ジェフ・ベックの過去インタビューから、印象的なトピックについて語った部分を抜き出してお届けする連載、『Jeff Beck Talked about…』。ボーカルはとらずにギター1本で勝負した理由、そしてエリック・クラプトンからのアドバイスなど、貴重な証言が盛りだくさん! ジョン・マクラフリンがベックに与えた影響も語ってくれた。
This article is translated or reproduced from Guitarist #495 March 2023 and is copyright of or licensed by Future Publishing Limited, a Future plc group company, UK 2023. All rights reserved.
Interpretation by Tommy Morly Photo by Paul Natkin/WireImage/GettyImages Designed by Marina Ino
俺の声は耐えられないくらいにひどいぞ
俺は歌わないから、かなり苦しい状況にも直面してきた。エリック(クラプトン)が、“自分の声が好きになれないという事実に慣れなきゃダメだ、俺だって慣れるようにしたんだ”って最高に賢いことを言っていたよ。“でもお前の歌はグッドなサウンドだからいいじゃないか。俺の声は耐えられないくらいにひどいぞ。俺はとにかく嫌なんだ”と答えたよ。
たとえ「(ハイ・ホー・)シルヴァー・ライニング」ぐらいヒットしたシングルが作れたとしても、自分の歌声を聴くのは耐えられなかっただろうね。
エリックは“お前がもし自分で歌わなかったら、相当タフなことになるだろうから言ってやっているんだ”と続けたよ。そして実際にタフだったけど、あの時のことを振り返って“『ブロウ・バイ・ブロウ』を俺は作っただろう? あれを聴きながらパイプにでも火を点けて吸っていてくれ”と言ってやりたいね。
でもエリックは正しかった。もし誰もが好むような曲を俺が作っていたら、自ずと自信を植えつけてくれていただろうし、自分の声のサウンドを気に入るようになっていたかもしれない。でももし自分で歌うようなものを世の中に出していたら、耐えられなかっただろうね。それはもはや俺じゃないんだ。
ジョン・マクラフリンを聴いた時に、すべてが上手い方向に進んだと思った
俺はジミ(ヘンドリックス)の声は風変わりでグレイトな声だとは思わないが、マジックがあると思う。彼はスクリームすることなんて一度もなく、彼の代わりにギターが常にスクリームしていた。俺は現在でも彼に驚嘆している。
俺は今(2016年当時)になって最もジミを聴いていて、それはいくつかのかなりレアな録音を手に入れたからなんだ。あんなに凄いことを1970年までの3年半の活動期間ですべてやっていたと思うと恥ずかしくなるよ。しかもそれは70年代初頭に入るとおかしな方向に進んでいった。
そしてジョン・マクラフリンを聴いた時には、すべてが上手い方向に進んだと思ったよ。マイルス・デイヴィスのアルバム『ジャック・ジョンソン』やマハヴィシュヌ・オーケストラでの彼のパフォーマンスは、まるで“こういうところまで行けるんだよ”って教えてくれていたような気がした。それに俺の知るミュージシャンたちはみんな彼らに夢中になっていた。
“これってちょっと俺っぽいな。俺もこういうのをちょっとやってみよう”と思ったんだ。プレイの卓越っぷりは類稀なるものだったしね。
──ジェフ・ベック(トータル・ギター誌2016年9月)
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