター・ソロが入ったヘヴィでグルーヴィな④、プログレッシヴ・ロック的なアレンジが楽しめる⑤、高崎晃がクリーンとスクリーム・ボイスで歌ったダークな⑦などを収録。
DISC2には80年代に制作されたデモ音源を元にした①~③が収録されているのが注目すべき点だが、この中の③は故エディ・ヴァン・ヘイレンに捧げた歌詞が採用されている。ほかにも和のギターの旋律を取り入れた④、哀愁をギター・ソロがグッと来る⑧など、現代的なスタイルと80年代の彼らを思わせるギター・リフやテクニカルなギター・ソロも織り交ぜた楽曲が楽しめる。
(Jun Kawai)
『上出来』
tricot
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2021/12/2021-1213-disc-review-04-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
中嶋イッキュウ(vo,g)、キダ モティフォ(g)、ヒロミ・ヒロヒロ (b)、吉田雄介(d)
【曲目】
①言い尽くすトークします間も無く
②暴露
③いない
④ティシュー
⑤カヨコ
⑥餌にもなれない
⑦Dogs and Ducks
⑧スーパーサマー
⑨いつも
⑩夜の魔物
⑪ひとやすみ
⑫上出来
セクションごとに表情を変えるキダ モティフォの個性派ギターが炸裂!
前作『10』からおよそ1年ぶりのメジャー3枚目。タイトルの物々しさとは裏腹の爽やかなポップチューン②、変態的なアレンジを全面的にフィーチャーした”tricotらしさ”全開の③と立て続けにシングルを先行リリースし、自分たちの両極の魅力を提示した彼女たちによる本作は、これまで以上にバラエティに富んだアルバムとなった。
例えば④ではレゲエ・ビートを基調としつつ、中期ビートルズにも通じるようなサイケデリアを奏でたかと思えば、中尾憲太郎(NUMBER GIRL)をプロデュースに迎えた⑥では、予測不能のリズム隊と幾何学的なコーラスワーク、ワウを駆使したギターを複雑に絡み合わせてポップ・グループも”かくや! “と言わんばかりのアヴァンギャルドなアンサンブルを披露してみせる。
クランチからシューゲイズ的なディストーションまで、曲ごとに(否、1曲の中のセクションごとに)表情を変えるキダ モティフォのギターは本作の聴きどころの1つだ。
(黒田隆憲)
『nerd』
Kroi
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2021/12/2021-1213-disc-review-05-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
内田怜央(g,vo)、長谷部悠生(g)、関将典(b)、益田英知(d)、千葉大樹(k)
【曲目】
①Juden
②pith
③Rafflesia
④blueberry
⑤おなじだと
⑥WATAGUMO
黒に黒を重ねて描く、目映い音楽のスリル。さらなる独自性を結実させた新作EP
メジャー1stアルバム『LENS』&ツアー「凹凸」を経てリリースされるKroiの新作EP。
コシの強いファンク・ビートを多彩なギター・ワークとマッシブなシンセ・サウンドでポップの異次元へと導く①、グランジとヒップホップがのたうち回るようなダルなビートの中に不穏なスリルが蠢く②、人力ドラムン・ベース的なリズムの中でフュージョンに漸近線を描きながら確実に一線を画したギター・サウンド……といった具合に、全6曲ながらフル・アルバムばりの音楽的な振り幅と、その根底に息づく不屈の挑戦精神を感じさせる痛快な作品。
そのバンド名の通り、メンバー全員がブラック・ミュージックの影響をバックボーンとしているKroiだが、己の信念に従って黒に黒を塗り重ねることでその音が極彩色の輝きを放ち始めるかのような、マジカルな驚きと感激が確かに宿っている。
都市の焦燥を活写した⑤を始め、リリックの面で鋭利かつビビッドなセンスを感じさせるのも嬉しい。
(高橋智樹)
『海底より愛をこめて』
cinema staff
『If Words Were Flowers』
カーティス・ハーディング
※本記事はギター・マガジン2022年1月号にも掲載されています。