2026年5月にEP『合奏する、エンジン』をリリースしたThe Novembers。6月4日(木)Zepp DiverCityにて行なわれたワンマン・ライブにて、小林祐介(vo,g)とケンゴマツモト(g)の機材撮影を行なった。本記事では、小林祐介が当日使用した2本のギターを本人の解説とともにご紹介。
取材・文=森部真衣/三木深 機材撮影=星野俊
Kobayashi’s Guitars
E-Ⅱ
Phoenix-Ⅱ Custom
小林の理想を形にした
唯一無二の1本
小林のメイン・ギターは、2016年に入手したという特別仕様のE-II Phoenix-Ⅱ。2016年にプロトタイプのPhoneix-Ⅱが数本製造されており、本器はそのうちの1本をベースに小林の意向を反映させたカスタマイズが施され、ブラックからレッドにリフィニッシュされている。
小林はESPと親交が深く、以前からギブソンのファイアーバードのような“赤くフォルムが大きいギター”を好んでいたこともあり、本器を導入したとのこと。
スルー・ネック仕様で、ボディはマホガニー、ネックは3ピース・メイプル、指板はエボニーとなっている。
ピックアップはフロントにSeymour Duncanの’59 Model、リアに同社製のJB Modelを搭載。ライブではおもにリア・ピックアップを選択し、トーン・ノブを7〜6まで絞って高域の出方をコントロールしている。トーン・ノブには印となるシールが貼られていた。

ブリッジはGotohのGE103B-Tが採用されており、テイルピースはビグスビーB5に換装されている。
使用楽曲(2026年6月4日@Zepp DiverCity)
- 「みんな急いでいる」
- 「November」
- 「BOY」
- 「Ghost Rider」(Capo 1)
- 「HERO」
- 「合奏 -Hold me Hold me Hold me-」
- 「Hamletmachine」
- 「Morning Sun」
- 「Rainbow」
- 「再生の朝」(Capo 2)
LTD
Phoenix-1000
実戦に耐えうる
純正スペックのサブ器
こちらはサブ器として用意されていたLTDのPhoenix-1000。2020年のプロダクション・モデルで、2022年頃に入手した1本だ。小林は本器について、“メイン・ギターと同じルックスだし、黒いピックガードとゴールド・ハードウェアの組み合わせがかっこいい”とコメント。改造点はなし。
メイン・ギターとの持ち替えについて小林は、“曲ごとにメインとサブを上手くローテーションしています。チューニングや音の違いでの使い分けはしていないですね”とコメント。
本器もスルー・ネック仕様で、ボディはマホガニー、ネックは3ピース・マホガニー、指板はマッカーサー・エボニーとなっている。
ピックアップはFishman Fluence Modern Humbuckerのセットで、リアはセラミック、フロントはアルニコを採用。レコーディング用にアクティブのハムバッカーを搭載したギターを必要としていたことも、購入の決め手になったそうだ。本器もリア・ピックアップを選択し、トーン・ノブを7〜6程度まで下げている。

トーン・ノブにはプッシュ・プル・ポットが用いられ、ピックアップのVoice切り替えが可能となっている。撮影時は、ノブを引き上げた状態の“Voice2”が選択されていた。
両ギターともに弦はフェンダーのSuper 250’s Nickel Plated Steel Regular(.010〜.046)を使用。
使用楽曲(2026年6月4日@Zepp DiverCity)
- 「Xeno」
- 「The Singing Engines」(Drop C Tuning/C-G-C-F-A-D)
Others

ピックはMASTER 8 JAPAN製のトライアングル型。
以前はピッキングを安定させるために薄いピックを使用していたが、その代償として、演奏上の表現の幅が狭まることが課題だったそうだ。それに伴い、近年はミディアムほどの厚みのあるものを使用しているとのこと。
厚みを変更した効果について小林は、“硬いピックを軽く当てた時のホワイト・ノイズ感と、弦に強くゴシゴシ当てた時の粘り気のグラデーションを出せるようになった”と語る。
ピックの厚さ以外にも、ピッキングの際に手首を柔らかくしたり、または硬くしたりなど、ピックの当て方を意識するようになったという。

