ヒトリエのシノダが、7thアルバム『Friend Chord』のレコーディングで使用した2本のギターを本人が解説! ヒトリエのシノダが、7thアルバム『Friend Chord』のレコーディングで使用した2本のギターを本人が解説!

ヒトリエのシノダが、7thアルバム『Friend Chord』のレコーディングで使用した2本のギターを本人が解説!

本記事では、シノダ(vo,g)が本作のレコーディングで使用した2本のギターを、本人の解説とともにご紹介。

取材・文=編集部 機材撮影=星野俊

Shinoda’s Guitars

1963 Fender
Jazzmaster

Fender / Jazzmaster(正面)
Fender / Jazzmaster(背面)

wowaka所有の
ビンテージ・ジャズマスター

シノダのメイン・ギターは1963年製のジャズマスター。『Friend Chord』(2025年)では、ほぼ全曲で使用されている。

もともとはwowakaが学生時代に吉祥寺の楽器店で購入したもので、フレットやブリッジがオリジナル・パーツではなかったことから、比較的安価に入手できたそうだ。バンドに加入した当初、シノダがwowakaの自宅を訪れた際に本器を見つけて試奏したところ、サウンドを気に入ったため使い始めたという。

ピックアップ、ボディ、ネック以外のパーツには手を加えており、ピックガードは高田馬場に店舗を構える前の“アストロノーツギターズ”に製作してもらったそうだ。また、ブリッジはMastery製に交換されている。以前はバズ・ストップ・バーも装着していたが、『IKI』(2016年)の制作時に取りはずしたところ音が良くなったため、現在ははずしたまま使用しているとのこと。

弦はElixirのPOLYWEB Light(.010〜.046)を使用。チューニングはレギュラーにセッティングされている。


Seagull
Artist Cameo CW QⅡ

Seagull / Artist Cameo CW QII(正面)
Seagull / Artist Cameo CW QII(背面)

コンプから譲り受けた
ハイファイなエレアコ

Seagullのエレアコ、Artist Cameo CW QⅡもレコーディングで使用された。

ボディ・トップはソリッド・スプルース、サイドとバックにはソリッド・フレイム・メイプルが採用されており、煌びやかで抜けの良いサウンドが特徴。Godinのプリアンプ・システム“EPM Quantum Ⅱ”が搭載されており、サドル下のピエゾ・ピックアップとボディ内部のコンデンサ・マイクの2種類をブレンドすることができる。

2023年にシノダがサポート・ギターで参加していたライブ現場があったのだが、シノダはエレアコを所持していなかったため、同現場にベーシストとして参加していたコンプ(豚乙女)が所有していた本器を借りて使用。シノダの誕生日が近かったこともあり、そのまま譲り受けたという。その後、47都道府県で弾き語りを行なったツアー『シノ鉄』や、シングル「10年後のセンスレス・ワンダー」(2024年)以降のレコーディングから使い始めた。

パーカッシブなフレーズや、楽曲のサビなどで煌びやかさを演出するために手にすることが多く、本器のハイファイな音質が気に入っているとのこと。ライブではピエゾ・ピックアップ、レコーディングではコンデンサ・マイクという具合で、場面によって出力方法を使い分けているそうだ。

チューニングはレギュラーにセッティングし、弦はElixirの.010〜.047を張っている。

Interview

派手にずっこけて、
ギターの中身がほとんど出ちゃったんですよ(笑)。

ジャズマスターは風格がありますね。

wowakaが所有していたものなんですけど、吉祥寺の楽器店で20〜30万円くらいで買ったそうです。フレットやブリッジがオリジナルのパーツじゃなかったので、そんなに高くない値段で買えたらしいんですよ。それもだいぶ昔の話で。ここ数年で信じられないくらい価格が高騰しましたけど、その当時のビンテージのジャズマスターって本当に安かったみたいです。……もう買えないですね。人が買うものじゃないです(笑)。

wowakaさんが何歳くらいの頃に購入したんでしょうか?

学生の時に買って、使いきれずに持て余していたらしいです。でも、僕が入る前に3人でやってた“ひとりアトリエ”っていうバンドでは、ジャズマスターを使ってましたね。

シノダさんがジャズマスターを弾くことになった経緯は?

“ひとりアトリエ”でライブを1回やったあと、ギターがもう1人必要ということで僕が召集されたんですけど、その時僕は別のギターを使っていたんです。それで、wowakaの家に行ったら良さげなジャズマスターがあったので、“あれ、wowakaさん、これは何ですか?”って(笑)。実際に弾いてみたらすごく良い感じだったので使い始めました。

なるほど。改造ポイントはありますか?

