2005年の初来日時インタビューを公開!17歳のジュリアン・レイジの貴重な証言 2005年の初来日時インタビューを公開!17歳のジュリアン・レイジの貴重な証言

2005年の初来日時インタビューを公開!
17歳のジュリアン・レイジの貴重な証言

『Generation』と『Next Generation』は、マッチレスとマンザーの組み合わせです。

取材中も合間をみてはギターを弾いてますが、それはリンダ・マンザーですね。

 パット・メセニーが使っているのを見て知って、彼女にギターが欲しいとメールをしたら3~4年待ちと返ってきたんです。でもそんなに待てなかったので、今売れるものないかと返信したら、ほかの人がちょっとだけ弾いたものだったらあるというので、購入したんです。5~6年前だったかな、5千ドルだったので、支払いが大変でした(笑)。

ピックアップはどこのですか? あと3弦が巻弦ですね。

 ケント・アームストロングです(注:2009年に再来日した際は、アジャスタブル・ポールピース付きカスタム・メイドのPAFに交換されていた)。弦はトマスティックの011からのラウンド・ワウンドのセットで、ボトムは、えーと、どっちだったかな、047か053です(笑)。

このギターで特に気に入っている点は?

 ローからハイ・ポジションまで音量が均一で、とにかくバランスが良いところ。あとトップがメイプルとマホガニーが5層になっている合板なので、箱鳴りが大きくて、サウンドがウォームなのも気に入っています。エレクトリックは最初に買ってもらったストラト・タイプと、ジャズ用のこれの2本しか持っていないんです。

アコースティック・ギターはけっこう持ってるんですか?

 マーティンD-01、サンタクルーズOM、スモール・ボディでなで肩スロープのランニングドック(Running Dog)のチカディ(Chickadee)などがありますね。

ピックは随分と厚いですね。

 ジム・ダンロップの1.5ミリです。

アンプですが、気に入っているメーカーは?

 今一番気に入っているのはマッチレスのチーフテン(Chieftain)です。10インチ・スピーカー2発入りで、『Generation』(2003年録音)と『Next Generation』(2004年録音)は、マッチレスとマンザーの組み合わせです。あとの8インチ1発入りの古いポリトーンも持ってます。

エフェクターは?

 使ってません。アンプ直結です。

人類学、国語、数学の代数と幾何、天文学、社会学などを勉強してます。

今はギターはどのくらい練習するんですか?

 日によって6時間だったり、8時間だったり、11時間だったり……平均すると7時間くらいと言ったところでしょうか。

どんな練習を?

 さっき言ったようにコピーしたフレーズをレコードに合わせて弾いたり、あとはテクニカルなエクササイズですね。いろんなスケールだったりアルペジオだったり、それから様々なコードをスムーズに弾けるようにしたり。ピッキングもオルタネイト以外に、ダウンばかりやアップばかりでやってみたり、ボサノヴァをフィンガー・スタイルで弾いたり、とにかく考えつくあらゆることをやる感じですね。

ちゃんと学校には行ってたんですよね(笑)?

 もちろんです(笑)! でもギターを弾く時間は確保したかったので、ジュニア・ハイスクール時代は先生から宿題をたくさん出してもらって、週に1回、学校に行って試験を受けて、単位をどんどん先取りしていきました。ですので毎日行かなくて良かったんです(注:いわゆる飛び級制度)。

 ハイスクール時代も、最初の1年間は大学検定を受けるために毎日学校に通って、それでサンタローザ・ジュニア・カレッジの試験に合格したので、その後は毎日行く必要はなかったんですよ。

ちなみに、今もまだ学生なんですか?

 そうです。今言ったサンタローザ・ジュニア・カレッジです。『Next Generation』のアルバムをリリースしてからは、ゲイリー・バートンとのツアーが多くて、そのおかげでこうして日本にも来られたんですけど、ツアーがなくて、家にいられる時はなるべく大学に行ってます(笑)。

大学では音楽を専攻してるんですか?

 いいえ。人類学、国語(=英語)、数学の代数と幾何、天文学、社会学などを勉強してます。あと1年くらいはジュニア・カレッジにいて、卒業したらN.Y.か、もしくはゲイリーがバークリー音楽大学で教鞭を執っているので、ボストンに行くか。バークリーでもっと作曲を学ぼうかとも思っているし、N.Y.で自分のグループを作って活動するのも良いし、いろいろ選択肢はあるので、じっくり考えているところです。

同い年の友人たちとは明らかに違うというのは、あなた自身もわかっているのではないでしょうか。

 たしかに自分は音楽に選ばれたという感じはしています。さっき言った“1日何時間〜”云々も、自分の中では練習している、努力してるという感覚は一切ないんです。できないことをできるようにするのが楽しくてしょうがない。ギターを弾けば弾くほど、道が拓けていって、世界が広がってきたという感じです。

 そして、それに協力してくれている周囲の人たち、両親を始め、ランディ・ヴィンセントなどギターを師事した人たち、僕を見出してくれたゲイリー・バートンなどにはとても感謝しています。

最後に共演してみたいミュージシャンを教えて下さい。たくさんいるでしょうけれど。

 すぐに出てくるのは、ウェイン・ショーターとチック・コリア、それからハービー(・ハンコック)とももう一度やりたい。ギタリストだと、カート・ローゼウィンケルやリオネル・ルエケ……あと、なんと言ってもジム・ホールはぜひ一緒にプレイしてみたいです!

作品データ

『Squint』
ジュリアン・レイジ

ユニバーサル/RCCQ-1142/2021年6月11日リリース

―Track List―

01. Etude
02. Boo’s Blues
03. Squint
04. Saint Rose
05. Emily
06. Familiar Flower
07. Day & Age
08. Quiet Like A Fuse
09. Short Form
10. Twilight Surfer
11. Call Of The Canyon
12. Granada(日本盤ボーナス・トラック)

―Guitarists―

Julian Lage