カポはD’AddarioのNS Tri-Action Capo Blackがセットされていた。
Interview
“ここにいるよ”って
言ってくれるようなギター。
小林さんは以前までストラトキャスターやジャズマスターを使用していましたが、ESP系列のギターをメインで使用するようになったのはなぜですか?
ESPとThe Novembersはすごく縁があって。応援していただいていたので、せっかくだから使ってみようと思ったのがキッカケです。僕は見た目重視でギターを選ぶところがあるんですよ(笑)。ジャズマスター、ストラト、ジャガー……どのギターも見た目は大好きなんですが、やっぱりThe Novembersの曲調的に“この曲には合うんだけど、この曲には合わないな”っていうのがどんどん出てくるようになったんですね。
それで、ずっと使ってなかったハムバッカーのギターをいざ使ってみたら、すごくまとめてくれたというか。過激な音作りもできるし、少し角を取っても印象的にはハードにできる。アンサンブルの中で、“ここにいるよ”って言ってくれるようなギターだったんですね。このギターには、そういった良いなと思うポイントが多かったんです。今でもレコーディングではジャズマスターやストラトを使ったり、ギターを使い分けていますね。
よく使用するピックアップ・ポジションは?
基本はリアで、トーンを7とか6くらいまで下げて使っていることがほとんどですね。トーン・ノブに印がついているのはそのためです。
トーンを下げている理由を教えてください。
ギター単体でサウンド・チェックをした時に、すごく良いなと感じる音色でも、それがバンド・アンサンブルに混ざった時とか、楽曲の中でギターがどのレンジにいるのかを考えると、聴いた時の印象が変わってしまうんですね。
ギター単体で弾いて気持ちのいい音は、基音の音程よりも高い帯域や倍音成分が暴れすぎちゃって、どんなリフやメロディを弾いていても、“ガッチャンガッチャン”鳴ってるだけで明瞭さがなくなってしまうんです。ギタリストあるあるだと思うんですけど、このジレンマがずっとあったんですね。
ギター単体では良い音でも、ボーカルと帯域が被ることはよくありますもんね。
でも、ビンテージや上手く調整されたギターを使うと、そのストレスがないんです。僕は対応策としてギターのコンデンサを換えたり、トーンを下げてみたり、トーンだけじゃなくてボリュームもほんの少し下げてみるということを取り入れました。いろんな形でギター本体の音色を変えていくことによって、アンプでの倍音の出方だったり、手元のタッチの再現性とかがすごく変わるんですよ。
僕たちのライブの場合、ある程度ハードにピッキングしたり、すごくエモーショナルに演奏していても、出音としてはハッキリ聴かせたいという着地点があるんです。ギターのトーンを7〜6くらいまで下げることで、ハードにピッキングしても柔らかくピッキングしても、ちょうどいい塩梅になるっていうのが狙いですね。
2026年6月4日(木)Zepp DiverCity
【Setlist】
01. みんな急いでいる
02. November
03. 消失点
04. BOY
05. Ghost Rider
06. Xeno
07. HERO
08. The Singing Engines
09. 遥か彼方
10. 合奏 -Hold me Hold me Hold me-
11. Cashmere
12. Down to Heaven
13. Bad Dream
14. Hamletmachine
15. Morning Sun
16. Rainbow
-Encore-
17. 再生の朝
作品データ

『合奏する、エンジン』
The Novembers
MERZ
2026年5月20日リリース
―Track List―
01. HERO
02. The Singing Engines
03. 遥か彼方
04. 合奏 -Hold me Hold me Hold me-
―Guitarists―
小林祐介、ケンゴマツモト






