直枝政広(カーネーション) 2021年の最新使用機材 直枝政広(カーネーション) 2021年の最新使用機材

直枝政広(カーネーション)
2021年の最新使用機材

約4年ぶりとなる新作『Turntable Overture』をリリースしたカーネーション。ここでは、直枝政広の使用機材を紹介しよう。バンドを代表する数々のアルバム・レコーディングでも活躍したギターやアンプは必見!

取材・文=小林弘昂 人物・機材写真=小原啓樹


Guitars

1950’s Fender
Telecaster

50年代のパーツで組み上げた1本

1987年頃、1st『Young Wise Men』(1988年)のレコーディング前にライブで使える良いエレキ・ギターを探し、渋谷にあったPACOという楽器店で購入したブラックガードのテレキャスター。本器はPACOのスタッフが50年代前半のテレキャスターのパーツを組み合わせて作り上げた1本とのこと。売り場に吊るしてあり、当時13万円で購入したそうだ。リア・ピックアップの音が枯れすぎていたため、フラット・ポールピースのものに交換。ブリッジ・サドルも換えているという。今作のレコーディングでは未使用だが、手に入れてからは常にライブのメインで使用し、作曲やレコーディングでも大活躍。カーネーションを語る上で、最も重要なギターだと言えるだろう。

1958 Gibson
ES-225

今作のメイン・ギター

今作のレコーディングで最も使用されたのが、58年製のES-225。5人編成のライブではメイン・ギターにしていくそうだ。本器は2001〜2002年頃、カーネーションが3人編成になるタイミングで入手したもの。当時アレックス・チルトンがトリオでレコーディングした『Loose Shoes And Tight Pussy』(1999年)のようなことがやりたく、ヒックスヴィルの中森泰弘にアレックスの使用機材を調べてもらったところES-225とVOX AC30だということが判明。“まずは機材からだな”ということで探して購入したそうだ。ピックアップ・ポジションはおもにリアを選択。直枝は“デラリバとの相性が良いですね。軽いタッチで鳴るし、無駄な音がない。弾いていて楽しいんですよ”と絶賛。

1965 Guild
T-100

エリオット・スミスに憧れて

1998年、エリオット・スミスにハマり、同じようにライブでフルアコを弾いてみたいと思っていたところ、御茶ノ水の楽器店で見つけて衝動買いしたという65年製のT-100。本器はカーネーション『Parakeet & Ghost』(1999年)、直枝のソロ作『HOPKINS CREEK』(2000年)、『どんなものでも君にかないやしない 岡村靖幸トリビュート』(2002年)に収録された「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」(直枝政広&ブラウンノーズ)などで活躍。その後はあまり出番がなかったが、最近ライブで弾いてみたところパワフルなサウンドが気に入り、今作のレコーディングではES-225と並んで使用された。こちらもピックアップ・ポジションはリアを使うことが多いとのこと。

Gibson USA
SG Standard

トリオ編成の時はこれ!

1990年に新品で購入したというレギュラー・ラインのSGスタンダード。レコーディングでは『天国と地獄』(1992年)から使い出し、ライブでもテレキャスターと並んで使用されていた。SGはパワー・コードだけで間が持つため、テレキャスターよりもパワーが欲しい楽曲で手に取るそうだ。使用するピックアップ・ポジションはリアのみ。直枝曰く“これはネックが鳴るんですよ。でも持った時のバランスが悪いので、マエストロ・ヴァイブローラを付けようかと考えています”。Deluxe Reverbとの相性が良く、最近ではトリオ編成の際にT-100と並んで活躍しているとのこと。今作のレコーディングでは未使用だが、初回盤に付属するライブDVDでは本器を弾いている姿が確認できる。

Original
Thinline Type Guitar

借り物のハンドクラフト・モデル

以前フェルナンデスに勤めていた平石明広氏というビルダーが製作したシンライン・タイプのオリジナル・ギター。ジャガー/ジャズマスター用のブリッジとビグスビーの組み合わせから、67年〜70年代初頭のテレキャスターをモチーフに製作されたと考えられる。直枝は2005年頃から本器を使用。“平石君から「直枝さん、これ使って下さい!」って言われて、それから借りているという形ですね(笑)。トリオ時代にはこのギターに助けられました”とのこと。サウンドの印象としては“50年代テレキャスターよりも落ち着きのある音”で、歌を支えたい時に手に取るそうだ。その一方、ハードな曲にも合うということで、そのオールマイティさから最近もライブでの登場回数が多い。

Original
TL Type Guitar

バキッと鳴るロック・ギター

こちらも平石氏が製作したTLタイプのギター。直枝曰く“キャンディ・アップル・レッドのギターが1本欲しくて、僕が「マディ・ウォーターズのテレキャスいいなぁ」って言ったら設計してくれたんです。それが2007年くらいかな。オールマイティで相当使いましたよ。「Velvet Velvet」と「ジェイソン」(2009年)のMVはこれを弾いていますよね。2009年くらいまではこれと、シンライン・タイプと、50年代テレキャスターをメインにライブをやっていました”とのこと。本器のサウンドは太めでバキッと鳴るらしく、甘さは求めていないという。最近はフルアコがメインになっているため、あまり使用していないが、直枝と言えば本器を思い浮かべるファンも多いのではないだろうか。

