Interview | リトル・バーリー【前編/特別動画付き!】3年ぶりのカムバック作をバーリー・カドガンが語る Interview | リトル・バーリー【前編/特別動画付き!】3年ぶりのカムバック作をバーリー・カドガンが語る

Interview | リトル・バーリー【前編/特別動画付き!】
3年ぶりのカムバック作をバーリー・カドガンが語る

サイケデリック・ロックを土台に、ブルース、ソウル、ヒップホップ、グランジなどなど、あらゆるジャンルを混ぜ込んだ楽曲を生み出す英国のロック・バンド=リトル・バーリー。2017年にドラマーのヴァージル・ハウが急逝し、その後バンドは活動をストップしていた。しかし、2020年10月16日にヘリオセントリックスのマルコム・カトーをドラマー兼プロデューサーとして迎えた新作『Quatermass Seven』を突如リリースし、カムバックを果たす。今回はバーリー・カドガン(vo,g)に新作についてインタビューしたほか、なんと最近Instagramにアップしているサムピックを使ったギャロッピングと、代表曲「Free Salute」の奏法解説も行なってもらった。動画も合わせてチェックしてみてほしい。

質問作成・文=小林弘昂 取材・翻訳=トミー・モーリー 譜例作成=堀沢俊樹 写真=Alberto Pezzali/Pacific Press/LightRocket via Getty Images 協力=Goodness Guitars


カムバックというプレッシャーを受けることなく
新しい曲にトライしてみたかった

2017年にドラマーのヴァージル・ハウが急死したという悲しいニュースが飛び込んできました。その後、リトル・バーリーは活動をストップしていましたよね?

 ヴァージルが亡くなったのは、実はUKツアーに出る前日のことだったんだ。当然ツアーは丸ごとキャンセルになって、僕たちは長らくショックから立ち直れなかった。何をしたらいいのかすら、わからなかったよ。それまでのアルバムのアートワークを見ることさえも辛かったし、曲を演奏することを考えるとなおさらだった。でも、そこから立ち直るために忙しくはしていたよ。

どのようなことからバンドとしての活動を再開したのですか?

 最初の一歩として、友人たちを招いてライブをしてみたんだ。ヴァージルが亡くなったのは9月だったけど、12月にウルフ・ピープルというバンドのジョー・ホリック(g)と、友人のトニー・クートをドラムに招いてね。それと元フリートウッド・マックのダニー・カーワンのトリビュート・プロジェクトや、オンライン・テレビ番組の撮影にも参加したよ。

あなたはザ・ザやポール・ウェラーを始め、過去にはプライマル・スクリームやモリッシーといった大御所ミュージシャンのサポート・ギタリストとしても知られていますが、その間の個人の活動は?

 個人的には、さまざまなミュージシャンが集まってビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』を全曲演奏するというコンサート(Sgt. Pepper Live/2017年10月22日)に招かれた。エド・ハーコートというSSWがホスト役を務め、ザ・リバティーンズのピート・ドハーティとカール・バラー、スーパーグラスのギャズ・クームスとダニー・ゴフィー、ザ・コーラルのメンバー、スティーヴ・メイソンも参加していたんだ。そしてザ・ザのマット・ジョンソンが再び動き出すということで、それにも参加したよ。2018年はほとんどザ・ザにかかりきりだったけど、僕とルイス(ワートン/b)は“何かしらの形で再び集まって、自分たちの音楽を作らなければならない”と思っていた。そんな時に、マルコム・カトーとこのアルバムの制作をスタートしたんだ。でも、当時は“リトル・バーリーが新しいドラマーを見つけて、再びツアーに出る!”ということは第一に考えることができなくて、単に一緒にアルバムを作ってみて、それを自分たちがどう感じるのかを見てみたかったんだよね。“これがリトル・バーリーのカムバックだ!”といったプレッシャーを受けることなく、新しい曲にトライしてみたかったんだ。

左から、バーリー・カドガン(vo,g)、マルコム・カトー(d)、ルイス・ワートン(b)

今作が突如リリースされたのはうれしい知らせでした。2018年にレコーディングがスタートしたとのことですが、楽曲の制作はそれ以前から始まっていたのでしょうか?

