2009年、元PRSプライベート・ストック責任者という経歴も持つジョー・ナッグスが立ち上げたナッグス・ギターズ。ここで作られているモデルたちを、ひと言で総称すれば“超実用型の高級ギター”だろうか。厳選された木材と美しい塗装、艶やかなボディ・カーブといった高級品としての佇まいを持ちつつ、ネック形状からジョイント部の加工、独自に開発したブリッジまであらゆる方面で実用性を追求している。ギターとは概して、音を出す“道具”であると同時に“工芸品”としての側面も持っているが、その両方をきわめて高いレベルで実現しているブランドと言えるだろう。そんなナッグスの真価を本記事でじっくり探っていく。
TOPICS
ナッグス・ギターズを知る7つのトピック
まずは入門として、ナッグスを知らない人のためにこのブランドの基本事項を7つに分けてご紹介。
文=井戸沼尚也 写真提供=Knaggs Guitars 撮影=星野俊(6,7)
※本記事はギター・マガジン2021年10月号に掲載された『ナッグス・ギターズ トップ・ビルダーが練り上げる美しきハイエンド・ギター』を再編集したものです。
2/米国東部にて熟練の職人たちが製作。

ナッグス・ギターズの製作拠点はメリーランド州グリーンボロにある。工場は100年以上前、1912年の建物をリノベーションしたものだ。当時は野球やボクシングのグローブを作っていたそうで、つまりベーブ・ルース(伝説的なプロ野球選手)の時代の建物だという。そこで、元PRSのスタッフを中心にした精鋭10名が、拡大路線に走らず“過度に市場に供給しない”ことを心がけながら良質なギター作りを続けている。詳細はFACTORYの項を参照。
7/高機能なオリジナル・ブリッジ。

ナッグスのサウンド面で重要なポイントとなっているのが、オリジナル・ブリッジだ。Chesapeake ブリッジ(上写真)は6つのサドルがベース・プレートに沈み込むような作りになっており、左右のブレ防止とサステイン向上を実現。トレモロ・ユニットが蝶番でPUプレートと連結されているのも独特だ。また、Influenceシリーズに採用されたブリッジも注目で、テイルピースと1つの金属パーツでつながった作り。詳細はジョーのインタビューにて!