気を付けろォーー!!! 我々は既にッ!!!何らかのスタンド攻撃を受けているッ!!!ベンダー・ディストーターキャスター|週刊ビザール・ギター 気を付けろォーー!!! 我々は既にッ!!!何らかのスタンド攻撃を受けているッ!!!ベンダー・ディストーターキャスター|週刊ビザール・ギター

気を付けろォーー!!! 我々は既にッ!!!
何らかのスタンド攻撃を受けているッ!!!
ベンダー・ディストーターキャスター|週刊ビザール・ギター

個性的な魅力で多くのギタリストたちを虜にする“ビザール・ギター”を、週イチで1本ずつ紹介していく連載、“週刊ビザール”。今週ピックアップしたのは、ビザール好きにとってはお馴染みの(?)ベンダー・ディストーターキャスター! これをビザールと言わずして、何がビザールなのか……。圧倒的個性を持ったこの“曲がった”ヤツについて、お話しよう。

文=編集部 撮影=三島タカユキ 協力/ギター提供=伊藤あしゅら紅丸 デザイン=久米康大

Bender Distortorcaster

Bender/Distortorcaster

異次元に行って戻ってきた!?

ビザール好きにはあまりにも有名か? なんといってもこの形状の破壊力、そしてブランド名も“Bender”とシャレが効いている。“Bend=曲げる”とフェンダーを掛けている……という解説は野暮か。しかし、それだけじゃない。このロゴ・デカールはフェンダーのオフィシャル・ロゴをベースに、Fの“7”部分と“d”を組み合わせて“B”の文字を作っているのだ。そしてボディ形状は、歪ませたストラトキャスター=“Distortor”caster(ディストーターキャスター)というわけだが、これを手掛けたのはイギリスの製作家=ブライアン・イーストウッドという男。

ランカシャー州バカップに工房を構えるブライアン・イーストウッド・ギターズは、現在もユニークなモデルを生み出しているが、どちらかといえばリペアの仕事がメイン。数多くのギター修理で腕を磨いたブライアンが、初めてこのビザール・オブ・ビザールを生み出したのは1980年のことだった。1本目は残念ながら盗難にあってしまい現存していないが、残された写真を見て衝撃を受けた著名なギタリスト/コレクター=ポール・デイ(『The Ultimate Guitar Book』の著者としても知られる)が、ブライアンにコンタクトを取った。そして、2本目の製作を依頼し、ふたりは“ベンダー・ディストーターキャスター”と名付けたのだ。

写真からはわかりづらいかもしれないが、ボディの光沢をよく観察するとXYZ方向すべてに歪んでいることがわかる。これは、オベチェの芯材の周りに成形した樹脂を張り合わせて作られており、大柄なボディでありながら軽量(約3.7kg)にまとめる事に貢献している。ヘッド部分も3次元に湾曲しているが、ここはメイプル材のためカービングで形を整えているのだろう。

『ギター・グラフィックVol.3』電子版には、三次元的な歪みがよくわかる画像が収録されている。

ネックも歪んでデザインされているが、ギターとしての機能はしっかりと保ったままなのも驚きで、意外とピッチは正確だ。指板上のフレットもスラントされており、計算されている模様。しかし、ファンフレットがパテント申請されたのは1988年。それよりももっと前にこの発想にたどり着いていたというわけだ……奇才とは彼のことを言うのだろう。ピックアップもかなりスラントして装着されているが、センターPUが逆位相になっており、フェイズ・サウンドが得られる。

こうした各部の工夫により唯一無二のデザインが実現しており、“宇宙からの飛来物”、“四次元空間の産物”、“ダリも驚く溶けたギター”など、様々な形容がなされている。

さて、前述したとおり、ブライアン・イーストウッド・ギターズは現在も製作を続けており、このベンダーというブランドのもとでは、バーンズのシャドウズ・モデルを湾曲させた“バーント・マーヴェル(Burnt Marvel)”や、テレキャスターを歪ませたような“ジェリーキャスター(Jellycaster)”などが作られている。

ちなみに、このジェリーキャスターに関して公式サイトでは、「ディストーターキャスターの大きなカーブが人を遠ざけてしまうのではないかと心配したブライアンは〜」という開発理由を書いている……。

なんそれ!!!

『Guitar Graphic Vol.3』表紙

本モデルは伝説のムック本=『ギター・グラフィック』の第三弾で表紙を飾っている。Kindle版がリリースされているので、こちらも要チェック!!