Recording Gear | 小山田壮平×濱野夏椰初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の使用機材 Recording Gear | 小山田壮平×濱野夏椰初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の使用機材

Recording Gear | 小山田壮平×濱野夏椰
初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の使用機材

andymori、ALのフロントマンとして日本のロック・シーンを牽引した小山田壮平が、キャリア初となるソロ・アルバム『THE TRAVELING LIFE』をリリース。“人生とは旅である”をコンセプトにした今作のレコーディングには、Gateballersの濱野夏椰(g)と久富奈良(d)、そして藤原寛(b)を始め、小山田が信頼を寄せるミュージシャンが参加しており、とてもリラックスした音世界を堪能できる。今作のレコーディングで小山田と濱野のふたりが使用した機材を紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 写真=星野俊


Oyamada’s Guitars

Gibson Custom Shop CS-336

14年使い続けるメイン・ギター

14年前に新品で手に入れた2006年製のCS-336。andymori時代からのメイン・ギターである。最初は楽器店でES-335を買おうとしたが、その時に本器が横に置いてあり“小さめのボディがカッコ良かったんです”という理由からこちらを購入。ピックアップはミックス・ポジションを選択している。サウンドに関しては“エレアコとエレキとの中間のような独特の音”とのこと。弦はダダリオの.010〜.046を張ることが多いそうだ。メインのアンプはフェンダーのHot Rod Deville 410で、濱野曰く“組み合わせが優勝”と語っていた。

Fender Japan Stratocaster

お年玉で購入したファースト・ギター

シリアル・ナンバーが“MADE IN JAPAN N054271”であることから、93〜94年頃の日本製と判断する。中学1年生の時にお年玉を貯めて7万円ほどで購入した小山田の記念すべきファースト・ギターだ。andymori、ALでも活躍しており、速いテンポの楽曲やバッキングを前に出したい時のレコーディングで使用。今作では「旅に出るならどこまでも」、「スランプは底なし」、「Kapachino」で登場した。ピックアップはセンターで使用することが多いそう。ちなみに「スランプは底なし」のスライドは、濱野が本器で演奏している。

K.Yairi Angel Series RF-90

弾き語りライブでも活躍のアコギ

小型のボディ・シェイプが特徴のK.Yairiのエンジェル・シリーズ。このRF-90はピックアップを搭載しており、トップ材にソリッド・スプルース、バック&サイド材にソリッド・マホガニーを使用したモデルだ。実は本器は5年ほど前からK.Yairiに借りているものだそう。弾き語りライブはもちろん、バンド・セットでも使用しており、今作のレコーディングでは「ローヌの岸辺」で活躍。サウンドに関しては“柔らかくキラキラした印象”とのこと。最近はエリクサー製の弦を張っているそうだ。

Oyamada’s Pedalboard

2012年から変わらない信頼のボード

①BOSS / TU-2(チューナー)
②Xotic / BB Preamp(オーバードライブ)
③ProCo / RAT Ⅱ(ディストーション)
④Analogman / TS808 Silver Mod.(オーバードライブ)
⑤Noah’sark / AC/DC-1(パワーサプライ)


シンプルな小山田のボード。ギターからの接続順は①〜④の通りだ。アンプを若干クランチさせた状態で、曲によってメインの歪みをディストーション③とオーバードライブ④で切り替える。基本の歪みは④で、ソロなどでブーストさせたい時にオーバードライブ②をオン。しかし③をオンにしている時は、②を同時に踏むことはないそうだ。
③は今作では「夕暮れのハイ」と「旅に出るならどこまでも」で使用。DISTORTIONツマミは控えめで、“音が暴れる直前で止めている”そう。“ちなみにBig Muffも試してみたんですけど、RATのほうがガツンとくる感じがして好みでした”と語ってくれた。
④はandymori『光』(2012年)の頃、当時のエンジニアにオススメされて購入したもの。OVERDRIVEツマミは控えめで8時程度に設定されている。“あまり歪まないのでギターの良いところだけを出してくれる”とのこと。基本的に足下は2012年頃から変わっておらず、andymoriやALではここにMaxon AD999(ディレイ)などが加わっていた。

