Charの“Char 45th Anniversary Tribute Live”で会場に展示された、歴史的なギターの数々 Charの“Char 45th Anniversary Tribute Live”で会場に展示された、歴史的なギターの数々

Charの“Char 45th Anniversary Tribute Live”で会場に展示された、歴史的なギターの数々

Charがデビュー45周年企画として行なった、Johnny, Louis & CharとPINK CLOUDの楽曲を演奏するトリビュート・ライブ。その会場には、当時使用していたギターやベースなどが展示されていた。その写真も特別にお届けしよう。

文=近藤正義 協力=林宏樹(ESP Guitars)、鶴賀一史(Char Tribute 宇治茶屋) 撮影=星野俊

JL&C〜PINK CLOUD時代の印象的なギター&ベース

展示されたギター&ベース

2023年6月27日、28日に東京LINE CUBE SHIBUYAで開催された“Char JLC&PINK CLOUDトリビュート・ライブ”の会場ロビーには、CharがJohnny, Louis & CharやPINK CLOUDとして活動していた当時に使用したギターやベースが展示されていた。

この歴史的なモデルを1つずつ簡単に紹介していこう。

展示されたギター&ベース(右側)

①1988 ESP Char Model Double Neck

ナビゲーター・ブランドのダブル・ネック1号器が行方不明になり、ESPで製作されたダブル・ネック2号器。塗装はケンジ・ホフマン。ヘッドのデザインはESPのChar Modelに合わせてあり、1号機よりも軽量化が図られている。ギター側のハムバッカー・ピックアップ、ベース側のプレジション・タイプのスプリット・ピックアップは共にモデル不明。

ビデオでリリースされた『Brain Massage』(PINK CLOUD/1990年10月31日公演)に、同じくダブル・ネックを弾く加部正義(b)との、曲中で何度もギターとベースが入れ替わる応酬が記録されている。

②1980 ESP(Navigator) Char Model II

1978年に始まったESPとのコラボレーションで生まれたChar Model。数々のマイナー・チェンジを経て、スペックが落ち着いたのがこのChar Model Ⅱだ。1978~79年はまだムスタングがメインだったが、1980年頃からは本器の使用頻度のほうが高くなっていく。

ホワイト・アッシュのボディ、珍しい材であるパドゥクを使った1ピース・ネック、ピックアップはフロント、リア共にビル・ローレンス製L-250という仕様。アルバム『U.S.J.』(Char/1981年)、『OiRA』(JL&C/1981年)、映像では『8181 Shock Fes.』(JL&C/1981年8月1日公演)で使用されている。

③Epiphone G400 Extreme

SGのボディ下部をカットしたようなシェイプがユニークな1本。ロック・ナット、フロイドローズ、4点留めデタッチャブル・ネックという仕様である。

Charが公式の場で使っているのは見たことがないが、AIとの共演によるDVD『No Generation Gap』(2004年)の中の“ギター紹介弾き比べコーナー”に登場。ここでCharは“オレっぽくねえ~”、“こいつ、アンプを通して弾いたことあるっけな?”とコメントしながら、オケに合わせて歪んだ音でギター・ソロを披露している。

④ Ibanez VL10(ボリューム・ペダル)

ダブル・ネックの1号器では、信号がステレオ・ケーブルで出力され、ボリューム・ペダルのIbanez VL10でギター信号とベース信号を切り替え、それぞれギター・アンプとベース・アンプへ送られていた。おそらく2号器も同じシステムなのだろう。

このモデルはバランスというモードにセットすると、2つの出力を連続可変的に調節できる。ペダルにペイントされた文字から、つま先側に踏み込むとギター信号、かかと側に踏むとベース信号、という使い勝手にセットされているようだ。真ん中で止めるとギター・アンプとベース・アンプの両方から出力されるのだが、それは実用的だとは思えない。

展示されたギター&ベース(左側)

⑤Navigator Bass Prototype

ナビゲーター・ブランドのこのモデルは、フェンダー・スケールより2フレット長いバリトン・ベースで、全音低いチューニングをする設定。ネック・ジョイント部分は6点留めである。

このベースは1990年代当時、CharがESPのシグネチャー・モデル=Funicharを弾いて6弦D音を出す曲の際、“5弦ベースは使いたくないなぁ”と困っていたベーシスト、澤田浩史のために実験的に作られた。ちなみに当時、澤田とよく一緒に仕事をしていたギタリスト、稲葉政裕にも同様の形のバリトン・ギターが製作されている。

⑥1988 ESP Char Model III

汐留PITのコンサートより登場。1989年に発表されたライブ・アルバム『PINK STICK』、『INK CLOUD』や、映像作品『1988.6.7.JOHNNY LOUIS & CHAR』に登場している。ケンジ・ホフマンによるラメ塗装と月星マークが印象的だ。

Char Model Ⅱとの違いは、穴の空いたヘッド、アルダーのボディ、ローズ・オン・メイプルのネック、リア・ピックアップがセイモア・ダンカン製のホット・レイルにチェンジしたこと(フロントのビル・ローレンス製L-250は変わらず)。

⑦EKO Rockes ロケット・ベース

60年代にイタリアのエコーというメーカーが、安価なこのモデルを作っていた。加部正義がゴールデン・カップス時代に弾いていたことでも有名な、通称ロケット・ベースである。

この個体は近年のリイシュー・モデルで、加部が愛用していたものだ。一般的に流通している1ピックアップ&2コントロールのモデルとは仕様が違い、2ピックアップで3コントロール。ショート・スケールのネックは3ピース。近年Charとも交流のあるベーシスト、ハマ・オカモトが加部正義の熱狂的なファンで、彼もこのモデルを所有している。

作品データ

『SOLILOQUY』
Char

ZICCA RECORDS/ZRSY-01/2023年7月31日リリース

―Track List―

  1. JEFF -SOLILOQUY
  2. BLUE WIND
  3. GOJIMADE MATENAI
  4. STRA-POLE -PAGE 12-
  5. BEYOND THE BEYOND
  6. INFANT ELEPHANT
  7. MICCA BOZER
  8. MY FAVORITE THING
  9. VOYAGE
  10. KINDESALTER
  11. WHEN YOU WISH UPON A STAR
  12. I FEEL FREE

―Guitarist―

Char