ディスク・レビュー『ヴァガボンド』ドミニク・ミラー ディスク・レビュー『ヴァガボンド』ドミニク・ミラー

ディスク・レビュー『ヴァガボンド』ドミニク・ミラー

『ヴァガボンド』
ドミニク・ミラー

『ヴァガボンド』ドミニク・ミラー
ユニバーサル UCCE-1199 2,860円 発売中 全8曲

スティングの右腕が紡ぐ繊細な情景描写 ECMらしい内省的なインタープレイも魅力

 ECM移籍後の第3弾。“ギター・アルバムを作るつもりはなかった”と本人が言うとおり、全編にわたってアコギがサウンドしているにもかかわらず、ここにあるのは欧州カントリー・サイドを背景としたストーリーを語る“歌”だ。

 世界観の基盤は、思慮深いメロディやアーティキュレーションを伴うギターのアルペジオであり、また、それらのモチーフに時に絡み、時に展開させていくメンバー全員の絶妙なインタープレイ。

 ③で見られる“内省的な対話”は、“空間を作るドラマー”と称されるイスラエル出身の名手がじわりと効いている。⑥でその相互作用は力強さを増し、ギターとピアノの間の取り方が鳥肌ものに。

 唯一のソロ・ギター⑦を挟み、⑧ではハーモニクスを効果的に取り入れたメロディ・プレイでドミニクの芸術美は極まる。

 クラシックや南米音楽、欧州の民謡、そしてメセニーをもエッセンスとして、空間をほんのりと染めていく音世界に癒やされること必至!

(久保木靖)

【参加クレジット】
ドミニク・ミラー(g)、ヤコブ・カールソン(p, k)、ニコラ・フィズマン(b)、ジヴ・ラヴィッツ(d)

【曲目】
①オール・チェンジ
②クルーエル・バット・フェア
③オープン・ハート
④ヴォジーヌ
⑤クランデスタン
⑥アルテア
⑦ミ・ヴィエホ
⑧ローン・ワルツ

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