ケンタウルス系オーバードライブ・ペダル14機種を徹底試奏! ケンタウルス系オーバードライブ・ペダル14機種を徹底試奏!

ケンタウルス系オーバードライブ・ペダル14機種を徹底試奏!

ペダル製作者のビル・フィネガンにより1994年に誕生した、KLONのCENTAUR(ケンタウルス)。抜群の音抜け、デッド・ポイントなしのトーン、アンプ・ヘッドルームをプッシュする力強さ……GAIN、TREBLE、OUTPUTというシンプルなコントロールながら数多くのギタリストを惹きつけ、伝説の名機とまで呼ばれる地位まで登り詰めたオーバードライブ・ペダルである。

そしてその確かな実力ゆえ、数々のフォロワー・ペダル──いわゆる“ケンタウルス系”ペダル(“ケンタ系”とも呼ぶ)も多数生まれてきた。

そこで今回ギター・マガジン編集部は、2024年の今、注目すべきケンタ系ペダル14機種を厳選して紹介。各ブランドが名機ケンタウルスをどう解釈して作り上げたのか。

試奏者には、過去に膨大な数の製品試奏を行なってきた業界屈指のレビュアー=村田善行を迎え、その実力を探っていく。

取材・文=辻昌志 撮影=星野俊
※本記事はギター・マガジン2024年3月号の『徹底試奏! ケンタウルス系ペダル14選』を再編集したものです。

ラインナップ

Bondi Effects/Sick As Overdrive

HTJ-WORKS/Bright Horse Aged Gold

J.Rockett Audio Designs/Archer Select

ORIGIN EFFECTS/Halcyon Gold Overdrive

STUDIODAYDREAM/KCM-OD GOLD V9.0 -EXTREMELY TUNED-

STUDIODAYDREAM/KCM-OD Silver V11

総評コメント by 村田善行
〜14機種の試奏を終えて

村田善行

歪み始めた時の音をとらえたペダルが多かった

14台の試奏、お疲れさまでした! まずは、弾き終えた感想からお願いします。

 やっぱり、ケンタウルスは使いやすいペダルなんだなと。そりゃ、みんなが欲しがるわけですね。だからこそたくさんのペダルが出ていて、その数だけの解釈がある。

今日もレプリカにこだわったペダルと、独自の解釈を加えたペダルがありましたね。

 そうですね。そこでキャラクターが分かれる。全体的な話で言えば、わりとどのブランドも歪んだ時の音やキャラクターを上手くとらえていた印象ですね。僕の場合、ケンタにはおもにクリーン・ブーストからクランチの音を求めています。だから一般的にはもっと歪んだ音をケンタに求めているのだな、と。そこは発見でした。

クリーン・ブースターとしての魅力は、やはりオリジナルにしかないものがあると。

 あとは面で出てくる低域のパワー感だったり、GAINが0の時とバイバス時のバッファーの音はオリジナルならではかなと思います。今日弾いたペダルはケンタが持つ古いアンプが歪んだような音を再現しつつ、よりハイゲインにした製品もあれば、歪みは抑えて飽和感だけ出るようにしているのもあり、それぞれの解釈が面白かったです。それから全体としてはウェットでモダンな感じがあり、抜けが良い印象でした。

14台の中で、村田さんが驚いたペダルは?

 みんなが好きな音だろうな、という点で見ればORIGIN EFFECTSのHalcyon Gold Overdrive。純粋なケンタ系としても使えるし、プラスアルファの音も使えるんですよね。あとは、WAY HUGEのWM20 CONSPIRACY THEORY。クリーン・ブーストの音、GAINをちょっと上げた時の香ばしい感じ、フルにした時のディストーション感も似ていました。あのサイズ感で、そのうえツマミ3つでコントロールできるのはお見事です。

ケンタ感を出すツボの押さえ方が上手いのでしょうか?

 そうかもしれません。ただ、ケンタウルスって凄く個体差があるんですよね。パーツが同じなのに音が違うから、意図したものではなく“出ちゃった個体差”なのですが。だからケンタ系を作る人がどの個体を参考にしたかで、違う音にもなると。ファズっぽい個体が好きで作ったらそういう音になるわけで。ゴールド、シルバーの筐体によっても違うわけですし。

ゴールド筐体(左)とシルバー筐体(右)型のオリジナル機
当日は比較用として、ゴールド筐体(左)とシルバー筐体(右)型のオリジナル機を2台用意して試奏を行なった。

そういう意味では、ひと口にケンタウルス系と言っても、多様なサウンドがあるわけですね。

 そうですね。あくまでケンタウルスという枠の中で、どの個体が好きなのか?という。ただ、僕が思う個性は、GAINを0から9~10時まで上げた時、急にキャラクターが変わるところ。それから、GAINを上げるとある枠の中で音が濃密になっていくという点ですね。でも今日弾いたペダルは、ほとんどがそのポイントを再現していましたよ。

ゴールド筐体の香ばしさはケンタ系には絶対に必要

村田さんが個人的に考えるケンタ系ペダルを選ぶ基準は?

 まずはGAINが0の段階で、ちゃんとした音になっているかどうかです。僕の場合は、バッファーの音とGAINを0にした時の音が欲しくてケンタウルスを使います。あとはゴールド筐体が歪んだ時の香ばしい音は絶対に必要です。とにかく、GAINが0の時と11時の音が似ていれば、僕の場合は何とかなります(笑)。要するにクリーン・ブーストか、ジョン・メイヤーたちが使うように音をファットにするドライブ・ペダルとして使うか、みたいな感じで。

なるほど。

 GAINが0の時はクリーンでもモチっとしていて、ローがボンッ!って感じで出ているんですよ。で、GAINを上げていって、2時くらいを越えるとエディ・ヴァン・ヘイレンやクリーム時代のクラプトンもできるような、そういう歪みになっていないとケンタらしさがしない。今の人にとっては、そこまでの“おっさん臭さ”は必要ないかもしれないので(笑)、GAINを上げた時にザーッと歪むモデルもあるのかなと。

その辺がレプリカに徹するか、モダンにいくか、分かれ目かもしれませんね。

 その間のおいしいところをとったのが、WAY HUGEのペダル。ハムバッカーでヴァン・ヘイレンまでいけるっていう(笑)。それからORIGIN EFFECTSも。クラシックとモダン、その塩梅を調節をできるのが凄い。でも、自分のバンドをやってる人は、気に入った音が出るペダルを買えばOKですから。今日はケンタウルス系の中にも、クラシック系とモダン系があることがわかりました。幅が広がって、どれを選べば良いか悩ましいですね(笑)。

村田善行

むらた・よしゆき●(株)クルーズが運営する東京・渋谷の楽器店フーチーズに在籍し、ある時は楽器メーカーにも勤務。その傍ら、専門誌などでライター業や製品デモも行なう。新製品やビンテージを問わず、ギターやペダル、アンプに関する確かな知識と経験に基づいた機材レビューの的確さは非常に高い評価を得ている。

公式X(Twitter) >

ギター・マガジン2024年3月号表紙

ギター・マガジン2024年3月号
『特集:ブライアン・メイ(クイーン)

本記事はギター・マガジン2024年3月号に掲載された『徹底試奏! ケンタウルス系ペダル14選』を再編集したものです。