2年ぶりの新作『HELL』をリリースしたおとぎ話が、6月15日(土)に神田明神ホールでレコ発ワンマン・ライブを行なった。ここでは牛尾健太(vo,g)が使用した機材をご紹介。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
USHIO’s Guitar
2010 Gibson Custom
Historic Collection SG Standard
10年以上ライブはこれ1本!
牛尾のメイン・ギターは、2013年頃に知人から譲ってもらったという2010年製Historic CollectionのSGスタンダード。ジミー・ペイジへのリスペクトからペグをGroverのミルク・ボトル・タイプに交換している。サドルもナイロン製に交換済み。ピックアップはリアを基本にし、楽曲によってフロントとミックス・ポジションを切り替え。本器のトーン・ツマミを4〜5程度まで絞り、アンプ側で高域を上げるのが牛尾流の音作りだ。もちろん、この日のライブも本器のみを演奏。弦はErnie BallのRegular Slinky(.010〜.046)を愛用している。
USHIO’s Pedalboard
大好きなRAT Ⅱが2台に増殖
【Pedal List】
①MXR / Dyna Comp(コンプレッサー)
②Xotic / EP Booster(ブースター)
③Ernie Ball / #6166 250K Volume Pedal F-sugar Mod.(ボリューム・ペダル)
④Fulltone / CLYDE Standard Wah(ワウ)
⑤Electro-Harmonix / Micro POG(ピッチ・シフター)
⑥BOSS / VB-2W(ビブラート)
⑦BOSS / SD-1(オーバードライブ)
⑧J. Rockett Audio Designs / Archer Ikon(オーバードライブ)
⑨ProCo / RAT Ⅱ(ディストーション)
⑩ProCo / RAT Ⅱ(ディストーション)
⑪Electro-Harmonix / Ram’s Head Big Muff π(ファズ)
⑫MXR / Micro Amp(ブースター)
⑬MXR / Phase 95(フェイザー)
⑭Empress Effects / Vintage Modified Superdelay(ディレイ)
⑮Line 6 / DL4(ディレイ)
⑯BOSS / DD-6(ディレイ)
⑰strymon / buleSky V1(リバーブ)
⑱BOSS / TU-3(チューナー)
⑲VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)
⑳VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)
ギターからの接続順は①〜⑰の番号どおり。⑰blueSky V1の2つのアウトから2台のアンプにつながれている。⑱TU-3は③Volume Pedalのチューナー・アウトと接続。
②EP Boosterはツマミをゼロにして常時オン。そうすることで、アンサンブルの中でギターの抜けが良くなるそうだ。
牛尾は楽曲によって⑧〜⑩の3台の歪みを切り替えており、メインの歪みは⑨RAT Ⅱを使用。DISTORTIONツマミを8時程度の控えめのセッティングにし、クランチを担当している。「美」や「ね。」では本機をメインにしつつ、ソロでは⑦SD-1を⑨RAT Ⅱのゲイン・ブースターとして使用。「恋は水色」や「MARY」などの歌裏では、⑦SD-1と⑨RAT Ⅱを2台オンにして歪みを作ってるとのこと。
⑧Archer Ikonは、⑨RAT Ⅱとは違うニュアンスが欲しい時に切り替える。「DEAR」のメインの歪みは⑧Archer Ikonで、ソロでは⑦SD-1を踏み、アウトロで⑫Micro Ampをオンにして音量を稼いでいる。ほかには「SMILE」の歪みも⑧Archer Ikonで作っているそうだ。
⑩RAT ⅡはDISTORTIONツマミを10時程度まで上げてディストーションを担当。「TEENAGE KIXX」、「光の涙」、「GALAXY」は本機がメインのサウンドだ。
⑪Ram’s Headは「恋は水色」と「光の涙」のイントロ、「HOMEWORK」のソロ、「NIGHTSWIMMING」の間奏、「COSMOS」や「AURORA」のラストなどで踏んでいる。バッキングで踏むことはないそうだ。
①Dyna Compは基本的にスライドを弾く時にオンにするが、「SMILE」や「FAN CLUB」では1曲丸々踏みっぱなしにしている。おとぎ話ではあまり使用しないが、カジヒデキのサポート現場などでは多用しているとのこと。
