Interview|マーク・レッティエリ【Part.2】スティーヴ・ルカサーも参加した最新作 Interview|マーク・レッティエリ【Part.2】スティーヴ・ルカサーも参加した最新作

Interview|マーク・レッティエリ【Part.2】
スティーヴ・ルカサーも参加した最新作

スティーヴ・ルカサーのトーンのビッグさには驚いたね。

そして「Star Catchers」でのスティーヴ・ルカサーとの共演は見逃せません! 彼とのセッションはどのように実現したのでしょうか?

 もともとこの曲を録っている途中に、このアルバムでプレイして欲しい友達をリストアップしていたんだけど、ドラマー、ベーシスト、キーボード・プレイヤーがたくさん連なっていく中で、“もう1人くらい欲しいな……”と思ったんだ。“じゃあギタリストを迎えよう!”と思ってね。それにこの曲で最初に僕が弾いたフレーズがどことなくTOTOっぽい感じで、そのソロもクールだったんだけど、スティーヴ・ルカサーっぽく聴こえてきたんだ。だったら“実際に声をかけてみて、彼のプレイを入れてみたらどうだろう?”って考えてメールを送ってみたんだよ(笑)。スティーヴも“よし、任せろ!”という具合で(笑)、ソロをスタジオで録音して“こんな感じでどう?”って送ってくれたんだ。曲にミックスして聴いてみたら、彼のトーンのビッグさに驚いたね。“僕のギターのトーンをもうちょっと大きくしなきゃダメじゃないか!”と思うくらいラウドだった(笑)。

(笑)。テーマからツイン・ギターですが、これはあなたとスティーヴによるものでしょうか?

 いや、スティーヴはゲストで参加したソロしかプレイしていない。バリトンはもちろん、リズムやほかのすべてのメロディは僕がプレイしている。これからライブでプレイするとなったら彼のソロを再現しなくちゃいけないけど、僕はバリトン・ギターをプレイするわけだから彼を再現するのは無理ってことになってしまうね(笑)。

もともとスティーヴとは知り合いだったんですか?

 何年か前のNAMMショウで会って仲良くなって、それ以来連絡を取り合うようになったんだ。彼は最高のプレイヤーの1人であるだけじゃなく、面白いし地に足が着いた良い人だよ。

誰かの家だって構わないから、
僕は絶対にプレイしに行くよ(笑)!

「Red Dwarf」はコード・ボイシングも素晴らしいですね。

 実はこの曲はおもちゃを使って書いたんだ(笑)。かすかに聴こえる程度だけど、“Red、Red……”という声が入っていて、これはFisher-Priceという子供向け玩具メーカーのLaugh & Learn(Amazonで商品を見る)というおもちゃの音なんだよ。カラフルなテーブルに色んなボタンがあって、それを押すと様々なサウンドやノイズが聴こえてくるというおもちゃで、黄、青、緑、赤のボタンを押すと“Yellow”や“Green”といった声が聴こえてくる。で、赤を押したらDの音程で“Red”と発音されるんだ。そのDの音をたくさんのコードでハーモナイズさせている。そしたらこれが、この曲のコーラスのフックになったね。

「Blue Straggler」はトラヴィス・トイのスティール・ギターもフィーチャーしていて少しカントリーっぽいですね。

 この曲はヒップホップな感じだけど、ちょっとだけカントリーなフレーバーにしている。それにジェイコブ・コリアーがクレイジーなボーカル・ハーモニーを加えてくれたし、ネイトはこういった曲のポケットをうまく使いこなしてくれる。で、僕はピノ・パラディーノを意識した感じでベースもプレイしている。それらがうまくハマってくれているといいけどね(笑)。

「Sublight」のアコースティック・ギターにもカントリーの雰囲気があります。これまであまり印象になかったのですが、カントリーの仕事などもしてきたんですか?

 ここテキサスのアーティストのために、いくつかのカントリーのセッションに参加したことはあるよ。僕はカントリーのミュージシャンじゃないけどね。ただ、カントリーにおけるある程度の言語は身につけているし、実はバリトン・ギターはカントリーとの関係性をわかっていないとプレイすることは難しい楽器だと思う。カントリー音楽にはバリトン・ギターによるたくさんのグレイトなプレイが詰まっているからね。そういう経験があったから、僕もバリトンを使ったナチュラルなプレイが次第に身についたのかもしれないね。ちなみに、「Sublight」はギターをランダムなチューニングにして曲を書いたんだけど、チューニングを記録していなかったから、それが何なのかわからないんだ(笑)。ケースにそのまましまったはずだから、ギターがそのままの状態を維持してくれていたら助かるよね(笑)。

もう祈るしかないですね(笑)。

 その通りなんだ。祈るしかないね(笑)。Ibanezからバリトンのアコースティック・ギターを送ってもらったから、これを使って何かしたくてね。バリトンのアコースティックってそれだけでユニークなサウンドだし、こうやって曲が書けたことは嬉しいよ。

さて、我々が海外に行くことも、海外からあなたたちが来日することも少し難しくなってしまいましたが、生であなたの演奏を観るのを楽しみにしています。最後に日本のギター・ファンへメッセージをお願いします!

 1日でも早くそっちに安全な形で行ってプレイしたいと思っているさ。君たちにブッキングしてもらいたいくらいだ。誰かの家だって構わないから、僕は絶対にプレイしに行くよ(笑)! 日本は世界中で最も僕が行ってみたい大好きな国の1つだから、真っ先に行きたいね。

もし私の家に来てくれるならお気に入りのグッドなギターが数10本ありますので、手ぶらで来て好きなギターを選んでプレイしていって下さいね。

 グレイトだ! じゃあ君の家のリビングでライブをやろうか(笑)!

作品データ

『Deep: The Baritone Sessions Vol.2』
Mark Lettieri

Leopard/2021年4月16日リリース

―Track List―

01. RED DWARF feat. Daric Bennett & Justin Stanton
02. MAGNETAR feat. Adam Deitch & Shaun Martin
03. PULSAR feat. Robert “Sput” Searight
04. TIDAL TAIL
05. VOYAGER ONE feat. Nate Smith & Bobby Sparks
06. STAR CATCHERS feat. Steve Lukather, Jason “JT” Thomas, Wes Stephenson, and Philip Lassiter & The Philthy Hornz
07. BLUE STRAGGLER feat. Travis Toy
08. NEBULAE feat. TaRon Lockett, Frédéric Yonnet & Braylon Lacy
09. SUPERNOVA feat. Keith Anderson
10. SUBLIGHT

―Guitarists―

マーク・レッティエリ、スティーヴ・ルカサー