ザ・マーダー・キャピタルの初来日公演でカサル・ローパーが使用したペダルボード ザ・マーダー・キャピタルの初来日公演でカサル・ローパーが使用したペダルボード

ザ・マーダー・キャピタルの初来日公演でカサル・ローパーが使用したペダルボード

2017年にアイルランド・ダブリンで結成された5人組ロック・バンド、ザ・マーダー・キャピタル。2025年2月21日(金)に3枚目のアルバム『Blindness』をリリースした彼らが、3月27日(木)に代官山SPACE ODDにて初の来日公演を行なった。来日のタイミングで、ダミアン・トゥイット(g)とカサル・ローパー(g,key)の機材撮影を実施。本記事では、カサル・ローパーがライブで使用したペダルボードをご紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 通訳:トミー・モーリー 機材撮影=星野俊

Cathal Roper’s Pedalboard

スイッチャーを軸にした巨大ボード

【Pedal List】
①Custom Pedal Boards / Custom Junction Box
②Jim Dunlop / FFM3(ファズ)
③Collision Devices / TARS(ファズ/フィルター)
④Mattoverse Electronics / AirTrash(ノイズ・マシン)
⑤EarthQuaker Devices / Swiss Things(スイッチャー)
⑥BOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)
⑦Keeley / D&M Drive(オーバードライブ/ブースター)
⑧Fire Pedals / Fire Ultimate Distortion(ディストーション)
⑨Fairfield Circuitry / Shallow Water(コーラス)
⑩Alexander Pedals / Syntax Error 2(ノイズ・マシン)
⑪Alexander Pedals / Dynaflanger 213(フランジャー)
⑫Electronic Audio Experiments / Prismatic Wall(レゾネーター・デバイス)
⑬BOSS / DD-7(ディレイ)
⑭Electro-Harmonix / Cathedral(リバーブ)
⑮Red Panda / Context V2(リバーブ)
⑯BOSS / FV-500H(ボリューム・ペダル)
⑰M-Audio / EX-P(エクスプレッション・ペダル)
⑱M-Audio / EX-P(エクスプレッション・ペダル)
⑲Ernie Ball / Tap Tempo(タップ・テンポ・スイッチ)
⑳TC Electronic / PolyTune 2 Noir(チューナー)
㉑Walrus Audio / Phoenix(パワー・サプライ)
㉒Radial / J48(DI)※未使用

ダミアン・トゥイットと同じく、イギリスのCustom Pedal Boardsが製作した特注ペダルボード。

ギターからは、まず①〜⑤の番号順に接続される。⑤Swiss Thingsのアウトからは⑮Contextを通り、再び①ジャンクション・ボックスを経由してアンプにつながれており、残りのペダルは⑤Swiss Thingsに接続。

⑤Swiss Thingsの各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop 1=⑥NS-1X(⑦D&M Drive → ⑧Fire Ultimate Distortion)
・Loop 2=⑨Shallow Water → ⑩Syntax Error 2(⑰EX-P) → ⑪Dynaflanger 213 → ⑫Prismatic Wall → ⑬DD-7(⑲Tap Tempo) → ⑭Cathedral
・Tuner Out=⑳PolyTune 2 Noir
・Volume EXP=⑯FV-500H

ペダルボード

メインの歪みは、VOLUMEとFUZZをどちらもMAX付近に設定した②FFM3で、おもに「For Everything」で使用。リバーブとの相性も良く、⑭Cathedralと組み合わせることもあるとのこと。

③TARSは②FFM3を始め、様々なペダルと組み合わせてノイズを生み出している。⑰EX-Pは本機に接続。

④AirTrashはピッチ・シフターのようなサウンドに設定し、「Moonshot」でノイズをプレイ。

⑤Swiss ThingsのLoop 1に接続されている⑦NS-1Xだが、“歪みをタイトにコントロールしたいし、ノイズ・ゲートもかけたい”という理由から、⑦NS-1Xのセンド/リターンには⑧D&M Driveと⑨Fire Ultimate Distortionがループされている。

⑥NS-1XはGATEモードに設定。ダイナミクス・コントロールによるパーカッシブなプレイができるため、⑦D&M Driveと⑧Fire Ultimate Distortionをオフにし、⑥NS-1Xだけオンにして音を出すこともあるそうだ。⑬DD-7、⑭Cathedralの2台と組み合わせることもあるとのこと。

⑦D&M Driveはおもに右側のBOOST chを使用しており、「Feeling Fades」のサウンドはほとんど本機によるもの。左側のDRIVE chは「Gigi’s Recovery」でのみオンするという。⑧Fire Ultimate Distortionはディストーションを担当。「Feeling Fades」のラストなどでは⑧D&M DriveのBOOST chと同時にオンにする。

ペダルボード

⑤Swiss ThingsのLoop 2にはモジュレーションや空間系ペダルを接続。

⑩Syntax Error 2について、カサルは“サンプル・レートがしっかりしていて、多彩な使い方ができる”とコメント。コーラス、Cubaseのようなデジタル感のある歪み、パッドのようなアンビエント・ノイズ、リング・モジュレーター、フィルターなど、様々なサウンドをプリセットしている。⑱EX-Pは本機に接続。

⑪Dynaflanger 213は、「Can’t Pretend To Know」のサビで⑧D&M Driveの歪みに重ねがけし、ビブラートのようなサウンドでピッチを揺らしているそうだ。王道のフランジャー・サウンドを使うことはなく、独特なピッチ・モジュレーションが気に入っているとのこと。「Born Into The Fight」のサビでは、⑦D&M Drive、⑧Fire Ultimate Distortion、⑭Cathedralの3台も同時にオンにし、ピッチを揺らしながらコードを弾いている。

⑫Prismatic Wallはプレート・リバーブのように反響音を処理するペダル。倍音の乗り方などを調節できたりと表現できる幅が広く、カサルは気に入っているのだが、本機を導入したばかりなので、これから使い方を見つけていくと語っていた。

⑬DD-7は使用頻度が高い1台で、リバースやスラップ・バック・ディレイなど、楽曲によって様々なサウンドを使い分けている。②TARS、⑩Syntax Error 2、⑫Prismatic Wallと組み合わせてノイズを出すこともあるという。⑲Tap Tempoでタップ・テンポを操作することも。

⑮Contextは薄いROOMリバーブを常にオンにしているが、「The Stars Will Leave Their Stage」では深めのリバーブにセッティングし、⑨Shallow Water、⑩Syntax Error 2、⑭Cathedralの3台と組み合わせている。

もしもペダル3台でライブを行うなら、⑦D&M Drive、⑨Shallow Water、⑬DD-7をセレクトするとのこと。“リバーブはアンプ内蔵のものを使う。もしもう1台許されるなら、⑩Alexander Syntax Error 2も欲しいな”とコメントしてくれた。

2025年3月27日(木)代官山SPACE ODD

【Setlist】
01. The Fall
02. Moonshot
03. Feeling Fades
04. The Stars Will Leave Their Stage
05. A Distant Life
06. That Feeling
07. Death Of A Giant
08. More Is Less
09. Slowdance Ⅰ
10. Slowdance Ⅱ
11. Swallow
12. Crying
13. Born Into The Fight
14. Can’t Pretend To Know
15. Don’t Cling To Life

-Encore-
16. Trailing A Wing
17. Love Of Country
18. Ethel
19. Words Lost Meaning