新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。
デザイン=MdN
曲に合った特徴的なサウンドを練り出せるギタリストに。
7月末から8月頭にかけて、フジロック、それから対バン・ツアーで、バンド・セットでのライブが多くありました。どれも思い出深いステージで、特にフジロックは今までの自分を見つめ直し、また、これからの自分の表現のヒントが感じられたような、大きな節目に思えました。多くの人に観てもらえたこと、単純にフジロックに出演できたこともとっても嬉しかったです。とにかく、バンド・セットは楽しい。素晴らしいメンバーの皆さまと音を奏でる喜び、そのグルーヴに今後もっと趣を(重きを)置いていきたいです。
さて、そんなバンド・セットにて、私はエレアコと、エレキ・ギターを両方弾いていました。エレアコは足下にL.R.バッグスのSession DI(これはもうかれこれ4年ほど使用しています)とチューナーを配置し、ラインとうしろにあるローランドRB-60ベース・アンプ(!)から出力されます。エレキ・ギターの足下は、RAT II、JPTR FX Super Weirdo(ファズ)、EarthQuaker Devices(以下、EQD)のPlumes(オーバードライブ)、Death By AudioのReverberation Machine(リバーブ)、BOSSの技チューナーへとつながります。エレキのアンプはツイン・リバーブです。そしてアコギもエレキもオベーション……! エレアコはアダマス、エレキはバイパーを使用しました。
Super Weirdoの強烈で打撃のようなファズと狂った発振音が、僕の今夏のベスト・マスト・アイテムでございました。特にRAT IIとの両がけは最高で、まるで食虫植物のような獰猛さ、そこにReverberation Machineをかければ、時空の歪み、高速に流れる光と光の狭間にトリップしたような感覚に陥ります。
そしてここで私の今回の連載のテーマが発動! このエレキ・ギターのエフェクター回線に「もう一台エフェクターを追加するなら何か」です。これは迷います。もう一台ファズを置いてもいいし、ディレイ、もしくはコンプや、EQ的な何かを置いてもいいでしょう。そんな中、1つ私が抜きん出ていいなと感じているのは、モジュレーション系です。そういえば私はモジュレーション系にあんまり触れてきていませんでした。私が今欲しいと感じるモジュレーション系の多くはEQDのペダルで、特にSea Machineというモデルが気になっています。コーラス・ペダルですが、通常とは違う個性的な仕様のようです。Dimensionというツマミでは、なんとディレイの量が設定できたり、Intensityツマミではディレイにかかるモジュレーションの量を設定できるそう……! Sea Machine の試奏動画をいくつか観ているのですが、泡が浮き立つような、その名のとおり海の機械のような音がしているのです(ペダル名に煽動されまくっている私)。これをSea Machineと名付けたセンスに驚嘆します。まだ実際には試せてないので、今度楽器屋で見つけたら是非音を出してみたいです。
あとは同じくEQDの、こちらポリフォニック・ピッチシフター、Rainbow Machine。めちゃくちゃ気になっています。敬愛するギタリストが使っていたりして、ここ数年何かと気になっていたのですが、ついに用途が現われたのではないか(自分のサウンドに対する意識が上がったため)と思っています。こちらもまだ実際に試せていないので、何ともいえませんが、Magicというスイッチを押した時の音は、古い海外SFアニメの効果音のようです。飛び道具としてもばっちり使えそうですし、何より特徴がありながらも色んな音が構築できそう。マイクやシンセサイザーなんかにつないでも、とっても楽しそうです。
何故今回、「もう一台エフェクターを追加するなら何か」というテーマなのかと申しますと、バンド・セットをとおして、エレキ・ギターを演奏する際の立ち位置を模索している&曲に合った特徴的なサウンドを練り出すギタリストになりたいからです。目指すはアイドルズのギタリストであるマーク・ボーウェン、バトルスのイアン・ウィリアムズなどなど。エフェクターと仲良くなって、自分のサウンドを見つけたいです。
著者プロフィール
崎山蒼志
さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。