ワーミーは予備も含めて
4台くらい持ってます（笑）。（江口）
「VOLCANO DANCE」はリード・ギターの展開がかなりめまぐるしく変わりますが、こういったフレーズの流れはどのように作っているんですか？
江口 基本的に全部の楽曲でそうなんですけど、個々のセクションで区切ってフレーズを作っていくんです。例えばイントロを作るんだったら、まずイントロのオケをひたすらループさせながらギターを弾く。次はAメロをループさせて……みたいに。だから、ひとつひとつフレーズを別物として考えているんです。だから、ギターのフレーズだけで聴くと、微妙につながりが悪いところがあったりもするんです。でも、それが歌と聴くことで成立するようになっている。けっこう細かくパートを分けて、それぞれでイントロを作るくらいの気持ちで全部作っている感じがあるかもしれないですね。「VOLCANO DANCE」はそれの最たるもので、全部のフレーズが歌のメロディに負けないようにと思って作っています。
それってめちゃくちゃエネルギーを使いそうですね。
江口 そうですね。時間もめちゃくちゃかかります。でも、それで慣れちゃったので（笑）。ほかの人から、“スタジオでメンバーと合わせて、なんとなくそこで弾いたフレーズをそのまま採用する”っていうことを聞いたりすると“うらやましい”とも思いますけど、“自分の場合はたぶんそれだと満足しないんだろうな”とも思ったりするんですよ。
Bメロの中でもいくつかセクションが分かれていそうな曲もありますよね。
江口 そういうのは、Bメロの中でも“前半と後半”みたいに区切っているかもしれない。それくらい細かくフレーズを細分化させている曲もありますね。でも、ひとつの流れとしてフレーズを作らないので、たまにAメロは1カポで作っているけど、Bメロから3カポじゃなきゃ弾けないみたいなやつが出てくるんですよ（笑）。
え（笑）？
田邊 ブッ飛んでますよね～。
江口 レコーディングはバラで録るんですけど、ライブではAメロを1カポで弾いてBメロになった瞬間にエフェクター2音上げて……。
ワーミーで？
江口 はい、Whammy DTを使って（笑）。
田邊 ブルエンはワーミーを持ってないと弾けないですからね。
本当に必須ですね……（笑）。
江口 ワーミーがないとライブはできないですね。
田邊 “カラコンないと外に出れない女の子”みたいな感じの言い方（笑）。
（笑）。
江口 DTは家に1台とライブ用の予備で4台くらい持ってますもん（笑）。
田邊 すごいですよね（笑）。インディーズの頃はカポを忙しく付けてましたけど（笑）。
江口 今もやったりしてますけどね（笑）。カポ移動ができる時はしてるんですよ。ワーミーでいじると、やっぱり音域が少しだけ高くなるんですよね。
倍音成分は変わりますよね。
江口 さすがに技術的にもそのままの音では上がってくれないので、少しだけハイファイになるので。でも、ワーミー様様です（笑）。
ワーミーはそういう目的以外にも印象的なフレーズで使うこともありますよね。例えば「あなたへ」のワーミーのソロは、美メロだけど音はアグレッシブで。
江口 このソロは、最初はもっと全体的に曲の流れに沿ったイメージだったんですけど、田邊から“ソロだけめっちゃ変態にしてほしい”、“そこから曲が変わったような感じに”っていうオーダーがあって。それで、ワーミー使ってブッ飛んだ感じにしよう、と。
江口のメロディは、
僕の歌に寄り添ってくれている。（田邊）
ブルエンのコピーって超難しいですよね。例えば、歌うだけにしても、うしろで江口さんのギターのラインが鳴っているとつられちゃう気がして。
田邊 そうですね（笑）。
しかも、自分もギターを弾きながらというボーカル・ギターですし。田邊さんは演奏中に江口さんのギターをどのように聴いているんですか？
江口 聴いてないでしょ？（笑）。
田邊 聴いてないですね（笑）。ただでさえ情報量が多いので……イヤモニにも江口のギターは返さないんですよ。僕が返しているのは、自分のギター少々、歌をガッツリ、ドラムを少々って感じで。でも、僕はふたりで歌っていると思っているので、僕の歌にハモってるくらいの感覚もあって。江口のメロディを突き詰めていくと、すごく僕の歌に寄り添ってくれているんですよ。だから、実際に歌ってみたら歌いやすいですよ。先日、ミキの亜生君が「バッドパラドックス」を歌うっていう企画をやったんですけど、“歌ってみたら全然違います”って言っていて。ブルエンの曲は“ムズいんじゃ？”って思っても、“歌ってみると意外に”っていうのもけっこうあるので、身を任せて歌ってほしいですね。
今作でギター的にコピーして欲しい曲、チャレンジして欲しいところは？
江口 今作でテクニック的に一番難しいのは、たぶん「VOLCANO DANCE」なんですけど、いろんな要素を含めて言うと「棘」ですね。アルペジオやタッピング、オクターブ奏法、弦飛びのピッキングもあるので、トータル的にコピーのしがいがあると思います。でも、コピーできないくらいの難しさではないので、やろうと思えばできるだろうし、いろんな奏法を使っているので、“自分がコピーする側だったら楽しいだろうな”って。でも、……途中で1カポから3カポになるんで（笑）。
田邊 出た！ ワーミーを買っていただいて（笑）。
江口 いや、これはカポ移動できます（笑）！ 途中のAメロ前に、1フレットから3フレットにして、ラスサビの時に戻せば、コピーはできます（笑）。
（笑）。年明けには横浜アリーナでのワンマンも控えていますが、最後にライブへの意気込みを聞かせて下さい。
江口 今年はどうしても無観客でのライブが基本で、僕らはも配信ライブはけっこうやったんですよ。で、配信ライブってめちゃくちゃメンタルが鍛えられるんですよね。歓声がないし、観てるお客さんはイヤホンとかで聴いていたりするから、音がよりリアルにくっきり聴こえたりするのでミスも目立つし。それでメンタルがすごく鍛えられて。なので来年、有観客になった時にこの“鍛えたメンタル”を爆発させるのが、すごく楽しみですね。僕らのワンマンとしても久々ですし、アリーナ・ワンマンも久々なので、“いろんな思いを爆発させる1日になればいいな”と思っています。
田邊 僕もすごく同じ気持ちですね。江口とは別の意気込みで言うと、“もう1本新しいギターを買おうかな”とずっと思っていて。今年はライブで試す機会もなかったから買わなかったんですが、来年はありがたいことに年明けからいくつかライブも予定されていたりもするので、いろいろ試していきたいですね。このアルバムの音がすごく好きなので、ちゃんとそれを表現できるような1本を。
江口 横アリでお披露目みたいな（笑）？
田邊 おお～、いいっすねぇ。でも、横アリでお披露目の前にちょっと慣らしておきたい（笑）。
年明けあたりに乞うご期待ですね！
最新作
『Q.E.D』 BLUE ENCOUNT
キューン／KSCL-3275／2020年11月18日リリース
―Track List―
01.STAY HOPE
02.バッドパラドックス
03.ポラリス
04.FREEDOM
05.棘
06.VOLCANO DANCE
07.HAPPY ENDING STORY
08.あなたへ
09.ユメミグサ
10.ハミングバード
11.喝采
―Guitarists―
江口雄也、田邊駿一