Hamano’s Guitars

1962 Fender Jaguar

キャンディ・アップル・レッドの62年製

濱野のメイン・ギターは初年度のジャガー。ラウンド指板仕様だ。プリセット・スイッチはオフで使用。ピックアップはフロントがオリジナルで、リアは購入時から70年代のものに交換されていたほか、ブリッジをマスタリー製に交換している。ピックアップは曲によってフロントかリアを切り替えるが、ミックスはあまり使用しないそうだ。Eマイナー・ペンタトニックばかり弾いていたら12フレット周辺が削れてしまったとのこと。弦はROTOSOUNDの.010〜.046を愛用している。

1950’s Framus Electro Universal Double Neck

eBayで購入したラップ・スティール・ギター

ドイツのメーカー、フラマスのダブル・ネック・ラップ・スチール・ギター。50年代後半から60年代前半に製造されたモデルで、一昨年eBayでアムステルダムのユーザーから購入したもの。左側のブリッジが壊れていたため、知り合いのリペアマンに再現してもらったほか、アウトプット・ジャックも交換。左側をC6チューニング(6弦からCACGCE)、右側をレギュラー・チューニングに設定している。今作は「ゆうちゃん」、「スランプは底なし」で使用しており、ボリューム・ペダルとディレイをつなぎアンプから出力したそうだ。

Hamano’s Pedalboard

自作ペダルで生み出す個性的な歪み

①D’Addario / PW-CT-20(チューナー)
②自作プリアンプ
③自作ファズ
④自作ファズ
⑤ProCo / RAT Ⅰ White Face(ディストーション)
⑥TC Electronic / Alter Ego×4 Vintage Echo(ディレイ)
⑦Crews Maniac Sound / DC-TRAIN(パワーサプライ)


見慣れないペダルが並ぶ濱野の個性的な足下。ギターからの接続順は①〜⑥の番号通りだ。チューナー①はGateballersのメンバー全員が同じモデルで統一しているのだが、その理由は“432Hzに対応できた”ため。“432Hzは音の響き方が変わってくるし、エフェクターの乗りも違って楽しい”とのこと。壮平バンドで演奏する際は441Hzに設定している。
②は自作の真空管入りプリアンプで、銀パネ期のフェンダー・アンプの入力段を再現したそうだ。“今回は一番使ったかもしれないです。メイン・アンプのMATAMP GT-100が全然歪まないので、これでブーストさせるのが好き”とのこと。
③はDan ArmstrongのGreen Ringer(リング・モジュレーター)を参考に自作したオクターブ・ファズ。④もZ.VexのFuzz Factoryを参考に自作したファズで、国産パーツのみで仕上げたため本家とはサウンドが異なるそう。「ベロべロックンローラー」のソロは③④の同時踏みだが、③はゲートがかかりサステインがまったくないため、④で持ち上げたそうだ。
⑤のVOLUMEツマミには割り箸を装着し、ソロなどで音量を上げたい時に足で操作ができるようになっている。基本的に使用するエフェクターは②か⑤のみで、曲によってどちらかがオンの場合と、両方オンの場合があるとのこと。
⑥には、Achにショート・ディレイ、BchにDeluxe Memory Man風ディレイ、Cchにリバース・ディレイをプリセット。今回のレコーディングでは「君の愛する歌」などでルーパー・モードも活躍したそうだ。レコーディングではElectro-HarmonixのDeluxe Memory Manと組み合わせ、ディレイの2台使いも肝になっているとのこと。

作品データ

『THE TRAVELING LIFE』 小山田壮平

ビクター/VICL-65411/2020年8月26日リリース

―Track List―

01.HIGH WAY
02.旅に出るならどこまでも
03.OH MY GOD
04.雨の散歩道
05.ゆうちゃん
06.あの日の約束通りに
07.ベロベロックンローラー
08.スランプは底なし
09.Kapachino
10.君の愛する歌
11.ローヌの岸辺
12.夕暮れのハイ

―Guitarists―

小山田壮平、濱野夏椰