シカゴ・ブルースのリヴィング・レジェンド、バディ・ガイ。現在86歳。最新作『The Blues Don’t Lie』のレコーディングは2019年から始めていたといえど、その衰えぬキレ味と伸びやかで自由なプレイには脱帽だ。そしてそのサウンドを生み出すのはもちろん、彼のアイコンでもあるフェンダーのストラトキャスター。今回はなんとか取りつけたアルバム・インタビューに際し、彼とストラトキャスターの関係性について質問してみた。
取材=福崎敬太 翻訳=トミー・モリー Photo by Debra L Rothenberg/Getty Images
※本記事はギター・マガジン2022年12月号に掲載されたインタビューを一部抜粋したものです。
ギター・スリムを知っているだろう?
最新作『The Blues Don’t Lie』でも「House Party」でギルドのスターファイアーIVを使用した以外、ほぼすべてのエレキ・ギター・パートはストラトキャスターです。1950~60年代のシカゴでストラトキャスターを使っているブルース・ギタリストはあまり多くなかったと思うのですが、そもそもあなたがストラトキャスターを選んだ理由は何だったのでしょうか?
君なら知っているだろう? ギター・スリムというグレイトなギター・プレイヤーがいたことを。私が観た彼はストラトキャスターをプレイしていたんだ。ストラップが壊れてしまい、代わりに釣り糸を使ってギターをぶら下げていたのを覚えているよ。
長いシールドを使ったパフォーマンスなどがギター・スリムの影響とは知っていましたが、ストラトキャスターも彼からの影響なんですね。
B.B.キングや彼を観て、私がしたいのは“B.B.のようにプレイしてギター・スリムのように振る舞うこと”だと思ったんだ。あと、スリムはギターを野球のバットのように扱っていて、いつもボロボロでね。例えば、靴は履き続けるとボロボロになるけど、同時に自分の足にフィットしてスッと履けるようになる。そこで新しい靴に変えると、今度は足を痛めるだろう? それと同じように、ギターもボロボロなほうが色々な意味でよりグッドなものになる。だから同じギターを弾き続けているのさ。
若い頃のアイコンでもある1957年製ストラトキャスターを入手した時のことや、何か思い出に残っているエピソードがあれば教えて下さい。
私はギブソンのレス・ポールを持ってシカゴにやってきたのだけど、それが盗まれてしまったんだ。ギターはすぐに必要だけど、ストラトキャスターは私にはとても手が出せる値段じゃなかった。でも、ブルース・クラブを経営していたテレーザという女性が、お金を貸してくれたんだ。
やっとの思いで手に入れたストラトキャスターを私は気に入り、生きている限り絶対に手放さないと決めたが、それも盗まれてしまった。あまりにも弾き続けてネックがボロボロになったから、引退させて自宅に置いていたんだ。でも、どんな状態であっても自分の側にずっと置いておくべきだった。カナダへライブをしに行った際に、自宅に泥棒が入って盗まれたんだ。
90年代に幸運にも戻ってきたという情報がインターネット上にありましたが、それは誤情報なのでしょうか?
二度と私の元に戻ってくることはなかったよ。もし今手元にあったら喜んで君に見せてあげているさ! それだけお気に入りのギターだったんだ。

ギター・マガジン2022年12月号
『浅井健一(SHERBETS)』
2022年11月11日(金)発売
ギター・マガジン2022年12月号には、バディ・ガイがストラトキャスターについて語ったインタビューを掲載。本記事の続きは、誌面でチェックを!