Manson Guitar Works
ギターの未来を切り開く先鋭ブランド

マンソン・ギター・ワークス・ヒストリー
〜未だ見ぬ新たなギターを求めて

マンソン・ギター・ワークスは現在、会社としての創設メンバーであるエイドリアン・アッシュトンと、長らくシグネチャー・アーティストとして活躍してきたミューズのマシュー・ベラミーが共同オーナーを務めている。ブランド名の由来となったヒュー・マンソンというオーナー／ビルダーは、2019年9月に現場を退いている。

マシュー、そしてレッド・ツェッペリンのベーシストであるジョン・ポール・ジョーンズなどの使用により、世界的な知名度を獲得した彼らだが、その歴史はイギリスの小さな工房から始まった。彼らが歩んできた道のりを辿っていこう。

マンソン兄弟による小さな工房としてのスタート

1960年代、ヒューの兄であるアンディ・マンソンは、17歳にして自作のアコースティック・ギターを組み上げた。その後アンディは、ロンドン・カレッジ・オブ・ファーニチャーで木工や木材の特性についての知識を身につけ、弦楽器の製作／リペア業務をヒューとともにスタートさせた。

アコースティック楽器に特化していた兄アンディのかたわら、ヒューは電装系を担当するようになる。そしてヒューはエレクトリック楽器に特化して、製作／リペアを行なうようになっていった。

1970年代になると、セミ／フル・オーダー・ギターの注文が増えていく中で、認知が広がっていく。1980年代には、世界的アーティストのオーダーやリペアの依頼も入るようになり、顧客リストにはジョン・ポール・ジョーンズ、ジャック・ブルース、ジェフ・ベックなど、世界的アーティストの名が連なるようになった。

その頃マンソン兄弟はイングランド南西部デヴォンに工房を立ち上げるのだが、エレクトリック・ギター＆ベースを専門にすると決めたヒューと、アコースティック楽器を専門とするアンディは、進む道を分かつことになる。

そうして1992年、デヴォンの工房にエレクトリック楽器専門のスペースを作り、楽器販売も行なう“マンソン・ギターズ・ショップ”をオープンした。これが現在のマンソン・ギター・ワークスの源流である。

マシュー・ベラミーとの出会い〜そしてブランド認知は世界へと拡大していく

マンソン・ギターズ・ショップの立ち上げには、現在のオーナーであるエイドリアン・アッシュトンが関わっている。エイドリアンはロサンゼルスへ留学し、ベース工科大学で学んだのち、地元に“シュパーゼルのサドルについて正しく理解している楽器店がない”というイラ立ちから、ヒューを誘ってショップをオープンしたのだ。

“デヴォンのメイン通りにはいくつかギター・ショップがあったが、マンソンは最も本格的に感じられた”というのは、マシュー・ベラミーの談。アメリカで本格的にベースや弦楽器の構造を学んだエイドリアン、長年リペアや製作を手がけてきたヒューがいる本格的なショップが、マシューが育った家の近所にあったのだ。そしてマシューはショップに通うようになり、ヒューとの関係を築いていく。

1999年にミューズが1stアルバム『Showbiz』をリリースすると、そのギャラをもってすぐにマシューはマンソン製ギターを購入した。さらに、その7弦モデルを使い生み出した2nd作『Origin of Symmetry』で全英チャート3位を獲得。そしてマシューは、自分が思い描く新たな音楽を生み出すために、あのアルミニウムに覆われた特徴的なギターをマンソンへとオーダーした。

デロリアンと呼ばれるそのギターには、Z.VEXのFuzz Factory、MXRのPhase90の回路がカスタムで内蔵され、マシューの創作活動を多いに推し進めた。そして、マシューはマンソンのシグネチャー・アーティストとなり、カオスパッドを内蔵したモデルなど、様々なギターをともに生み出していく。ミューズの世界的な評価の高まりと合わせて、マンソンの名前もさらに広く知れわたることとなった。

こうした世界的な評価の高まりを受け、幅広いユーザーに届けるため、韓国のコルト（Cort）とタッグを組むことに。2015年のNAMMショウでは、マシュー・ベラミー・モデルとしてMBC-1を、2017年にはM-jetとClassic TCをコルトからリリース。さらに、ライセンス契約を締結し、マンソン・ブランドのリーズナブルなラインナップ＝METAシリーズを、コルトによる生産で実現した。

