カワイSD-4W日本の技術力を感じるビザール カワイSD-4W日本の技術力を感じるビザール

カワイSD-4W
日本の技術力を感じるビザール

個性的な魅力で多くのギタリストたちを虜にする“ビザール・ギター”を、週イチで1本ずつ紹介していく連載、“週刊ビザール”。今週はカワイのSD-4W。ハウンド・ドッグ・テイラーの愛用でも知られ、ビザール界のアイドル的存在であるカワイだが、じっくりと見てみるとその技術力の高さが浮かび上がってくる。

文=編集部 撮影=三島タカユキ 協力/ギター提供=伊藤あしゅら紅丸 デザイン=久米康大

Kawai SD-4W

美しい塗装には歴史あり。

カワイ製ギターの愛用者として真っ先に思い浮かぶギタリストのひとりが、ハウンド・ドッグ・テイラーだろう。彼はS-180やカワイの海外向けブランド=キングストンのSD-40を愛用した。

このように海外での愛用者が見られるのは、カワイ製ギターの多くが輸出用として海をわたったからだ。筆者がフィンランドに取材に行った際、現地のビルダーに「初心者は日本製の中古ギター、特にカワイ製から始める人が多いんだ。だって、下手な新品よりも安価で安定しているし、作りもしっかりしているからね」と聞かされ、日本製ギターの作りの良さを再確認したことがある。

さて今回は、ハウンド・ドッグ・テイラーが使っていたキングストンSD-40、その類似モデルのカワイSH-40Vなどと近いボディ形状のSD-4Wを紹介しよう。

ボディ6弦側のスイッチの機能は下記。

ネック側の3つ:フロントPUとその隣のPUの各オン/オフ、ソロ/リズム切替。
ブリッジ側の3つ:リアPUとその隣のPUの各オン/オフ、ソロ/リズム切替。

そしてツマミ類は、各ピックアップのボリューム(×4)、マスター・トーンというコントロールになっている。

これらのアッセンブリーが装着されたピックガードは、塗装されたアルミ製で、同時代のテスコと同様に独特のレゾナンスを生み出しているが、そこにさらに小さな金属ピックガードが付けられている。ヘッドのペグ周りもアルミ板が装着されているので、このあたりがカワイの主張なのだろう。

ピックアップは、中域が強調された(鼻をつまんだような)音で、これがアルミ・ピックガードと併わさり、独特のブルージィなトーンを生み出している。

ハウンド・ドッグ・テイラーの1st作では、ジャケット写真でカワイS-180を手にしている。ヘッドのアルミ製スペーサーは本器と同様。

そして、なんと言っても目を惹くのはSTスタイルのヘッド……デカい!! しかし、そのヘッドストックをよく注視してみると、杢目の浮かぶ美しいサンバースト・フィニッシュに気がつくだろう。

カワイのエレキ・ギター製造は、カワイ・ピアノの塗装をしていた子会社の遠州工芸株式会社が深く関わっている。当時のアメリカ製ギターに施されたフィニッシュのクオリティの低さを見た遠州工芸の工場長が、塗装の見本を制作したギターこそ、カワイの輸出用エレキ・ギター=SNモデルの始まりであった。

その後、遠州工芸のソリッドギターはおもに海外にその販売網を築き、膨大な機種を送り出していくことになる。

60年代に作られた本器のヘッドやボディを見ると、カワイのアコースティック・ピアノのような高級感を感じるとともに、遠州工芸が持つ技術力やこだわりがうかがい知れるだろう。