「Hey Hey」と、エリック・クラプトンとビッグ・ビル・ブルーンジー 「Hey Hey」と、エリック・クラプトンとビッグ・ビル・ブルーンジー

「Hey Hey」と、
エリック・クラプトンとビッグ・ビル・ブルーンジー

エリック・クラプトンの『Unplugged』という世紀のアコギ名盤のリリース30周年を記念し、作中ブルース・カバー曲をその元となったバージョンとともに紹介していく。今回はビッグ・ビル・ブルーンジーの「Hey Hey」。クラプトンへの影響と、カバー版からうかがえるリスペクトについて話をしよう。

文=青山陽一

“アコースティック・クラプトン”への多大な影響

19世紀末に生まれたビッグ・ビル・ブルーンジーは、録音活動を行なったブルースマンとしては最古参の部類に入る。それこそブルースの概念が一般化する前からのミュージシャンだったので、1920年代末以来多くの録音を残しているが、この「Hey Hey」は1952年が初出。ビッグ・ビルが60歳近くなってから発表したものだ。

50年代から欧州でも頻繁に演奏活動を行なったために英国のロック第一世代への影響も絶大だった。特にこの曲を実演している50年代の動画を見ると、マーティンの000-28を抱え、親指で四分音符のステディなベースを刻みながら他の指でメロディを入れていくスタイルのEキー・ブルースは、見た目から指使いまでアコースティックをプレイする時のエリックにダイレクトな影響を与えていたことがわかると思う。

ステレオ感のあるデュオ・アレンジ

『Unplugged』版のほうは「Before Accuse Me」に続いてエリックとアンディのデュオ演奏。

ギターも引き続いてエリックの000-42とアンディの000-28→45コンヴァージョンという同じ組み合わせ。2人ともギター・サウンドが似ていて、ベーシックな部分はほぼ同じ演奏になっている。歌の合間のちょっとしたオブリを2人でピッタリ息を合わせるあたりしっかりリハを積んだことがうかがえるし、ターンアラウンドでのわずかな違いによるステレオ効果も楽しい。ギター・ソロもなく淡々と進行するあたり、オリジナルへの深いリスペクトを感じるパフォーマンスだ。

作品データ

『Unplugged』
エリック・クラプトン

リプリーズ/1992年8月18日リリース

―Track List―

01. 「Signe」
02. 「Before You Accuse Me」
03. 「Hey Hey」
04. 「Tears in Heaven」
05. 「Lonely Stranger」
06. 「Nobody Knows You When You’re Down and Out」
07. 「Layla」
08. 「Running on Faith」
09. 「Walkin’ Blues」
10. 「Alberta」
11. 「San Francisco Bay Blues」
12. 「Malted Milk」
13. 「Old Love」
14. 「Rollin’ and Tumblin’」

―Guitarists―

エリック・クラプトン、アンディ・フェアウェザー・ロウ