そして、2019年にヒューが現役を引退することを決めたが、マシューが取締役として就任して彼の意思を継ぐ。現在はマシュー、エイドリアンが共同オーナーとなり、従来のカスタム製作に加え、さらに幅広い価格帯のシリーズを計画しているという。また、ピックアップやエフェクターの開発についても、マシューがインタビューで匂わせていた。今後の展開が見逃せない。

注目の4機種を紹介！

ORYX VI Nolly Racing Green

モダン・ヘヴィに対応するユニークな1本

元ペリフェリーのベーシストであるアダム・“ノリー”・ゲットグッドとの共同開発で生まれたORYX。流線形の特徴的なボディは軽量な2ピース・アルダーで、そこにダイレクト・マウントされたベアナックル製Polymathピックアップも、アダムとの共同開発で生まれたものだ。さらにピックアップ・セレクターは3ウェイなのだが、前後に倒すことで各ハムバッキング・ピックアップの接続をシリーズ／パラレルで変更可能なのもユニーク・ポイント。

ほかにも、トーン・プロズ製T3BTブリッジ、グラフテック製ナットと標準装備されたストリング・ダンパーなど、ヘヴィなサウンド・メイクを想定したモダンな仕様を持つ。

MB KR-1 Fuzz Factory Dry Satin Black

世界で1本のみの特別オーダー仕様！

マシュー・ベラミーのシグネチャー・モデル、MB KR-1。その限定モデルとして全世界80本のみ生産されたFuzz Factory搭載器だ。写真は代理店を務めるあぽろんが別注した一点モノで、本来はステージ・ウォーンと呼ばれるエイジド加工が施されているが、エイジド加工なしに、サスティナーが標準搭載されるフロント・ピックアップ部分にはマンソン製シングルコイルに変更している。コイル・スプリットも搭載。

コントロールはリア・ピックアップ付近に3ウェイ・ピックアップ・セレクター、ボリューム、トーンを備え、テイルピース下にFuzz Factoryのオン／オフ・スイッチ、Stabノブ、Compノブ、裏パネルに残りのVol、Gate、Drive用のトリムポットを搭載している。

MA-EV MIDI Dry Satin Black

フラッグシップ・モデルにMIDIパッドを搭載！

フラッグシップ・モデルであるMA-EVにMIDIパッドを搭載した1本。マンソン・ギター・ワークスの“カオスパッド搭載モデル”と認知されているのは本モデルだ。この“M1D1”スクリーン・コントローラーはエレクトロニクス担当のロン・ジョイスが開発したシステム。MIDIケーブルでカオスパッドやデジテックのWhammyとつなぐことで、そのエフェクトを指先でコントロールできる。

ボリュームとトーンの間に3ウェイ・ピックアップ・セレクターを配置しているユニークなコントロールはMA-EV共通。また、M1D1横の黒いスイッチはカオス・パッドのエフェクトなどのHOLDスイッチ、6弦側ショルダーにある黒いスイッチはキル・スイッチだ。

MA-EV Satin Fire Red

鮮やかに目を引くサテン・ファイヤー・レッド

鮮やかなサテン・ファイヤー・レッド・フィニッシュのボディと、漆黒のエボニー指板、ブラックにまとめられたハードウェアがスタイリッシュな印象を与えるMA-EV。6弦側ショルダー部にはキル・スイッチを搭載している。

奇抜なスペックが注目されがちなマンソンだが、チューン・オー・マティック・スタイルのブリッジにストップ・テイルピースといったスタンダード・スタイルに安心する人もいるのでは？　トップ・プロを魅了するリペアやカスタムで培ってきた、ギターとしての純粋な作りの良さを体感するにはもってこいの1本だと思う。

その他ラインナップ、過去販売モデルも一挙紹介！

MA-EV

META MBM1

MB-MA Blue Bell MIDI Pad Sustiniac

MB KR-1 DRY SATIN BLACK STAGE WORN

DL-OR STANDARD

DL-OR Aged

MA-EV Meta Blue Aluminium Parts

MB-2

MA-EV Night Sky Holo Sparkle

MA-EV Nebula

Manson MA Silver Glitter Holes

MB Sheep

MA-Classic Ltd

MB-1 Blue Chameleon

E-BASS John Paul Jones Signature