使い始めた頃からだいぶ変わってますね。今付いてるピックガードは、アストロノーツギターズに作ってもらったんです。オリジナルのべっ甲のピックガードって、経年劣化でどんどんひしゃげていくんですよ。ピックガードを留めるネジが締められなくなっちゃって、“ちゃんとしたものに換えよう”となりました。最初はピックガードだけめちゃくちゃキレイだったんですけど、今はもう馴染んでます。

ブリッジもMasteryのものに換わってますね。

Masteryに換えたのは、ここ数年ですね。コロナ禍に入って、助成金で試しに買っちゃおうかなと(笑)。最初はバズ・ストップ・バーも付けてたんですよ。

そうなんですか!

メインテナンスに出したら“付けたほうが良い”と言われて。当時はギターのことをよく知らなかったので、そういうものなんだと思ってました。でも『IKI』(2016年)を作った時、試しにバズ・ストップ・バーをはずしてみたら音が良くなって、“いらなかったじゃん”となってはずしました(笑)。

ほかに改造箇所はありますか?

あとは、ツマミも換えてますね。3人編成になって初めて作った『REAMP』(2021年)のツアー・ファイナルを大阪のBIGCATでやったんですけど、その1曲目で僕が派手にずっこけて、ギターの中身がほとんど出ちゃったんですよ(笑)。それで、ライブを10分停止している間にテックさんにすごい勢いで直してもらったので、ネジ3本でピックガードを留めてるみたいな究極の状態になったんですよね。そのあとちゃんと直してもらったので、オリジナルのパーツはピックアップとボディとネックだけなんじゃないかな。

『Friend Chord』(2025年)のレコーディングではジャズマスターを使用したんですよね?

ほぼ全曲そうだったと思います。実は「Shadowpray」にもエレキが入ってるんですよ。完全にプラグインだけで音を作っていて、ステップ・フィルターみたいな音をずっと鳴らしてます。

ジャズマスターのサウンドの印象はいかがですか?

付き合いが長すぎて、“またこいつか”という感じです(笑)。もうこれが軸になっていて、レコーディングとかでほかのギターを試したりするんですけど、最終的にこのギターに決まります。これを弾くと“あぁ、結局これだね”という空気になりますね。

Seagullのアコースティック・ギターは、いつ頃入手したんですか?

2023年くらいですね。キッカケが狂っていて(笑)。当時、サポートしていた現場でエレアコが必要になったんです。でも僕は持ってなかったので、先輩で豚乙女というバンドをやってらっしゃるコンプさんから借りたんですよ。

で、“今度、自分の弾き語りのツアーがあるんです”という話をしていたら、“じゃあこれを使うといい”と言われて。“さすがにもらえないです、自分で買います!”と返しても、その人は譲らないタイプだから、“もうあげるから!”と言い出して、聞かなくなっちゃったんです(笑)。そのライブの時期が僕と誕生日に近かったのもあって、そのままいただきました。とてもありがたく使わせていただいてます。

2023年の弾き語りツアーというと、『シノ鉄』でしょうか?

うん。『シノ鉄』でも使いましたね。「センスレス・ワンダー」という僕らのデビュー曲を10周年で再レコーディングする機会があって、その曲のサビのバッキングにアコギが入ってるんですけど、そのあたりからレコーディングでも使い始めました。

今回のアルバムでも、かなりアコギが入ってましたね。

全部Seagullの音です。

サウンド面の印象はいかがですか?

昔からアコギではシェイカーやパーカッションみたいな効果を狙ったり、サビでちょっと煌びやかさを出すことが多いんですけど、このアコギはめちゃくちゃハイファイなので使いやすいんです。ピエゾ・ピックアップだけじゃなくて、内蔵のマイクでも音を拾ってるから、ライブでほかのピエゾ搭載のアコギと併用すると、外音が全然違うんですよ。ライブだとそういう違いが明確に出ますし、レコーディングでもエンジニアさんからの評判がすごく良いですね。

作品データ

『Friend Chord』

『Friend Chord』
ヒトリエ

ソニー
AICL-4682
2025年1月22日リリース

―Track List―

1. 耽美歌
2. ジャガーノート
3. Quadrilateral Vase
4. ネバーアンダースタンド
5. 月をみるたび想い人
6. Shadowpray
7. NOTOK(Album version)
8. オン・ザ・フロントライン
9. おやすみなさい
10. ブルースプリングパンク

―Guitarist―

シノダ