アルバート・コリンズのオススメ盤5選〜まずはこれを聴くべし!〜 アルバート・コリンズのオススメ盤5選〜まずはこれを聴くべし!〜

アルバート・コリンズのオススメ盤5選〜まずはこれを聴くべし!〜

毎週、1人のブルース・ギタリストに焦点を当てて深掘りしていく連載『ブルース・ギター・ヒーローズ』。今回はアルバート・コリンズのオススメ盤を5枚紹介。まずはこれらを聴くべし!

選・文=久保木靖

アルバート・コリンズのオススメ盤5選〜まずはこれを聴くべし!〜

❶Albert Collins
『Truckin’ With Albert Collins』
(1969年/Blue Thumb)

アルバート・コリンズがフレディ・キングと並ぶインスト・ブルースの名手として名乗りを上げた1枚で、1962〜1965年の録音をまとめた『The Cool Sounds Of Albert Collins』(1965年)を改題したもの。「Frosty」や「Snow Cone」といった“コールド・サウンド”を標榜した曲が多く、凍傷になりそうなほどに鋭いトーンで切り込みまくる。とはいえ、ルンバ調の「Frostbite」のほか、8ビートもあればインディアン調やR&B調など、リズムはバラエティ豊か。「Dyin’ Flu」(意味は“インフルエンザで瀕死”)は唯一のボーカル・ナンバーで、あっさりしつつも味のある歌声を披露している。

❷Albert Collins
『The Complete Imperial Recordings』
(1991年/Imperial)

Imperial期にリリースされた3作品を全曲収録した2枚組CDで、インスト・ファンクからB.B.キングらのカバー曲でのボーカル入りまで、ごった煮とも言える音楽性の中にギターを轟かせている。チープとも言える音作りが却って魅力だ。内容としては2枚目にあたる『Trash Talkin’』(1969年)が良く、カントリー・フレイバーの「Harris County Line-Up」で肩透かしを喰らうものの、「Talking Slim Blues」(ギター・スリムの「Things That I Used To Do」の改題)などでのブラスもテキサスらしく効果抜群。「Conversation With Collins」は得意のボーカルとギターの“会話”チューン。

❸Albert Collins
『Frostbite』
(1980年/Alligator)

大きな飛躍となったアリゲーター・レコードでの『Ice Pickin’』(1978年)に続く2枚目。それまでは雑多な音楽性やインスト中心ということからどこかチープな印象もあったが、ここにきてA.C.リード(sax)を始めとするシカゴの一流ミュージシャンをバックに従えた重厚なブルース・サウンドを完成させ、同時に初期にこだわっていた“コールド・サウンド”を前面に押し出した。最大の変化はボーカル中心となったこと。妻や友人から本気で取り組むように進言されたらしく、パワーと味が格段に増している。「The Highway Is〜」でのダブル・ストップや「Brick」での同音連発など、ギターも絶好調!

❹Albert Collins And The Icebreakers
『Live In Japan』
(1983年/Alligator)

凶暴なギターに“これでもか!”と打たれたいならば、やっぱりライブ盤だ。本作は東京・九段会館で行なわれた“ブルース・ショー’82”をとらえたもので、1曲目「Listen Here!」から切れ味抜群のギターが飛び出し、果てには自身のボーカルとのユニゾンで観客を煽りまくるから、思わず仰天。「Stormy Monday」における粘り腰や、「All About My Girl」での壊れ気味のソロもたまらん! 「Jealous Man」のボーカルはA.C.リード(sax)で、そのほかジョニー・B・ゲイデン(b)、ケイシー・ジョーンズ(d)という鉄壁のジ・アイスブレイカーズがバックを支える。

❺Albert Collins
『Collins Mix : The Best Of Albert Collins』
(1993年/Virgin)

“代表曲が並ぶ”という点でベスト盤だが、すべて新録。かつ豪華ゲストの参加もあり、まさに“花道を飾る”形となった生前最後の作品だ。ギター2本が咽び泣くゲイリー・ムーアとの「If Trouble Was Money」や、ギター・バトルも飛び出すB.B.キングとの「Frosty」、シカゴ・スタイルの「Tired Man」など、とにかく聴きどころ満載。R&B調のインスト「Collins’ Mix」なんて、1968年の初演(『Love Can Be Found Anywhere (Even In A Guitar)』収録)に比してギターが格段に歌っており感涙! 不満のあったサウンドを現代的に録り直した格好とも言える。