Interview | 初来日公演を直前に控えた93年のジェリー・カントレル(アリス・イン・チェインズ) Interview | 初来日公演を直前に控えた93年のジェリー・カントレル(アリス・イン・チェインズ)

Interview | 初来日公演を直前に控えた
93年のジェリー・カントレル(アリス・イン・チェインズ)

『Dirt』の中で気に入っているリフは
文句なく「Rain When I Die」だ。

作曲の際、あなたはリフから作り始めるそうですね。

 たいていの場合はそうだ。たまに歌詞から始める時もあるけどね。一方、レイン(・ステイリー/vo)は歌詞から曲作りを始めることが多い。

レインが作曲した曲もギター・リフはあなたが作っているのですか?

 いや、レインの曲はギター・リフも彼が作っている。そういう意味で、俺たちの曲のクレジットは誰が何を書いたかを忠実に示しているんだ。

Facelift』(90年)と『Dirt』の中で、特に気に入っているリフやソロは?

 『Dirt』の中で特に俺が気に入っているリフは、文句なく「Rain When I Die」だ。あれはすごく良いと思う。ナイスなリフができたと思っているよ。でも、ソロに関してはよくわからないな。なんとも言えない。その時の気分によるからね。でも、俺たちがやる音楽はどれも自分で気に入っているから、“特にこれが好き”といった感じではないんだ。

これまでの作品の中で、あなたはヘヴィなリフ、アグレッシブなソロ、繊細なアコースティック・ギター、ファンキーなカッティングなど、さまざまなスタイルを見せてきましたが、自分のプレイの中心となっているものは何だと思いますか?

 今君が羅列してくれたようなものが俺のスタイルなんだと思うよ。俺は特定のやり方でプレイしないんだ。ハードでアグレッシブなプレイをする一方で、非常にメロディックなフレーズも弾く。さまざまなスタイルで演奏するのが好きなんだ。俺たちがひとつだけ気をつけているのは、“自分たちが一度やったことをやたらとくり返さないようにする”ってことでね。曲は同じ人間が書いているわけだから、類似点が出てくるのは仕方ないけど、実際ほとんどの曲は、かなり異なる作曲法やフィールで書かれている。だから、俺のギターには“中心”というものがないんだ。なるようになるというかね。曲の基本的なアイディアがあれば、あとはその曲がどういう風にプレイすべきかを教えてくれる。曲を聴けば、その曲に何が必要かは、おのずとわかってくるんだ。

まだ出し惜しみしているようなプレイスタイルはありますか?

  俺にはできることとできないことがあって、これから身につけていきたいと思うスタイルもたくさんある。でも、今は自分のやり方に満足しているよ。

AC/DCのアンガス・ヤングがあなたにとってのギター・ヒーローだそうですが、ほかにもギター・ヒーローと言える人はいますか?

 アンガスのプレイは好きだったね。あと“革新的”という点では、エディ・ヴァン・ヘイレンがいる。エディのプレイには魂がこもっているからね。エース・フレイリーはとてもシンプルでブルージィなところが良い。KISSに関してはステージ全体も素晴らしいものだった。ほかにはボストンのトム・ショルツ、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガム、ジミ・ヘンドリックス、デヴィッド・ギルモア、トニー・アイオミ……延々と続けられるよ。みんな素晴らしいミュージシャンだ。

アリス・イン・チェインズを語る時、しばしばブラック・サバスを引き合いに出されるようですが、トニー・アイオミはあなたのギター・プレイに影響を与えたと思いますか?

 俺たちのやることに影響を与えたとは思わないが、俺たちの“あり方”に影響を与えた部分はあったかもしれない。キッズの頃はそういう音楽を聴いていたからね。レインはオジー・オズボーンの大ファンだったし、俺もサバスは好きだったよ。でも、それ以上に大きな影響を受けたとは思わないけれどね。

あなたは以前ファンク・バンドに在籍していたということですが。

 シリアスなファンクではなくて、なんとなくそんな感じのバンドをやっていただけだ。まぁ、楽しんでいたけどね。87年頃だったと思うよ。

『Facelift』収録の「I Know Somethin(Bout You)」は、ひょっとしてその頃に作った曲ですか?

 どうだろうね、俺は別にあの曲をファンクだとは思わないけど……。まぁ、バイブの点ではそういう感じもあるかもしれない。でも、本物のファンク・プレイヤーは“あんな曲がファンクだって?”と思うんじゃないかな。俺はいつも違うタイプの曲に興味を持っていたから、あの曲もああなっただけかもしれない。忘れちゃったよ。

ほかにはどんなタイプのバンドをやっていたんでしょう?

 コマーシャルなロック・バンドやメタル・バンド、ファンク・バンドなんかだ。所属したバンドの数はあんまり多くはないよ。3、4バンドくらいだ。あとは誰かと2〜3週間ジャムったりといった程度でね。

音楽理論を学んだことはありますか?

 大学の時や、ギター・レッスンの時に勉強したことはある。でもすぐにやめてしまったね。俺にはそういうことを続ける忍耐がないんだ。

自分の音楽に応用しようと思ったことは?

 俺にはいらないものなんだ。勉強した時も1週間後にはキレイさっぱり忘れていたぐらいでね。ああいうことを知っているっていうのは悪いことじゃないけど、俺のプレイには必要ないんだ。

あなたはあるインタビューで、好きな作曲家としてエルトン・ジョンやリンジー・バッキンガムの名をあげ、また特に『Rumours』(77年)を出した頃のフリートウッド・マックが好きだと言っていますね。今のあなたの音楽性からみると意外な発言に思えるのですが。

 俺はそういう音楽を聴いて育ったんだ。15年くらい前のことだけれどね。当時、俺はまだ音楽をプレイしていなかった。だから、むしろそういった人たちの音楽の書き方にインスパイアされていたんだ。その後10数年が経ったわけだけれども、その間に人間は変わるものだよね。だから俺がエルトン・ジョンを聴いて育ったからといって、俺のレコードにエルトン・ジョン的なサウンドが入っていなければならないという理由はないんだ。ただそういった音楽を聴いてインスパイアされたというだけのことさ。彼の音楽スタイルに影響されたわけではなくて、彼の音楽の書き方に魅かれたんだ。つまり人の真似をせず、自分の音楽を追求する姿勢。そこに俺はインスパイアされたのさ。

そういった音楽は今も聴いていますか?

 聴いてるよ。さて、悪いけど、サウンドチェックの時間なんでもう行かなきゃならないんだ。

本記事はギター・マガジン2021年4月号『オルタナ革命』と連動した記事です。本誌では、ソニック・ユース、ザ・スマッシング・パンプキンズ、ダイナソーJr.、サウンドガーデン、パール・ジャムなどなど、グランジ/オルタナ・シーンを代表するバンドの90年代当時のインタビュー記事を掲載しています。ぜひチェックを!