L’Arc-en-Cielとしては2年半ぶりの東京ドーム公演となったhyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde誕生祭。このスペシャルライヴのためのリハーサル現場でkenの最新のサウンドシステムを取材することができた。最高のギタートーンを追い求めて、ビンテージから最新機材まで使いこなすkenの現代の集大成とも言えるアンプ&エフェクツ群を見ていこう。
取材/文=鈴木伸明 機材写真=小原啓樹
Sound Systems
効率よくまとめられた巨大ラックシステム

巨大なラックに収められたkenのサウンドシステム。音色の切り替えはステージ袖にてギターテックが行なっており、FREE THE TONEのルーティングシステムを中心に、効率的なコントロールができるように構築されている。
ラック(右側)

ツアーやライヴのたびにマイナーチェンジを経て洗練されてきたラックシステム。今回もいくつかのエフェクターが新たに加わった。
ラックの右側にはペダルタイプのエフェクター、左側はディレイを中心としたラックタイプのエフェクターがまとめられていた。各エフェクターを接続するケーブルはFREE THE TONEのCB-6560を使用していた。
ラック右側には3つのトレイが設置されており、ペダルタイプのエフェクターを収納。トレイ以外のラックエフェクターは以下のとおり。
【Pedal List】
①Furman / PL-Plus DMC J(パワーコンディショナー)
②FREE THE TONE / PC-184(パワーサプライ)
③FREE THE TONE / PMS-16U(MIDIルーティングシステムコントローラー)
④FREE THE TONE / PC-76(リモートコントロールインターフェース)
⑤FREE THE TONE / カスタムルーティングユニット
⑤はシステムの中心になっているFREE THE TONEのルーティングユニット。ギターからの信号はまずここに入る。ケーブルインプットが2つ、ワイアレスインプットが2つ(裏側に入力あり)用意されているほか、ワウペダルを含むエフェクター類も8系統のループにつながっており、ここからアンプへと接続される。
①PL-Plus DMC Jはラック内の各システムへ安定した電源を供給。②PC-184はエフェクター専用の電源ユニットで9.6Vの電流を供給。③PMS-16UはMIDIペダルの信号をコントロールして、カスタムルーティングユニット(⑤)に入力。④PC-76はデジタル信号とアナログ信号のグラウンドを完全に分離するためのユニットで、これによりピュアなギターサウンドを出力することができる。

ラック(左側)

ラックの左側のエフェクターは以下のとおり。
【Pedal List】
⑥ETA / PD8L(パワーディストリビューター)
⑦KORG / DTR-1(チューナー)
⑧Alesis / Q20(マルチラック)
⑨Roland / SDE-2000(ディレイ)
⑩Roland / SDE−3000 A(ディレイ)
⑪TC Electronic / TC2290(ディレイ)
⑫FREE THE TONE / FF-1Y-K(ディレイ)
⑬FREE THE TONE / FF-1Y-K(ディレイ)
⑭EDIROL / UM-880(MIDIインターフェース)
⑮FREE THE TONE / PMS-16U(MIDIルーティングシステムコントローラー)
⑯FREE THE TONE / カスタムミキサー
⑰FREE THE TONE / カスタムミキサー
⑨SDE-2000、⑩SDE-2000 A、⑪TC2290はクリーンサウンド用のディレイで、クリーン用アンプのTwo Rock Classic Reverb Signatureへ音を出力するカスタムミキサー(⑯)につながっている。
トレイに収められた2台のディレイ(⑫&⑬)は歪みサウンド用のディレイで、ドライブサウンド用アンプのSuhr ML-100のセンド/リターンに接続されるカスタムミキサー(⑰)につながっている。
⑭UM-880には3台のMIDIフットコントローラーが接続されており、⑮PMS-16Uもコントロール。⑮PMS-16Uから右側のカスタムルーティングユニット(⑤)へサウンドが出力され、エフェクトループやアンプが適宜選択される。


