Axis’ Gear|千秋 & Miyako(DEZERT)ライブ映像作品『DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “TheToday”』使用機材 Axis’ Gear|千秋 & Miyako(DEZERT)ライブ映像作品『DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “TheToday”』使用機材

Axis’ Gear|千秋 & Miyako(DEZERT)
ライブ映像作品『DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “TheToday”』使用機材

V系4人組バンド、DEZERTの最新映像作品『DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “TheToday”』が昨日リリースされた。本作は去る2020年11月23日、LINE CUBE SHIBUYAにて行なわれた熱狂のライブ・ステージを収めたものだ。ここではその発売を記念し、同日のライブで使用された愛用機材をレポートしていこう。どの曲で何が使われているかは映像をチェック!

取材・文=編集部 楽器撮影=小原啓樹

Miyako(DEZERT)の愛用ギター

Gibson Les Paul Standard Blue Mist

Gibson Les Paul Standard Blue Mist

ライブでのメイン・ギター

ライブのメイン器として使用されたのは、ブルー・ミストのカラーリングが映えるレス・ポール・スタンダード。チューニングはドロップC♯(6弦C♯/5〜1弦半音下げ)だが、 “テンションが固くなりすぎるのが苦手”という理由から、弦はアーニ・ボールのレギュラー・スリンキーの.010〜.046が張られている(録音では6弦のみ太いゲージにすることも)。入手したのはアルバム『black hole』(2019年)のレコーディング中で、音源としてはシングル「Your Song」(2020年)で初登場。同曲のギター・サウンドはすべて本器によるものだ。“リアの乾いた歪み、フロントの丸っこくてセクシーなサウンドなどが魅力”だそうで、ライブはもちろん今後はC♯曲のレコーディングのメインとしても活用していく可能性が高いとのこと。本人による改造点はないが、コントロール・ノブは前所有者によって変えられている模様。

Ormsby Guitars TX G7 MH CBP AB

Ormsby Guitars TX G7 MH CBP AB

マルチスケールが個性的な7弦

前述レス・ポールの次にメインとなるのがオーストラリアの新興ブランド、Ormsby Guitarsの TX G7 MH CBP ABだ。フレットが斜めに打ち込まれたマルチスケール(ファンドフレット)が採用され、ダウン・チューニング時のピッチの安定性に一役買っている。DEZERTではB、A、A♯の楽曲用だが、弦はレギュラー・チューニング(B→E)に設定し、楽曲によってデジテックのThe DropでA♯やAにチューンダウンする使い方をしているそう。先のライブでは「Sister」、「教育」、「擬死」などで登場した。本人曰く“ギターを低く構えた時でもすごく弾きやすくて、マーシャルとの相性も良い”とのことで、シェイプやカラーなど見た目も含めてかなりお気に入りの様子。

Fender Custom Shop 1951 Nocaster Relic

Fender Custom Shop 1951 Nocaster Relic

極太ネックの激鳴りノーキャスター!

本人が“一番のお気に入り”と語るフェンダー・カスタムショップのノーキャスターは、DEZERT加入以前、店頭で試奏した瞬間に衝撃を受け即購入したという1本。ハードなレリック加工が迫力満点だ(取材時の生鳴りがハンパじゃなかった!)。チューニングは全弦半音下げ。いかにもノーキャスターな極太ネック仕様だが“自分の手にはフィットしている”と、弾きづらさはまったくないそう。 バラードにはシングルコイルが一番合うという理由から、今回のライブでも「白痴」や「遭難」(ピアノver.)などで使用されていた。 “テレキャスのセンターが大好き”とのことで、PUはほとんどセンターで固定。コントロール・ツマミがドーム・ノブなのもお気に入りポイントだ。

Gibson Les Paul Gothic II

Gibson Les Paul Gothic II

現在はサブのEMG搭載レス・ポール

2年ほど前までメイン器だったギブソン・ゴシック・シリーズのレス・ポール。本器は同シリーズの2で、EMGピックアップ(85/81)の標準装備やエボニー指板の採用など、よりヘヴィ・サウンドに特化した仕様が特徴だ。2016年公開の「変態」のMVでも登場するなどファンにはお馴染みの1本で、同作を始め多くのライブ/レコーディングで使用された。コントロール・ノブが1つ欠けている点が、歴戦の激しいライブを物語っているだろう。Miyakoは同型器をもう1本所有するほど愛用していたが、近年では楽曲のバリエーションが増えてきたため、より幅広いサウンドに対応すべくパッシブPUのレス・ポールを入手。前述のレス・ポールがそれだ。今回はサブ器として用意された(ライブでは使用せず)。

