ロック界の世界遺産とも言えるザ・ローリング・ストーンズのギターにまつわるエピソード。今回はキース・リチャーズが所有する激レアのホワイトカラーのES-345、通称“ドワイト”に注目していきたい。
文=鈴木伸明 Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
レア度の高いホワイト・フィニッシュの“ドワイト”を所有
キースが所有するエボニー・ブラックのES-355のサブ的な位置づけのギターとして、“ドワイト”と呼ばれる1964年製のホワイトのES-345がある。
このギターが初登場したのは、『A Bigger Bang』(2005年)のリリースに伴うワールド・ツアー、2006年3〜4月の日本公演だった。来日直前、キースがニューヨークにある“Lake Street Music”というショップで購入したフル・オリジナルの1本だという。
345の標準仕様であるバリトーン・スイッチ(配線はされていない)、そしてビグスビーB7もオリジナルだが、なんといってもファクトリー・カラーのホワイトはエボニー・ブラックよりもレアと言えるだろう。このギターもまたレギュラー・チューニングで使用されている。

2024年の最新ツアー『STONES TOUR ‘24 HACKNEY DIAMONDS』でもES-355は大活躍している。本編の「It’s Only Rock ‘n’ Roll (But I Like It)」、「Beast of Burden」に加えて、キースのソロ・コーナーの「Little T&A」、「Slipping Away」などでエボニー・ブラックのES-355を手にしている。新曲「Angry」ではチェリーのES-355が登場した公演もあった。現在、そのチェリーのES-355のバリトーン・スイッチ跡の穴には、本来のスイッチが戻されたようだ(配線はおそらくモノラルのままだろう)。
キース・リチャーズには欠かせない存在となったES-355は、今後のステージでも個性的なトーンを鳴らし続けていくはず。そして、ロックンロール・ギターの象徴としてますます人気を集めていくことだろう。