ダイアトニック・コードとは? 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第26回 ダイアトニック・コードとは? 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第26回

ダイアトニック・コードとは? 
初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第26回

これまではコード単体の仕組みについて話してきましたが、今回からはコード進行をテーマにします。まずはダイアトニック・コードとは何か?という話から始めましょう。

文・図版作成=ギター・マガジン編集部

はじめに

今回はまずギターを持ち、次の図に示されているコードを好きな順に弾いて、コード進行を作ってみて下さい。この図に並んだコードはすべて「Cのキーのダイアトニック・コード」と呼ばれるものです。

※図は上段が三和音、下段が四和音と区別してありますが、コード進行を作る時は三和音と四和音を混在させてもかまいません。【例:C-Am7-F-G7】
※同じルートの三和音と四和音をつなげてもかまいません。【例:C-C△7】
※三和音のうち「□m(♭5)」は、ギターでは押さえにくく、また曲の中ではあまり使われないコードです。よって、これはまったく使わなくてもかまいません。

「ダイアトニック・コード」という言葉をまったく知らない人でも、これらのコードはなんだか相性が良いというか、適当につなげるだけで曲(の一部)っぽくなることは、おわかりいただけるかと思います。

また人によっては、コードの流れが当たり前すぎて退屈だと思うかもしれませんし、「ある重力圏」に縛られているように感じるかもしれません。

いずれにせよ、これらのコードをつなげると自然なコード進行になりやすい、と言えます。

ダイアトニック・コードとは

ダイアトニック・コードの意味については、リットーミュージック発行の『ハンディ版 音楽用語事典』(現在は絶版)から引用します。

ダイアトニック・コード【diatonic chord】
ダイアトニック・スケール上に成り立つ7通りのコードを指す。ダイアトニック・コードは3音構成によるもの(トライアド)と4音構成によるものとに分けられる。

ここに出てきた「ダイアトニック・スケール」についての詳しい説明は省きますが、本講座で何度も出てきたCメジャー・スケールはダイアトニック・スケールの1つです。

では、そのCメジャー・スケール上に成り立つ7つのコード、つまりキー=Cのダイアトニック・コードを譜面で見てみましょう。まずは3音構成によるコード(三和音)です。

「Cメジャー・スケール上に成り立つ」という言葉の意味がわからない方は、次の図を見て下さい。まず音符は左からドレミファソラシで、つまりはCメジャー・スケールです。このスケールの第1音・第3音・第5音を組み合わせたものがCです。また第2音・第4音・第6音を組み合わせたのがDmです。

CとDm以外のコードの音の組み合わせは次のとおりです。

  • Em:第3音・第5音・第7音
  • F:第4音・第6音・第8音(第1音)
  • G:第5音・第7音・第9音(第2音)
  • Am:第6音・第8音(第1音)・第10音(第3音)
  • Bm(♭5):第7音・第9音(第2音)・第11音(第4音)

*「第8音(第1音)」は、第8音の1オクターブ下が第1音であることを示しています。

これで「Cジャー・スケール上に成り立つ」の意味がおわかりいただけたと思います。

次に4音構成のコード(四和音)も見てみましょう。

4音構成のコードは、3音構成のコードに音が1つ追加されたものとなっています。例えばC△7はCに第7音を追加したもので、Dm7はDmに第8音(第1音)を追加したものです。そして追加された音もCメジャー・スケールに含まれる音です。

ダイアトニック・コード同士の相性が良い理由

これらのコード同士はなぜ相性が良いのか、なぜ適当につなげるだけで曲っぽくなるのか、というと、それはこれらのコードがCメジャー・スケール内の音だけでできているからです。言い換えれば、Cメジャーというキー(ハ長調という調性)の中にすべて収まるものだからです。また、これらだけを使っていると「ある重力圏」に縛られている感じがするのは、これらだけではCメジャーというキーから逸脱できないからです。

そしてこれらのコードを使ってコード進行を作り、そこに適当に鼻歌を加えると、そのメロディは自然とCメジャー・スケールに沿ったものになるはずです。

色々なキーにおけるダイアトニック・コード

C以外のキーのダイアトニック・コードも一覧表で示しておきましょう。ただし♭や♯のつくキーは省略します。

まずは三和音(トライアド)です。一番上に付いているローマ数字入りのコード名についてはいずれ説明しますので、まだ気にしなくてOKです。

IIImIIImIVVVImVIIm(♭5)
Key=CCDmEmFGAmBm(♭5)
Key=DDEmF♯mGABmC♯m(♭5)
Key=EEF♯mG♯mABC♯mD♯m(♭5)
Key=FFGmAmB♭CDmEm(♭5)
Key=GGAmBmCDEmF♯m(♭5)
Key=AABmC♯mDEF♯mG♯m(♭5)
Key=BBC♯mD♯mEF♯G♯mA♯m(♭5)

続いては四和音です。

I△7IIm7IIIm7IV△7V7VIm7VIIm7(♭5)
Key=CC△7Dm7Em7F△7G7Am7Bm7(♭5)
Key=DD△7Em7F♯m7G△7A7Bm7C♯m7(♭5)
Key=EE△7F♯m7G♯m7A△7B7C♯m7D♯m7(♭5)
Key=FF△7Gm7Am7B♭△7C7Dm7Em7(♭5)
Key=GG△7Am7Bm7C△7D7Em7F♯m7(♭5)
Key=AA△7Bm7C♯m7D△7E7F♯m7G♯m7(♭5)
Key=BB△7C♯m7D♯m7E△7F♯7G♯m7A♯m7(♭5)

今の2つの表のうち、例えば「Key=D」の行にあるコードはいずれも「Dメジャー・スケール上に成り立つ」 ダイアトニック・コードです。同じく「Key=E」の行は「Eメジャー・スケール上に成り立つ」ダイアトニック・コードです。以下同様です。

最後に、各キーのダイアトニック・コードを指板図にしたものを示します。試しにこれらの組み合わせでコード進行を作ってみて下さい。キーによっては人差指のセーハ(バレー)が必要なハイ・コードが多数出てきますので、まずはロー・コードの多いKey=CかKey=Gから始めてみるのが良いでしょう。

Key=C

Key=D

Key=E

Key=F

Key=G

Key=A

Key=B

いかがでしょうか? 例えば曲を作るにあたって、「歌い出しのコードがG-Emまでは決まったけど、次にどのコードを持ってくればよいのかわからない」というような時は、Gのキーのダイアトニック・コードの中から候補を探してみて下さい。自然につながるコードが見つかるはずです。

次回は「トニック」、「サブドミナント」、「ドミナント」という概念について説明する予定です。これらを知ることによって、よりスムーズなコード進行が作れるようになります。

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【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは? 
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方 
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方 
◎Cメジャー・スケールを覚えよう 
◎ルートとは?度とは? 
◎コードの構成音一覧 
◎三和音とは? 
◎四和音とは? 
◎テンション・コードとは? 
◎omit3とは?add9とは?sus4とは? 
◎分数コードとは? 
◎続・分数コードとは? 
◎コードは平行移動で覚えよう 
◎続・コードは平行移動で覚えよう 
◎フレット数の書かれていないコード・ブック 
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック 
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