Miyako(DEZERT)のペダル・ボード

Miyako(DEZERT)のペダル・ボード

【写真A/メイン・ペダル・ボード】
①Vemuram/Jan Ray(オーバードライブ)
②VOX/V847(ワウペダル)
③Kemper/Profiler Remote(フットコントローラー)

写真B/メイン・ボードの続き

【写真B/メイン・ボードの続き】
④DigiTech/The Drop (ドロップ・チューン)
⑤Free The Tone/PHV-1(フェイズインバーター)

写真C/ノーキャスター専用ボード

【写真C/ノーキャスター専用ボード】
①Line6/Relay G30 (ワイヤレス・システム)
②Orange Amps/Fur Coat(オクターブ・ファズ)
③Line6/DL4(ディレイ)
④G-LAB/GSC-4(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Xotic/RC-Booster(ブースター)
⑥BOSS/DS-1(ディストーション)
⑦tc electronic/PolyTune(チューナー)
⑧BOSS/MT-2(ディストーション)
⑨Providence/VLC-1(コンプレッサー)
⑩BOSS/BD-2 WEED Mod.(オーバードライブ)

【写真A&B/メイン・ボードの解説】
レス・ポールや7弦で使用する基本サウンドのボード
Miyakoの足下は大きく分けて2つ。まず、ほとんどの楽曲で使用されるのが写真Aのメイン・ボードだ。ギターからの接続順は①Jan Ray、②VOXのワウときて、③Kemperのフットコントローラーから後述のマーシャルへと続いている。チューンダウン用の④The Drop(写真B)は③Kemperのセンド/リターン内だ。①Jan Rayは常時オン。ゲインは低めの設定だ。元々はアンプのみで音作りをしていたが、アンサンブルの中で物足りなく感じたため①Jan Rayを合わせてみたところ、ミドル部分にコシが出て良くなったとのこと。 また、Kemperのプロファイリング機能は使っておらず、空間系エフェクトとして使用している。

【写真C/ノーキャスター専用ボードの解説】
バラードのみで使われたフェンダー・アンプ接続用
こちらはノーキャスター専用のボード。ギターからの接続順は①ワイヤレス、②ファズ、③DL4、④スイッチャーで、そこから後述のフェンダー・アンプへと続いていく。スイッチャーのループ接続には⑤〜⑩のような数種のペダルが接続されているが、今回のライブではノーキャスターがバラード用であったため主に使用したのは⑩BD-2のみ。「白痴」では②ファズ、「遭難」では③DL4も使われた。

Miyako(DEZERT)のギター・アンプ

ギターによって2台を使い分け

Miyako(DEZERT)のギター・アンプ

左は今回が初お披露目となったマーシャルのJVM410HJSで、レス・ポールや7弦用のメイン・アンプだ。ジョー・サトリアーニのシグネチャーで、従来のJVMのリバーブ機能をノイズ・ゲートに変えているのが特徴のモデル。ライブでは長らくケンパーを愛用していたMiyakoだが、“アンプが恋しくなって”という理由から1年ほど前に本機を入手。当初はオレンジやディーゼル、ENGLなどを候補に探していたが、リハスタにあったマーシャル JCM900を鳴らした際に気に入り、マーシャルを色々と試した結果、このサトリアーニJVMに決めたとのこと。右はフェンダーのHot Rod Deville 410で、今回のライブではバラード用に使われた。

JVM410HJSのコントロール。
メインの歪みはOD1 チャンネルのレッド・モードで、クランチ用はCRUNCHチャンネルのオレンジ・モード、クリーン用はCLEAN チャンネルのグリーンモード、ギター・ソロではOD2 チャンネルを選択する。
フェンダー・アンプの上
フェンダー・アンプの上には、祖父のお土産だという広島カープの缶が。中身はピック。

千秋(DEZERT)の愛用ギター

Gibson ES-335

Gibson ES-335

セミアコでドロップBまで下げちゃう!?

