2025年4月に日本武道館で2年ぶりの来日公演を行なったエリック・クラプトン。追加公演も含めると合計8日間もライブが行なわれ、日本武道館110回公演も達成した。本記事では、今回の来日公演のステージに用意されていたドイル・ブラムホールⅡのペダルボードを紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モーリー 機材撮影=西槇太一
Doyle Bramhall Ⅱ’s Pedalboard

ファズ・サウンドが第一優先
【Pedal List】
①Jim Dunlop / DVP3 Volume (X)(ボリューム/エクスプレッション・ペダル)
②Roger Mayer / Purple Haze Octavia(オクターブ・ファズ)
③KingTone Guitar / KingTone Wah Prototype(ワウ)
④Tinsley Audio / Sir Henry(ヴァイブ)
⑤Ivor by Dustin Francis / Fuzz Face Replica(ファズ)
⑥Sonic Research / ST-300 mini(チューナー)
⑦Prescription Electronics / C.O.B.(オクターブ・ファズ)
⑧L.A. Sound Design / PI-01(バッファー/ライン・ドライバー)
⑨Isle Of Tone / Luxe ’66(ファズ)
⑩KingTone Guitar / THE DUELLIST(オーバードライブ)
⑪Prescription Electronics / Experience Fuzz(オクターブ・ファズ)
⑫KingTone Guitar / THE SOLOIST(オーバードライブ)
⑬Ibanez / EM5(ディレイ)
⑭strymon / FLINT V1(リバーブ/トレモロ)
⑮VooDoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワー・サプライ)
⑯KingTone Guitar / Battery Billionaire(パワー・サプライ)
2023年の来日公演から変化のあったドイルのペダルボード。ギターからの接続順は、まず①〜⑧まで番号どおりにつながれる。
⑧PI-01はバッファーとJensen製のトランスが搭載されたライン・ドライバーで、本機のBUFFER SENDから⑨〜⑭へ。⑭FLINT V1はステレオ・アウトで使用しており、⑧PI-01の2つのRETURNにインプットされる。そして⑧PI-01のDIRECT OUTからメインのアンプへ(ISO OUTPUTは未使用のためモノラル・アウトとなる)。
⑧PI-01をシグナルの途中に接続しているのは、おそらく前段の②Purple Haze Octavia、③KingTone Wah、⑤Fuzz Face Replica、⑦C.O.B.といったペダルがバッファーの影響を受けないようにするためだと考えられる。

ドイルは常にペダルのセッティングや組み合わせを変えているそうで、特定の楽曲やフレーズで決まったペダルを使うことはほぼないとのこと。しかし例外もあり、「Old Love」のバッキングでは④Sir Henryを使用することが多いという。
⑤はダスティン・フランシスがNOSパーツを用いドイルのために製作したワンオフもののFuzz Faceクローンで、VOLUMEノブをMAX、FUZZノブを11時にセッティングしている。
⑨Luxe ’66はおそらくプロトタイプだと思われる。ギター・テックのマティアス・ヨハンソンも“製作者がドイルと知り合いだからありえるかもね”とコメント。
⑩THE DUELLISTは2ch仕様のオーバードライブで、ドイルのためにモディファイされたものだという。オープン・チューニングでのスライド・ソロでは本機をよく使用するそうだ。
⑭FLINT V1のリバーブはプレートの’70s、トレモロは’63 tubeに設定。本機も特に踏む曲を決めておらず、気分で使用しているとのこと。
各ペダルへの電源供給は⑮Pedal Power 2 Plusで行なっているが、⑯Battery Billionaireには9V電池が入っており、ワウやファズを電池駆動にしたほうが良いと感じた際はすぐに⑯Battery Billionaireに切り替えられるようにしているという。