以前は歪みペダルのうしろにつないでいた⑤Micro POGだが、現在は歪みペダルの前にセット。この位置のほうがピッチが良いという。本機もたまにしか踏まないそうで、神田明神ホールでのライブでは未使用。
⑥VB-2WはBYPASSモードに設定し、「HOMEWORK」で常時オン。「正義の味方」ではBメロで使用している。
⑬Phase 95は、神田明神ホールでのライブでは未使用。普段は「綺麗」で使用しており、たまにテンションが上った時にもオンにするとのこと。
⑭Vintage Modified Superdelayはtapeモードの薄いショート・ディレイをプリセットし、ライブ中はほとんどかけっぱなしにしている。しかし、「TEENAGE KIXX」、「少年」、「I♡PIG」、「光の涙」など、ストレートな音を出したい楽曲ではオフにするという。「COSMOS」ではプリセットを切り替え、イントロではrevモードのオクターブ・アップを、そのほかのパートではtapeモードのロング・ディレイを使用している。また、「COSMOS」では本機と同じディレイ・タイムに設定した⑯DD-6も同時にオンにしている。
⑮DL4は3つのディレイをプリセットしており、AにはANALOG ECHOモードの薄いショート・ディレイを、BにはANALOG ECHOモードの薄いロング・ディレイを、CにはREVERSEモードをアサイン。ライブ中、Aのショート・ディレイをよく踏むそうだ。Bのロング・ディレイは「AURORA」で踏みっぱなしにしたり、ギター・ソロでオンにすることも。Cのリバース・ディレイはあまり使わないが、「FALLING」の間奏で使用する。また、「COSMOS」のイントロでは本機のルーパー機能を活用している。
⑯DD-6はWARPモードに固定。神田明神ホールでのライブでは「繊細」のソロでWARP機能を使用していた。
⑰blueSky V1はspringタイプ/normモードに設定し、『HELL』の楽曲は「I♡PIG」以外ですべてオンに。ライブ中、多くの楽曲でオンにしているが、「ネオンBOYS」や「TEENAGE KIXX」などロックな楽曲ではオフにしているとのこと。FAVORITEスイッチにはplateタイプと/modモードで、MIXとDECAYを高めにセッティングしたリバーブをプリセット。神田明神ホールでのライブではFAVORITEスイッチは未使用だった。
USHIO’s Amplifiers
・Fender/Blues Deluxe Reissue
・Fender/Hot Rod DeVille 212
音の広がりを生み出す2台鳴らし
ライブでの牛尾のアンプは、Blues Deluxe Reissue(左)とHot Rod DeVille 212(右)の2台をセット。
Blues Deluxe Reissueは、40W出力で12インチ・スピーカーを1発搭載したモデル。INPUT 1を使用し、各ツマミはVOLUMEが2、DRIVEが0、TREBLEが4、BASSが4、MIDDLEが4、REVERBが3、PRESENCEがゼロに設定されていた。VOLUMEツマミはクランチする直前で止めており、音の奥行きを出すためにリバーブをオンにしている。本機は音のバランスの良さが気に入っているそうだ。
Hot Rod DeVille 212は、60W出力で12インチ・スピーカーを2発搭載したモデル。NORMAL Chを使用し、BRIGHTスイッチはオフ。各ツマミはVOLUMEが2、TREBLEが5、BASSが3過ぎ、MIDDLEが4、MASTERが1.5にセッティングされており、DRIVE、REVERB、PRESENCEはゼロだった。本機の音量はほとんど上げないとのこと。
まじ、HELL!
2024年6月15日(土)
神田明神ホール
【Setlist】
01. 恋は水色
02. MARY
03. ネオンBOYS
04. TEENAGE KIXX
05. 美
06. ね。
07. ふしぎソング
08. I♡PIG
09. HOMEWORK
10. 少年
11. 闇堕ち
12. DEAR
13. 絵画
14. NIGHTSWIMMING
15. 繊細
16. AURORA
17. です愛
18. 正義の味方
19. 光の涙
20. COSMOS
-Encore-
21. Boys don’t cry
22. GALAXY
23. SMILE
24. FUN CLUB
作品データ
『HELL』
おとぎ話
felicity
MARY-001 / felicity cap-372
2024年5月29日リリース
―Track List―
01.恋は水色
02.MARY
03.美
04.ね。
05.I♡PIG
06.闇落ち
07.絵画
08.繊細
09.です愛
10.正義の味方
―Guitarists―
有馬和樹、牛尾健太