ライヴ&レコーディングで活躍するantz(Petit Brabancon)の使用機材 ライヴ&レコーディングで活躍するantz(Petit Brabancon)の使用機材

ライヴ&レコーディングで活躍する
antz(Petit Brabancon)の使用機材

新作『Fetish』のリリース・ツアー中であるPetit Brabancon。今回はバンドのツイン・ギターの一角を担うantzの機材をご紹介。バラエティ豊かなギアのチョイスに見え隠れする、彼のサウンドの秘密を紐解いていこう。

取材・文=伊藤雅景 機材写真=星野俊

Guitars

Fender/Blacktop Baritone Telecaster

ヘヴィ・サウンドを生み出すバリトン・ギター

 antzが参加するバンド“CQ”の楽曲で使用するために入手したというバリトン・ギター。購入当初は重厚なリフやフレーズを弾くことは想定していなかったが、思いのほかヘヴィ感のあるPetit Brabanconの楽曲にマッチしたという。サウンドは荒々しくガッツがあり、繊細ではないところがantzのお気に入りポイント。ロー感に特徴を出すために電気系統を一部改造しているとのこと。


Ibanez/FRIX7FEAH-CSF

幅広いギター・アプローチへ貢献した1本

 antzが持つ唯一の7弦ギター。中古で偶然見つけ、“7弦なのにTLタイプ風のシェイプ”というポイントが気に入り購入した1本だ。現在はPetit Brabancon以外で使用することは考えていないが、弦が増えたことで表現の幅が格段に広がったという。“7弦ギターに対して興味を持つきっかけになった”とantzは語ってくれた。弦はダダリオの.010〜.059を使用。


Fender/USA Jazzmaster

『Fetish』の影の立役者

 yukihiro(d)作曲の「come to a screaming halt」で、ドローン・コードを鳴らすために使用したという本器。ライヴでもミヤ(g)のdragonfly/PREMEROと、うまい具合に対になるというシングルコイル・サウンドが重宝され、同楽曲のクリーン/歪みパートで活躍しているとのこと。弦はghsの.012〜.052と、極太なゲージを使用している。

Pedalboard

 Petit Brabancon用に組んだというantzの2枚組ペダル・ボード。右側をボードA、左側をボードBとして解説していこう。

ボードA

【Pedal List(ボードA)】
A1-KORG/Pitchblack(チューナー)
A2-Providece/PEC-02(プログラマブル・スイッチャー)
A3-Third Man/Triplegraph Pedal(デジタル・オクターブ・ペダル)
A4-BOSS/PS-5(ピッチ・シフター)
A5-BOSS/NS-2(ノイズ・ゲート/リダクション)
A6-Ibanez/TS-9(オーバードライブ)
A7-Maxon/OD-9(オーバードライブ)
A8-Zoom/MS-50G(マルチ・エフェクター)
A9-Zoom/MS-70CDR(マルチ・エフェクター)
A10-Vital Audio/VA-12(パワー・サプライ)

antzのメイン・ボード。歪み+空間系+飛び道具系がバランス良く配置されている。

接続順は①→②の順で信号がとおり、②のアウトプットからアンプへ。また、②では後述するボードBを含めた全体のシステムをコントロールしている。

②の各ループの内訳は以下のとおり。

L1:③+④
L2:ボードB①
L3:⑤+⑥+⑦
L4:⑧
L5:⑨
L6:ボードB②
L7:ボードB③
L8:ボードB④+⑤

それでは、ループごとにポイントを見ていこう。

まず、ピッチ・シフター系が接続されたL1内のエフェクターは、今作のレコーディングでも頻繁に使用されていた。③はantz本人がこのツアーでサウンドを再現するべく購入したもので、今後はペダル背面のセンド/リターンを活用した使い方も考えているとのこと。

L3は歪みエフェクターが中心のループ。⑤のセンド/リターンに⑥+⑦がシリーズで接続されている。おもにギターを持ち替えた際の音質補正に使用しているようだ。

L4とL5はZoom製のマルチ・エフェクターが接続されており、これらのペダルは新作『Fetish』のレコーディングでも使用された。

続いて、スイッチャー②のL2、L6〜8に接続されたボードBが以下だ。

ボードB

【Pedal List(ボードB)】
B1-Marty Lost Works/ZIP BOY(ファズ)
B2-MASF Pedals/POSSESSED(ディレイ)
B3-BOSS/DD-20(ディレイ)
B4-Line 6/Verbzilla(リバーブ)
B5-Line 6/Echo pro(ディレイ)
B6-MATOBA FACTORY製パワー・サプライ

①のファズはボードAのL2に接続される。②は歪み系の後段となるL6に位置し、ランダムに残響音を発生させる飛び道具的なディレイだ。おもに「OBEY」のソロで使用。

③はラック・タイプのディレイ。L7に接続されており、スイッチャーのMIDI機能でプログラムを管理している。

最後段のL8につながる④+⑤は、③でまかないきれない残響系のエフェクトを生み出すために採用しているとのこと。

Amplifier

MesaBoogie/Dual Rectifier Road King
RJM/Amp Gizmo

 antzのギター・サウンドの核を担うアンプ&キャビネット。クリーン/クランチ/歪み/ソロなどの基本的な音色は、アンプの各チャンネルで作り込んでいるとのこと。

 ギターの持ち替えの際や、サウンドの質感を変えたい時は足下のペダル類でコントロール。また、チャンネルの切り替えはスイッチャー(Providence/PEC-02)から、ヘッド・アンプの上に置かれているRJM/Amp Gizmoに信号を送り制御している。

LIVE INFORMATION

Petit Brabancon Tour 2022
“Resonance of the corpse”

【スケジュール】
2022年09月16日(金)/Zepp Fukuoka
2022年09月21日(水)/Zepp Haneda ※SOLD OUT

【チケット】

SS席 グッズ付 ¥25,000
S席 ¥15,000
A席 ¥6,500
2階席 ¥15,000
(税込・ドリンク代別) 

ツアーの詳細は公式HPまで
https://www.petitbrabancon.jp/

作品データ

『Fetish』
Petit Brabancon

MAVERICK DC/DCCA-107/2022年8月31日リリース

―Track List―

01.Don’t forget
02.疑音
03.OBEY
04.Ruin of Existence
05.主張に手を伸ばす修羅
06.刻
07.come to a screaming halt
08.I kill myself
09.Pull the trigger
10.非人間、独白に在らず
11.Isolated spiral
12.無秩序は無口と謳う
13.渇き

―Guitarists―

antz、ミヤ

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