Interview|有馬嵩将&荏原優太郎(THE TREES)×菅原慎一元シャムキャッツのギタリストがプロデュース! きらびやかなギターポップ・バンドの魅力とは? Interview|有馬嵩将&荏原優太郎(THE TREES)×菅原慎一元シャムキャッツのギタリストがプロデュース! きらびやかなギターポップ・バンドの魅力とは?

Interview|有馬嵩将&荏原優太郎(THE TREES)×菅原慎一
元シャムキャッツのギタリストがプロデュース!
きらびやかなギターポップ・バンドの魅力とは?

この曲は正直、菅原さんを意識していますね(笑)。
──荏原優太郎

菅原さんがTHE TREESに対してできること、というのは何だと思いましたか?

菅原 やっぱり僕自身、4人体制のロック・バンドというベーシックなスタイルでずっとやってきて、弦が絡み合うアンサンブルを追求してきたこともあって……なかなか言葉にはしづらいですけど、そのサウンドというか。

菅原さんは2人のギター・プレイについて、どこに魅力を感じますか?

菅原 まず有馬君は、カッティングのタイム感がめっちゃ良いんです。ノリとしてはちょっと前寄りなんですよ。生き急ぐ感というか(笑)。ただ、それでいて4人のメンバー全員ともタイム感が合っている。

バンド全体にしっかりと合わせられるタイム感を持っていると。

菅原 そうですね。荏原君はそこに対してジャストか、少しうしろめで弾くんですよ。その2人のギターが合わさった時のグルーヴもめちゃくちゃ良くて。あと荏原君はリフが良いですね。例えば今作で言えば「Marron」。曲のメロディも美しいけど、右CHで鳴ってる荏原君のギターだけでも、サブ・メロディ的にずっと聴けるというか。

絶妙にギターの主張を抑えていて、歌に寄り添う感じですよね。

荏原 確かに「Marron」は一番菅原さん的だと思う(笑)。

菅原慎一

それは菅原さんを意識したんですか?

荏原 正直、してます(笑)。ただ冒頭のリフなど、有馬がデモの段階で弾いてたものもあるので、彼の力もありますね。

有馬 この曲は家でかなり作り込みました。これは僕の持論なんですけど、“イントロ・ドンできるような曲が良い”と思ってて。だからリフには必ずこだわりたいんです。ただ、僕はサウンドメイク的な部分が弱いので、そのあたりを荏原や菅原さんの解釈でもっと良くすることができたと思います。

互いに補いあっていると。

菅原 あと有馬君については、僕がもう1つ好きなポイントがあって。和音の使い方に若干クセがあるんですよ。例えばロー・コードのCでもドミソとそのまま押弦せず、人差指をはずすとか。7thや9thの音も、ちょっとしたオカズで入れたり。それがまったく嫌らしくないんですよね。

2人のささくれだったギターの音が好きですね。
──菅原慎一

今作は基本的に8ビート主体の曲が多いですが、「Lilac」では終盤16分のカッティングがリズムを引っ張り、耳に残るアプローチもありますね。

荏原 それこそトーキング・ヘッズとかも好きですし、今後もこういうアプローチはやっていきたいですね。

菅原 確かに、“16のフィール、良いね”って話はしてましたね。あと“すこしR&Bっぽいテイストもどう?”とか言ったりもしました。

有馬 そうでしたね。それこそ菅原さんから、“こういうのどう?”って言われたものを曲にしています。またみんなでアレンジしていけば、カッティング・メインの曲が確かにあってもいいと思うので。

曲全体のギター・サウンドも、すごく気持ちの良い歪みですよね。

菅原 「Lilac」はTS9を使いましたね。この曲はすごく爽やかな印象があるんだけど、歪んでるってことが超大事で。これをスカスカの音でやっちゃうと、めっちゃダサくなるんですよね。だから歪み具合を重要視して、2人の音が潰れないかつ、ちゃんと分離して聴こえるっていうのは意識しましたね。

有馬 印象がデモの時より大きく変わりましたよね。曲自体が力強くなったというか。

今回はデビュー・アルバムということでしたが、THE TREESはまたこれから、様々なアプローチやサウンドを模索していくのかと思います。「Mimosa」では、がなるように歌う瞬間もあり、そういう有馬さんのボーカルの別の一面を生かした曲も今後聴いてみたいと思いました。

有馬 ありがとうございます。じゃあ、早速作ります(笑)。

菅原 明日には送られてきたりしてね(笑)。「Mimosa」は僕もすごく気に入ってて。2人のささくれだったギターの音が好きですね。これもサウンド的には、少しオルタナ感のある荒々しい歪みを意識しないとダサくなりがちなんですよね。

最後に、今後の目標を教えてもらえますか?

荏原 ギタリストとしては自分ができることを増やして、その引き出しから選択できるようになりたいですね。今作は良い曲がそろったので、それを目一杯楽しく演奏できるように、バンドのグルーヴも高めていきたいです。

有馬 僕は“これは有馬が弾いてる”と、一聴してわかるようなフレーズや音作りができるようになれればと。バンドとしては、今作の曲をライブでやる機会も増えてくるので、よりアルバムの世界観を伝えられるような演奏をしたいと思います。ともかくバンドを続けていって、良い作品を残していきたいですね。

菅原さんは今の話を聞いて、2人に何を期待しますか?

菅原 スタイルやファッションも含めて、若いバンドがマネしたくなるようなギタリストになってほしいですね。すごく良いバンドなので、ちゃんと世に広まって売れてほしいです。あとは僕たちが行けなかったアメリカやヨーロッパにツアーで行けるようなバンドになってもらえれば!

作品データ

『Reading Flowers』
THE TREES

P-VINE RECORDS/PCD-83037/2021年6月23日リリース

―Track List―

1.Clover
2.Edelweiß
3.Primula
4.Iberis
5.Marron
6.Lilac
7.Zinnia
8.Mimosa
9.Chloranthus
10.Coleus

―Guitarists―

有馬嵩将、荏原優太郎