1969 Gibson
J-50

様々な名曲を生み出したアコギ

スクエア・ショルダー仕様の69年製J-50。現在アコースティック・ギターは本器しか所有しておらず、ライブやレコーディング、ソロでの弾き語りもこの1本で行なっている。本器は『a Beautiful Day』(1995年)のプリプロ期間中にメンバーと下北沢にあったANDY’S MUSICという楽器店に行き、中古で購入したもの。直枝は“その時すんごくお金がなくて、なけなしのお金で買って(笑)。そしたらこいつがその後たくさん曲を作ってくれたんですよ。そういう思い入れがあるギターです”と話してくれた。ペグは購入時からシャーラー製に交換されていたそう。購入後にブリッジを交換し、ピッキングで削れたボディ・トップの塗装を直している。今作のレコーディングでは「海の叙景」で登場した。

Amplifier

1964 Fender
Deluxe Reverb

15年以上愛用する初期型

 フェンダー・ロゴ・プレートとインプット・ナンバー表記がない超初期型のDeluxe Reverb。63〜64年初期までの特徴だ。直枝は本機を2005年に購入。フィッシュのトレイ・アナスタシオが60年代ブラック・フェイスのDeluxe Reverbを使用しており、それに憧れて大井町にあるシブヤ楽器にて“同じものを探して下さい”と依頼。その後、海外から取り寄せて購入したとのこと。スピーカーはOxford製が搭載されていた。

 インプットはVIBRATOの1を使用。各ツマミはVOLUMEが5.5、TREBLEとBASSが6、REVERBが1過ぎにセッティングされていた。リバーブはたまにオンにするそうだ。この設定はES-225用で、テレキャスターを使う際はVOLUMEを7〜8まで上げる。

 直枝は本機のサウンドを“最高としか言いようがないですね(笑)。良い歪みで、こいつにしか出せない何かがある”と語る。長いキャリアの中で、アンプはPeaveyやVOX AC30、マーシャル1959SLP、さらにフェンダーのTwin ReverbやHot Rodなどを試してきたが、やはり本機が一番のお気に入りで音量のバランスも良く、ライブではメインで使用。レコーディングでも常にスタンバイさせているそうだ。特に『WILD FANTASY』(2006年)では本機の煌びやかなドライブ・サウンドが堪能できる。

Pedalboard

アンプのサウンドを補正

①Jim Dunlop / Cry Baby Mini Wah(ワウ)
②Crowther Audio / HOT CAKE MID LIFT Standard Circuit ver.(オーバードライブ)
③Liquid Gain / Hydra(オーバードライブ)
④BOSS / TU-2(チューナー)
⑤Maxon / D&S(ディストーション)
⑥BOSS / TR-2(トレモロ)
⑦BOSS / DM-2(ディレイ)
⑧Providence / Provolt 9(パワーサプライ)
⑨CAJ / AC/DC Station ver.2(パワーサプライ)

 以前はコンプレッサーやフェイザーなども並べていたが、徐々にシンプルになっていったという直枝のペダルボード。

 ①Cry Baby Miniは対バンしたバンドのギタリストが使用しており、“それ何ですか!?”と興味を持ち、真似して購入したとのこと。普通のサイズのワウは重いため、ミニの軽さが気に入っているという。

 歪みペダルが3台あるが、すべてアンプの歪みをプッシュするブースター用。直枝曰く“バンドの状況にもよるんですけど、基本的には②HOT CAKEと③Hydraの2台を使い分けていて、ちょっとだけ音量と歪みが欲しい時に踏みます。1曲丸々使うことはなくて、部分部分でですね”とのこと。②HOT CAKEはMID LIFTモードに設定。LEDが増設されている。⑤D&Sは学生の頃のバンド・メンバーからもらったという70年代の個体。“暴力的に使う”そうで、ライブでは「アダムスキー」などでオンにする。

 ⑥TR-2はトレモロ・スピードを上げた設定で、飛び道具的に使用。ライブでは「ぼうふら漂流族」などで使うほか、大森靖子『絶対少女』(2013年)のレコーディングではシューゲイザー・サウンドを作る際に活躍したという。LEDが青に交換されている。

 ⑦DM-2は2000年代に中古で購入。ライブでは音を浮かせたい時に薄くかけるそうだ。こちらもLEDが青に変更されている。

作品データ

『Turntable Overture』
カーネーション

PANAM / 日本クラウン/CRCP-20585/86/2021年11月17日リリース

―Track List―

01.Changed
02.SUPER RIDE
03.その果てを心が
04.BABY BABY BABY
05.Highland Lowland
06.霧のスーヴェニール
07.マーキュロクロムと卵の泡
08.Rock On
09.I Know
10.海の叙景
11.Blue Black 

―Guitarists―

直枝政広、松江潤