「Malted Milk」と、エリック・クラプトンとロバート・ジョンソン 「Malted Milk」と、エリック・クラプトンとロバート・ジョンソン

「Malted Milk」と、
エリック・クラプトンとロバート・ジョンソン

エリック・クラプトンの『Unplugged』という世紀のアコギ名盤のリリース30周年を記念し、作中ブルース・カバー曲をその元となったバージョンとともに紹介していく。今回は「Walkin’ Blues」に続き、ロバート・ジョンソン楽曲=「Malted Milk」。EC版はアンディ・フェアウェザー・ロウとのコンビネーションが聴きどころ!

文=青山陽一

RJの独特な音使いが味わえる1曲

「Walkin’ Blues」に続く2つ目のロバート・ジョンソン作品はそれほど知られている曲ではなく、エリック以前ではルシンダ・ウィリアムスが79年にデビュー作で取り上げていたくらいだ。タイトルは「麦芽ミルク」と訳せるが、これはビールのことと考えるのが妥当なよう。主人公は憂鬱な気分を抱えたまましこたま飲んで次第に酩酊し、幽霊の存在を感じ始めたりとどこかミステリアスなムードを発する歌だ。

形式的には2行目が1小節多い13小節進行。ロバートの演奏では9小節目が1番と3番は2拍、2番だけが4拍ある。このあたりは歌っている時の気分で伸び縮みするのだろう。4分音符をしっかり打ってステディなグルーヴを保ちながら歌の合間にダブルストップ的なオブリを入れるが、コーラス終わりのターンアラウンド部分はV7に行くのに一音上から半音ずつ降りてくる独特の音使いに耳を惹かれる。

ソロのユニゾンが粋なデュオ・アレンジ

『Unpllugged』版は「Walkin’ Blues」同様、再びエリックとアンディとのデュオ。「Hey Hey」などと同じく2人ともマーティン000で、ロバートのターンアラウンドも近い感じで再現している。

構成は普通の12小節進行で3番まで歌ったあとはエリックがギター・ソロを弾く。4小節ごとに終わりのダブルストップ・フレーズをアンディと合わせるところなどは粋だ。ギター・ソロ明けの4番だけ4、8小節目を2拍伸ばしていて、オリジナルの変則的なサイズの感じを表現しているようにも思える。こうしたすっきり形式に収まらない感じもブルースには大事なところだ。

作品データ

『Unplugged』
エリック・クラプトン

リプリーズ/1992年8月18日リリース

―Track List―

01. 「Signe」
02. 「Before You Accuse Me」
03. 「Hey Hey」
04. 「Tears in Heaven」
05. 「Lonely Stranger」
06. 「Nobody Knows You When You’re Down and Out」
07. 「Layla」
08. 「Running on Faith」
09. 「Walkin’ Blues」
10. 「Alberta」
11. 「San Francisco Bay Blues」
12. 「Malted Milk」
13. 「Old Love」
14. 「Rollin’ and Tumblin’」

―Guitarists―

エリック・クラプトン、アンディ・フェアウェザー・ロウ