ディスク・レビュー『ザ・ブルース・ドント・ライ』バディ・ガイ ディスク・レビュー『ザ・ブルース・ドント・ライ』バディ・ガイ

ディスク・レビュー『ザ・ブルース・ドント・ライ』バディ・ガイ

『ザ・ブルース・ドント・ライ』
バディ・ガイ

『ザ・ブルース・ドント・ライ』バディ・ガイ
ソニー SICP-6492 ¥2,640 10/26(配信9/30) 全17曲

86歳レジェンド、4年ぶりの新作
聴き手をノせる熟練のカマし方

 バディ・ガイが新譜を出すたび、その年齢にたまげるのが定番となっている。86歳かぁ。

 約4年ぶりの新作、往年ほどのキレはさすがに感じないが、チョーキングから急に速弾きへと移る派手好みのこのプレイ。いつ聴いても楽しいし、今日あったちょっとした嫌なことなぞ吹っ飛ぶような晴れやかさだ。

 まぁスタイルが変わらないと言えばそうなのだが、突き上げるようなロック・ビートにノッてくり出す豪快なトレモロ・ピッキングも、やっぱり迫力がある。こうやって彼は、今この場で鳴らす音による“驚きの経験”で客をノせることを信条としてきたのだろう。ブルース・ギターの真髄を極めるというよりは。

 だからギターによるスクラッチでキュッキュと鳴らしちゃう⑫はバディらしい曲とも言えるし、大量の“〇〇キング”が発生したブルース百花繚乱の時代における、彼の成り上がり方(=一発カマすこと)まで垣間見るようで面白い。

 毎度の豪華ゲスト陣も彼のデカい器あってこそ。

(辻昌志)

【参加クレジット】
バディ・ガイ/ジェイソン・イズベル/ジェイムス・テイラー(vo, g)、メイヴィス・ステイプルズ/エルヴィス・コステロ/ボビー・ラッシュ/ウェンディ・モートン(vo)、他

【曲目】
①アイ・レット・マイ・ギター・ドゥ・ザ・トーキング
②ブルース・ドント・ライ
③ザ・ワールド・ニーズ・ラヴ
④ウィ・ゴー・バック(feat. メイヴィス・ステイプルズ)
⑤シンプトンズ・オブ・ラヴ(feat. エルヴィス・コステロ)
⑥フォロー・ザ・マネー(feat. ジェイムス・テイラー)
⑦ウェル・イナフ・アローン
⑧ホワッツ・ロング・ウィズ・ザット(feat. ボビー・ラッシュ)
⑨ガンスモーク・ブルース(feat. ジェイソン・イズベル)
⑩ハウス・パーティー(feat. ウェンディ・モートン)
⑪スウィート・シング
⑫バック・ドア・スクラッチン
⑬アイヴ・ガッタ・フィーリング、他

ギター・マガジン2022年11月号
『ユーミンとギタリスト』
2022年10月13日(木)発売

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