ジョン・メイオールを支えた3名の英国レジェンド・ギタリスト エリック・クラプトン(前編)〜“ジョン・メイオール学校”での修行時代 ジョン・メイオールを支えた3名の英国レジェンド・ギタリスト エリック・クラプトン(前編)〜“ジョン・メイオール学校”での修行時代

ジョン・メイオールを支えた3名の英国レジェンド・ギタリスト 
エリック・クラプトン(前編)〜“ジョン・メイオール学校”での修行時代

1965年4月、それまで英国ブルース・シーンで地道に活動を積み上げてきたジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに大きなターニング・ポイントが訪れる。当時ザ・ヤードバーズの活躍で敏腕プレイヤーとしてめきめきと名を上げてきた名手エリック・クラプトンの加入だ。これを契機に同バンドは大きな転換と飛躍の時代を迎えることとなる。ザ・ヤードバーズのポップ嗜好にフラストレーションを感じていたクラプトンにとっても、本格的にブルースにチャレンジする絶好の機会となった。  

文=安東滋 Photo by Getty Images

実力&人気ともに一躍トップ・バンドの座に躍り出る!

当時ザ・ヤードバーズでの活動ですでに敏腕ギタリストとしての高評価をものにしていたエリック・クラプトンを迎えたブルースブレイカーズは、ギター・パートの演奏レベルが飛躍的に向上し、それに伴ってバンドとしても英国を代表するブルース・コンボとしての本物の実力と人気を勝ち得ていく。それ以前のメンバーによる録音トラックと聴き比べてみると、その演奏スキルとクオリティの差は歴然だ。

ブルースブレイカーズ。左からジョン・メイオール、ヒューイ・フリント、エリック・クラプトン、ジョン・マクヴィー。(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)
ブルースブレイカーズ。左からジョン・メイオール、ヒューイ・フリント、エリック・クラプトン、ジョン・マクヴィー。(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

その圧倒的な演奏力と音楽性の高さが称賛される中で、あの有名な落書きの一節、“CLAPTON IS GOD”の称号が巷に広まったのもこの時代。そのクラプトンの成功に誘引されてブルースブレイカーズのバントとしての知名度と評価もうなぎ登りに高まり、それが結果的にクラプトン脱退後も次々と新しい才能をバンドに引き寄せる好循環を生み出していく大きな布石となっていく。

ちなみに上記のブルースブレイカーズ加入時、クラプトンは(1945年3月生まれなので)20歳を迎えたばかり。

ブルースの絆で結びついた師弟関係

約12歳の年齢差があったにもかかわらず、ブルースという絆で結び付き意気投合したジョン・メイオールとエリック・クラプトン。当時のクラプトンについてジョン・メイオールは次のように回想している“エリックの加入で私達の知名度は一気に上昇した。エリックはブルースの本質を経験し共感できた初めての人物だった”。一方、クラプトンもジョン・メイオールを父親のような存在だと語り、“ブルースに関して自分と同じくらい真剣な同志を見つけたんだ”と述べている。

そんな師弟関係の良好さがうかがい知れる好サンプルが、1965年10月に録音されたシングル曲のB面「Bernard Jenkins」。

ジョン・メイオールのピアノとクラプトンのギターだけのデュオ形態で演奏されるこのインスト・ナンバーを聴くと、両者が実に生々と楽しげに、そして自然体でブルースを奏でる様子がダイレクトに伝わってくる。マニアはぜひご一聴を!