崎山蒼志の未知との遭遇 第27回:ギターの種類による作曲の違い 崎山蒼志の未知との遭遇 第27回:ギターの種類による作曲の違い

崎山蒼志の未知との遭遇
第27回:ギターの種類による作曲の違い

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

2023年は楽器にも人にも恵まれた一年でした。

 昨今は気温の変化が激しく、体調を崩しやすいなと感じております。私自身2023年は体調の変化、それに伴う心の変化に戸惑う日々でもありました……。酷暑、からの、急激な冷え込み。秋はスウェットの下にTシャツを忍ばせるみたいな事が例年よりも長く続いたなと。そんな気温の変化はギターにも良くありませんよね……。夏と冬で、手に取ったギターの調子がなんだか違うぞ、みたいなことが、これまた例年よりあった気がします……。

 でもそんな調子で気温の変化に堪える心身を、ギター、楽器は癒してくれると感じます。サウンドによってはストレス発散になったり、一度手に取れば夢中になり、あらゆる悩みまでもが頭の中から立ち去っていくようです。眠れない時なんかも、エレキ・ギターを爪弾いています。そうするとリラックスしてきて、いつの間にか眠くなるのです。自分の生活にギターは必要不可欠なのだなと感じます。

 もちろん作曲活動にもギターは必要不可欠です。僕はまともに弾ける楽器がギターのみで、しかもギター × 歌の組み合わせがDAWで作ったりするよりも、1番楽曲を作りやすいように感じます。

 そんなギターの種類によっても作る楽曲は変化します。例えばガット・ギターで作る際は、自分の場合、そのイメージやふくよかな音色から、どこか落ち着いたムーディな楽曲か、テンション・コードを利用した少し可愛らしい楽曲になりがちです。その時のテンションが上がりまくっていたり、毛羽立っていたら例外ですが、爪弾く感じの楽曲で声のトーンも下がる気がします。

 一方よく使っているオベーションのアコギでは掻き鳴らす感じで作るので、ビートが際立つ楽曲になります。最近思ったのですが、個人的にはその際にある程度大きな音量が出せたほうがいいです。上京してから、楽器相談可能とはいうものの一般的な住居で生活しているので、ある程度音量には加減をつけて作曲をしなければなりません。一方実家や、スタジオに入る際は、ジャムっぽい感じでギターを弾き出して、そこに歌を乗っけ出していく中で、あんまり音量の加減を気にせずできるので、没頭しやすく、また、その為楽曲の行きたい方向性がわかるといいますか、絵が見えるといいますか、とにかくやりやすいのです。次引っ越すならある程度音量の出せる部屋に住みたいです……。

 所有しているギブソンのLG-1で作曲する時も少し違います。LG-1の枯れた、ブルージィな、またフォーキーな音色を聴きたく思うので、フォークっぽい、開放弦と低音の鳴りを生かしたミディアム・テンポな楽曲が生まれます。1964年製のLG-1で、風格のある、原風景を持ったギターだと思うので、ギターからのインスピレーションだけでも、まだまだこれからたくさんの曲を作れそうです。

 エレキだと、こういう音色が聴きたいから、こういう音色だから、というのがより顕著に出る気がします。ストラトだったらそのサウンドを活かしたカッティングの多い楽曲だったり、単音のフレーズが映えるものを作りたいなとか、SGだったらもっとがっつり、とりあえずはストレートにEコードやAコードが弾きたくなります。歪んだサウンドのジューシーさを活かしたロックな曲が作りたいな、なんて思います。  あのエフェクターが使いたいから、あのアンプの音で、など、本当に機材次第で作る楽曲も作りたい楽曲も変化するように思います。機材集めはそれもう故に創作なのだと思いますが、あんまり買いすぎたら、、それは破綻しますね。今あるギターや機材を大切に向き合いながら、楽器自体に癒されながら今後とも体に気をつけて、楽曲制作していきたいです。

 2023年は楽器にも人にも恵まれた一年でした。たくさんの事を経験し、学べた気がします。2024年はどんな出会いが待っているのでしょうか。ちなみに今気になっている楽器は、ダンエレクトロのダブル・ネック(ギター+ベース)です。あんまり巷で見かけないので珍しいカラーの個体がどこかに入ることを願っています。

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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