崎山蒼志の未知との遭遇 第25回:コードから 崎山蒼志の未知との遭遇 第25回:コードから

崎山蒼志の未知との遭遇
第25回:コードから

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

まるでパラグライダーのように。

 今回は、まず初めに、好きなコード進行について記したいと思います。まず私が大好きなのは、2-5-1の進行です。例としましては、Dm→G→Cですね。好きなコードに置き換えると、Dm9→G7→CM7(9)で、心安らぐような気持ちになります。最近最も好む進行がありまして、例としましては、Gm→Am→Bmです。これを好きなコードに置き換えると、Gm11→Am11→Bm11。最後のBm11で、キーがDになる、その浮遊感がとっても大好きです。コード進行は、私にとって、まるでパラグライダーのように、身体感覚に起伏を与えてくれる気がします。その穏やかな風、強い低高差が、私の心に、栄養だったり、さまざまな刺激をくれる気がするのです。

 曲をつくる際、少し前までは、ちょっとでも、今までの自分の曲になかった進行でつくろうと意識していました。最近は、メロディとの相関関係を楽しむようになり、コード進行はなるべく、なるがままに、あまり考えすぎず作っています。「燈」という自分の楽曲も、B♭→C→Dmと、代表的な進行です。そこに9th、テンションを含めています。9thや、7th、テンション・コードが好きな理由の1つに、響きがヴィヴィッドではない、曖昧なニュアンスが出せるから、というものがあると思います。組み合わせによって、ものすごく美しく、メロディアスな進行が作れる。思えば幼い頃から、ブラジルの音楽などに反応していました。聴けば、クラシック・ギターの音色、私の内側に、わたあめのような雲ができる気分でした。

 コード進行が面白いな、美しいなと感じる曲は、ジャズが多いです。ジャズにハマり出したのは、ここ1〜2年で、同世代の素晴らしいプレイヤーだったり、知り合いの影響で、実際のライブにも足を運ぶようになりました。季節がうつろっていくように、変化していくコードの進行に胸を打たれます。一回一回のコードの響きが豊かです。

 ジャズのライブを観に行くようになって、自分が1番白熱するのは、フリー・ジャズ的な部分であることに気づきました。今後フリー・ジャズに傾倒していきそうです。どこまでも終わりなく駆け上がっていくような、畳みかけるサックスの音。ある種叫びのような、カタルシスすら感じます。目の前に音が飛び込んでくる。ギター・ソロを弾く際、今後私もそこから影響を受けて弾いてみたいな、なんて思ったりしました。なんにせよ練習と、スケールの勉強はコツコツとしていきたいです。

 あと、フルアコもいつかちゃんと欲しいです。エピフォンのビンテージ、ギブソンのES-125……。夢が膨らみます。ジェフ・パーカーのような、1音1音が立ち、グルーヴに満ちたギターにも憧れます。

 やりたいことがどんどんどんどん増えていて、そんな中、今まで自分がやってきたことも改めて、考えたり、見直していきたいと思う今日この頃です。最近バンドのスタジオ練で、エレキを、いつものOvation Viperではなく、スタジオにあったFUJIGENのTLタイプを使ってみた時があったのですが、凄く良かったです。練習していた曲に合っていた、ということもあるのでしょうが、バンドとしての音が引き締まったように感じました。また、EQDのPlumes(オーバードライブ)に、FUZZ WAR(ファズ)を重ねがけすることがしばしばあるのですが、Viperとの相性も含め、もう一個、ミッドあたりが調節できるファズがボードにあってもいいんじゃないかとなりました。楽器店の店員さんのお薦めで、MXRのSuper Badass Variac Fuzzと、KarDiaNのC6H8O6 Vitamin Cも試したのですが、めちゃくちゃ良かったです。特にSuper Badass Variac Fuzzは、ミッド・ローがふくよかで、Viperにも合うんじゃないかなと思います。灯台下暗し。ギターの旅、機材の旅は、まだまだ終わりなく続きそうです。

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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