ラック(右側)/トレイ1

【Pedal List】
⑱FREE THE TONE / JB-41(ジャンクションボックス)
⑲FREE THE TONE / OVERDRIVELAND(オーバードライブ)
⑳FREE THE TONE / OVERDRIVELAND(オーバードライブ)
歪みサウンド用のアンプ、Suhr ML-100につながるペダル。この2台のOVERDRIVELANDはプロトタイプで、右側の⑳はノーマルとドライブを使い分けていて、左側の⑲はギターソロ用だ。
ラック(右側)/トレイ2

【Pedal List】
㉑FREE THE TONE / JB-41(ジャンクションボックス)
㉒FREE THE TONE / OVERDRIVELAND(オーバードライブ)
㉓FREE THE TONE / SILKY GROOVE(コンプレッサー)
㉔FREE THE TONE / INTEGRATED GATE(ノイズリダクション&ゲート)
㉕FREE THE TONE / COSMIC WAVE(モジュレーションディレイ)
㉖MXR / EVH 117 Flanger(フランジャー)
㉗Catalinbread / Soft Focus Deluxe(リバーブ/ディレイ/ディストーション)
こちらはクリーンサウンド用のアンプ、Two-Rock Classic Reverb Signatureにつながるペダル。今回新しく導入されたのは㉖MXR EVH 117 Flangerと㉗Catalinbread Soft Focus Deluxe。
ラック(右側)/トレイ3

【Pedal List】
㉘FREE THE TONE / JB-41(ジャンクションボックス)
㉙FREE THE TONE / PA-1QB(プログラマブルEQ)
㉚Shin-Ei / Uni-Vibe(ヴァイブ)
こちらもクリーンサウンド用のTwo-Rock Classic Reverb Signatureにつながるエフェクターで、㉙PA-1QBは常にオン。㉚Uni-Vibeはステージ上の足下に置かれた㉜エクスプレッションペダルでコントロール。ビンテージエフェクターではあるが、非常にコンディションの良い1台だという。
ステージ上の足下

【Pedal List】
㉛Shin-Ei / Uni-Vibe用エクスプレッションペダル
㉜VOX / Clyde McCoy(ワウ)
㉝FREE THE TONE / ミュートスイッチ
㉞Peterson / Strobo Stomp LE(チューナー)
㉟god-vibe / EXP BOX(Uni-Vibeケーブル延長用インターフェース)
シンプルにまとめられているkenの足下。左側の2台のペダルは、長年愛用している㉛Uni-Vibe用エクスプレッションペダルと㉜VOXのワウと。㉜VOXのワウは1968年後期製のビンテージで、オリジナル仕様のままの電池駆動となっているため、ライヴごとに9V電池を入れ替えている。
右はラックシステムのミュートを行なうFREE THE TONE製ミュートスイッチ(㉝)と、Petersonのチューナー(㉞)。
㉟god-vibeのEXP BOXは、Uni-Vibe用のケーブル延長用インターフェース。
Amplifiers
・Suhr / ML-100
・Two Rock / 2×12 Speaker Cabinet


ドライブサウンド用アンプシステム
歪み用に用意されていたアンプは、SuhrのML-100。近年のkenサウンドには欠かせない1台である。アンプの下には、Shure製AXT400(ワイヤレスレシーバー)、ATX900(バッテリー充電器)、AXT630(アンテナ分配器)が配置されていた。
SuhrのサウンドはTwo Rockの2×12キャビネットで出力。スピーカーはCelestionのG12M-65Creamback。スピーカーケーブルは編組スリーブを被せて耐久性を向上させた、FREE THE TONEのCS-8037-BSを使用していた。
・Two Rock / Classic Reverb Signature
・Kerry Wright / 2×12 Speaker Cabinet

クリーンサウンド用アンプシステム
クリーン用のアンプはTwo RockのClassic Reverb Signature。下にあるKerry Wrightの2-12オープンバックキャビネットで出力している。スピーカーはCelestionのG12M-65Creambackだ。