見た目の可愛いさと好きな先輩が使っていたこと、さらにサウンドが気に入って購入したというES-335。「蝶々」では全弦半音下げ、それ以外では6弦のみドロップC♯で演奏することも多いそう。ドロップBの曲ではMiyako同様、デジテックのThe Dropを使用してチューンダウンしている。改造点はなし。先のライブではファズを踏みまくって弾かれていた逸品。

Fender Telecaster

Fender Telecaster

トム・モレロに憧れて

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロに憧れて入手したというテレキャスター。ステッカーを貼っているのもモレロのイメージだとか。ちなみに購入後、自分の好きなトム・モレロ・サウンドはテレキャスではなかったことが判明。とはいえ、大切に使用している様子だ。チューニングはドロップC♯。今回は残念ながら登場せず。

千秋(DEZERT)のペダルボード

千秋(DEZERT)のペダルボード

【写真A/メイン・ボード】
①Free The Tone/JB-21 (ジャンクションボックス)
②Free The Tone/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
③Providence/VLC-1(コンプレッサー)
④JHS Pedals/Sweet Tea V3(オーバードライブ/ディストーション)
⑤OKKO/Dominator(ディストーション)
⑥Orange Amps/Fur Coat(ファズ)
⑦Earth Quaker Devices/Disaster Transport SR(ディレイ)
⑧Shure/GLXD16(ワイヤレス・システム)

写真B/アンプの上

【写真B/アンプの上】
⑨DigiTech/The Drop (ドロップ・チューン)
⑩Korg/DT-10(チューナー)

⑪Free The Tone/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)、
⑫tc electronic/PolyTune(チューナー)

【写真C/本人の足下】
⑪Free The Tone/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
⑫tc electronic/PolyTune(チューナー)

【写真A〜C/メイン・ボードの解説】
大先輩のkenと作ったボード!
“クリーンをキレイに作っておけば、どんな歪みがのっても大丈夫”という持論をもとに、L’Arc〜en〜Cielのkenと一緒に作ったという千秋の足下。ギターからの接続順は、アンプ上(写真B)の⑩チューナーと④The Dropを経由し、ペダル・ボード(写真A)の①ジャンクション・ボックスから②スイッチャーへ、そしてスイッチャーからまた①ジャンクション・ボックスへ戻ってアンプへと続く。③〜⑦はスイッチャーにループ接続。各チャンネルにシールが貼られており、それぞれのサウンドを示している。設定されているペダルは以下の通り。
【クリーン】③ VLC-1(コンプ)のみ。
【クランチ】④ Sweet Teaのみ。オーバードライブとディストーションの2 in 1ペダルだが、どちらを使うかは日によるそう。
【ディストーション】⑤Dominatorのみ。
【クリーン+ディレイ】⑦Disaster Transport SRのみ。千秋は以前、kenから借りていたSkreddy Pedalsのechoが気に入っていて、DD-20と両がけなどをしていたそう。泣く泣く返却してしまったため現在の形に。DD-20は現在は使用されていない。
【ディストーション+ディレイ】⑤Dominator+⑦Disaster Transport SR。
ちなみにこのボードはアンプ横などに置かれており、ライブではスイッチャーと連動したコントローラーとチューナーのみ設置されている(写真C)。

千秋(DEZERT)のアンプ

クリーンを生かした選択

千秋(DEZERT)のアンプ

アンプはフェンダーのデラックス・リバーブ。以前は、kenから借りていたフェンダーのHot Rod Devile ML 212(マイケル・ランドウ・シグネチャー)を愛用しており大変気に入っていたそうが、泣く泣く返却してしまったため、現在はこちらを使用。

そして、昨日5月12日に発表された最新情報が、アルバム『RAINBOW』7月21日発売、そして収録曲「ミザリィレインボウ」のMV公開だ。ツアー日程なども決定したので、詳細はオフィシャルサイトへ!

INFORMATION

『DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “TheToday”』

MAVERICK/DCXL-4(Blu-ray)、DCBL-20(DVD)/2020年5月12日リリース

―Track List―

01.Your Song
02.「君の子宮を触る」
03. Thirsty?
04. ラプソディ・イン・マイ・ヘッド
05. 蝶々
06. Sister
07.「教育」
08. 白痴
09.「遭難」
10. Call of Rescue
11.「擬死」
12.「排泄物」
13. 肋骨少女
14. 感染少女
15.「秘密」
16.「変態」
17. True Man
18.「遺書。」
19.「ピクトグラムさん」
20. TODAY
21.「殺意」

―Guitarists―

Miyako、千秋