 実は前作『Death Express』(2017年)を完成させた直後から、いくつかの曲は書いていたよ。まだヴァージルが生きていた頃に話が戻るんだけど、マルコムとはあまりにも長く会っていなかったので、2017年に久しぶりに彼のスタジオに遊びに行き、彼が作った音楽を聴かせてもらったりしていたんだ。そのサウンドがあまりにも良かったので、“いつか一緒にレコーディングできるといいね”なんて話していたよ。その後ヴァージルが亡くなり、すべてが変わった。僕は彼を失ってから“何かしらの形で自分たちの音楽に戻りたい”と思い、ラフなデモに対して“マルコムにドラムを叩いてもらえないか?”と考えるようになったんだ。で、彼もデモを気に入ってくれたので、2018年の3月くらいに3人が集まり、2日間にわたって録音をした。僕はザ・ザのツアーに出なければならなかったからレコーディングを一旦中断して、その年の夏に続きを行なったよ。実際の日数は4、5日くらいだったと思うね。レコーディングにあまり日数をかけなかったのは、最初は2〜4曲作ってEPを出せればいいかなくらいに考えていたからなんだよ。でも、実際にやってみたら生産性が高く、自分たちが思っていた以上に曲ができたんだ。

今作はサイケデリック・ロックやヒップホップ、ブルース、グランジなど、あなたが影響を受けてきた音楽がすべてミックスされているという印象です。制作時はどのような完成形を描いていたのでしょう?

 『Death Express』で実現したアイディアを、さらに発展させてみようと思っていたかな。僕は『The Cobra Lamps』(2016年)というソロEPも出していて、それはリトル・バーリーとは少し異なる方向性でね。それを引き継ぎつつも、『Death Express』の音楽性と合わせてみたらおもしろいものになるだろうと考えたんだ。僕はロックンロールやR&Bのエネルギーとスピリットを求めているんだけど、それを保ったまま典型的なロック・アルバムではない作品を作りたかったんだよ。あとは映画のような空気感があるサウンドトラックにも興味があって、そういったものをギター・ミュージックに昇華させたい。例えばCANやシルバー・アップルズといったバンドが好きなんだ。クラフトワークもね。

その言葉どおり、このアルバムは映画のサウンドトラックのようでもあり、とても実験的です。事前に作曲をしてからレコーディングに臨んだとのことですが、リフや一部のパーツだけを事前に用意し、スタジオで展開して完成させた曲もあったのでしょうか?

 インストを含む5曲のデモはあらかじめ作っていたし、歌詞も4曲分は書いていたと思う。「Steel Drum」は最初からデモにあった曲で、スタジオでマルコムに聴かせたら“すぐにレコーディングしよう”ということになった。ほかの曲はデモがあったとはいえ、かなりラフな状態だったから完成版とはかなり異なっていて、特に「Repeater #1」と「Repeater #2」はかなり変えまくっているんだ。インスト曲のデモなんて原始的な状態のものばかりで、「T.R.A.B.S.」はギターとベースだけだったし、「After After」はベースラインしかなくて、スタジオでインプロヴァイズしながら作ったんだよ。

「Repeater #2」のソロのパンニングはジミ・ヘンドリックスのようですね。

 あれはマルコムのアイディアで、彼がミキシングの段階で行なってくれたんだ。ほかにもたくさんのクールなギター・サウンドがあって、例えばトリップしたようなヤツなんかも同様にミキシングの時に作ってくれたものだったりする。僕はすぐに気に入ったよ。あとは野球場とかに設置されている古いスピーカーみたいなサウンドのものもあったね。マルコムはたくさんのアイディアを持ってきてくれて、アレンジも考えてくれたんだ。「Repeater #1」のインストのパートでは、“ベースラインを変えてみたらどう?”と提案してくれた。最初は“このベースラインのどこが悪いんだ?”って思ったけど、彼が提案したとおりにやってみたら、かなりナイスなサウンドになったんだ。僕らはヘリオセントリックスや、マルコムが参加しているほかのプロジェクトの作品が好きだから、このアルバムには“彼らしさ”を残してほしいと思っていてね。それだけ彼を信頼しているということだよ。

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