毎週、1人のブルース・ギタリストに焦点を当てて深掘りしていく新連載『ブルース・ギター・ヒーローズ』。今週はアルバート・コリンズの名演を堪能する、全15曲入りのプレイリストをお届け!
文=久保木靖
アルバート・コリンズ(Albert Collins)
そのプレイ、凶暴なり。凍てつくテレキャス・サウンド15選
テレキャスの硬質なトーンを活かし、傍若無人に暴れまくるアルバート・コリンズ。一般的なブルース・ギターだったら音を伸ばすところを、あえてスタッカート気味に“ギャッ!”とフリーズさせることで“冷たさ”を印象づけるのが最大の特徴だ。ここでは古き良きテキサス・スタイルを当代風にアップデートした名演をセレクト。“凍傷”に注意しながら聴いてほしい!
【プレイリスト収録曲】
① 「Avalanche」
② 「Ice Pick」
③ 「The Highway Is Like A Woman」
④ 「Conversation With Collins」
⑤ 「Baby What You Want Me To Do / Rock Me Baby」
⑥ 「Freeze」
⑦ 「Bold Soul Sister」
⑧ 「Sno Cone Part 2」
⑨ 「Don’t Lose Your Cool」
⑩ 「Collins Mix」
⑪ 「Frosty」
⑫ 「T-Bone Shuffle」
⑬ 「Fake I.D.」
⑭ 「Too Tired」
⑮ 「All About My Girl」
まずは大きな飛躍となった『Ice Pickin’』(1978年)から2曲続けてインスト・チューンを。①「Avalanche」はアップ・テンポのシャッフルで、切り裂きプレイが押し寄せてくる様はまさに“雪崩”を起こしたかのよう。②「Ice Pick」はファンキーなリズムに乗ったスクイーズ・スタイルがブルース・ロックな側面を見せる。
『Frostbite』(1980年)からの③「The Highway Is Like A Woman」ではボーカルを披露。オクターブ奏法を活用したギター・プレイが印象的だ。
次の2曲はインペリアル期を代表する『Trash Talkin’』(1969年)から。④「Conversation With Collins」はボーカルとギターが“会話”するスロー・ブルースで、前述の『Ice Pickin’』でも再演されている。⑤「Baby What You Want Me To Do / Rock Me Baby」はご存知ジミー・リードとB.B.キングのカバーで、シカゴ・スタイル&ボーカル入りという、コリンズにとってはやや異色なナンバー。
⑥「Freeze」は1958年の衝撃のデビュー曲。1コードが淡々と続く中、鋭いフレーズがひたすらくり返される。インパクト強し!
アイク&ティナ・ターナーの『The Hunter』(1969年)に収録された⑦「Bold Soul Sister」ではコリンズがセッション・ギタリストとして起用されている。背後で雄叫びを上げるオブリガートは、一聴でコリンズとわかる鋭さだ。
⑧「Sno Cone Part 2」と⑨「Don’t Lose Your Cool」は初期音源をまとめた『The Cool Sound Of Albert Collins』(1965年)から。グルーヴィなビートの上で“冷たさ”を意識したフレーズが軒を連ねる。後者は1983年の同名アルバムや1993年の『Collins Mix : The Best Of Albert Collins』でも演奏された代表曲だ。
次の2曲はその生前最後の作品『Collins Mix : The Best Of Albert Collins』から。⑩「Collins Mix」はR&B調のインストで、その歌い上げるプレイはまるでソウル・ギタリストのごとし。⑪「Frosty」はコリンズの代名詞的な曲だが、このバージョンはB.B.キングとのバトルが楽しい!
⑫「T-Bone Shuffle」はロバート・クレイ&ジョニー・コープランドとの『Showdown!』(1985年)のオープニング・ナンバーで、ご存知T-ボーン・ウォーカーの名曲カバー。ボーカル&ギター・ソロのオーダーは“コープランド→コリンズ→クレイ”だ。
⑬「Fake I.D.」はコリンズが憧れたオルガン奏者ジミー・マクグリフが参加した『Cold Snap』(1986年)からのアップ・テンポなジャズ・ファンクで、マクグリフやコリンズのほか、メル・ブラウン(g)のソロも光っている。
⑭「Too Tired」は『Ice Pickin’』が初出だが、ここではゲイリー・ムーアのブルース作『After Hours』(1992年)からのバージョンを。ボーカルはムーアで、火花を散らす2人のギター・バトルが熱い!
最後⑮「All About My Girl」は初来日公演を収録した『Live In Japan』(1983年)のラスト・ナンバー。同音連発やクロマチックな上昇フレーズなどを織り交ぜた怒涛の弾き倒しがすさまじい! 初演は『Love Can Be Found Anywhere(Even In A Guitar)』(1968年)だ。