ミヤ(MUCC)とKen(L’Arc〜en〜Ciel)が語る、「空と糸」のアレンジ、そして“プロデューサーの意味” ミヤ(MUCC)とKen(L’Arc〜en〜Ciel)が語る、「空と糸」のアレンジ、そして“プロデューサーの意味”

ミヤ(MUCC)とKen(L’Arc〜en〜Ciel)が語る、
「空と糸」のアレンジ、そして“プロデューサーの意味”

MUCCの結成25周年を記念して、過去作『是空』(2003年)〜『シャングリラ』(2012年)まで計8作品を順に再現していくツアーが開催中だ。そこで今回は、2009年の作品『球体』に収録された、Ken(L’Arc〜en〜Ciel)によるプロデュース楽曲「空と糸」について、ミヤとKenの両名にインタビュー。お互いのエッセンスが生かされたアレンジや、“プロデュース”についての考え方まで、時間の許す限り語ってもらった。

取材/文=村上孝之 写真=石川浩章

ミヤくんが時代感をわかっているんです
──Ken

Ken
Ken

KenさんがMUCCのプロデュースを務めた2曲目、「空と糸」(2009年)についても聞かせて下さい。

ミヤ 「空と糸」はプロデュースされる内容が「アゲハ」とはまったく違いましたね。「アゲハ」は躍動感とか、ゴツさ、空気感みたいなところをフォーカスしてもらいましたが、「空と糸」では曲の“構築感”やギターのフレーズ、コード、開放弦の使い方といったことを話すことが多くて。そういった細かな部分をKenさんから学びました。この曲のギターフレーズは開放弦が混ざるんですが、それはKenさんのアイディアじゃないかな……。

Ken そうだっけ?

ミヤ はい。めっちゃ練習したのを覚えています。まったく自分の中にないフレーズで、こういうプレイはしたことがなかったんです。俺は“ジャーッ”とコードを弾くみたいなプレイばっかりやっていたから、“こんなにメンドくさいアプローチがあるのか……。と思いました(笑)。

Ken メンドくさそうにしてたの覚えてる(笑)。

ミヤ でも、俯瞰して聴いた時に“歌のメロディとギターの音程がちゃんとハモってる”ということに気がついて、これは凄いと思ったんです。それでライヴでも弾くようにしました。新しいことに挑戦する時というのは抵抗があるし、難しかったりするけど、できるようになった時の達成感がありますよね。

Ken 自分が「空と糸」のフレーズを覚えて、ライヴでノリノリでこれを弾くのはちょっと……っていうくらい複雑。でも、ミヤくんにはやらせた(笑)。

ミヤ ハハハッ!

Ken ピッキングハーモニクスも入るところと入らないところが決まっていたりね(笑)。

また、「アゲハ」と「空と糸」はEDM感のあるシンセが鳴っていたり、ボーカルにオートチューンをかけるなど、時代感のあるサウンドや表現方法を採り入れていることも注目です。

Ken ミヤくんが時代感をわかっているんです。

ミヤ なんか、ちょっといびつなものにしたいんでしょうね。正統派なメタルにオートチューンは入れないでしょう……みたいな風潮がある中で、MUCCは入れてしまう。そういうのは、やっぱりミクスチャーが好きっていうところから音楽を始めているので、そういうことも進んでやりたくなるんだと思います。

Ken あの2曲の空気感を作るには、ああいう要素を入れたほうがいいしね。

ミヤ “この空気感は、なんなんだろう?”という部分が絶対にほしいんです。“こういう曲ね”で終わるんじゃなくて、聴いた人が“?”となる部分がほしい。

 90年代に俺らが聴いていたヴィジュアル系は、そういう空気感のものが多かったから。なんだかよくわからないけどカッコいい……みたいな。当時は知識がなくてわからなかったというのもあったと思いますけど、そういう“?”に凄く惹かれていたから、その感覚を失いたくないんです。

L’Arc〜en〜Ciel(以下ラルク)もそういった“新しさを感じさせる部分”が多いですよね。

ミヤ そうそう。ラルクは“なんでこんなにポップなバンドなのにインダストリアルな匂いを感じるんだろう”っていう部分があります。昔、Kenさんのギターソロを聴いて、子供ながらに“1人だけちょっと頭がおかしい人がいる”と思ったんですよ(笑)。“ソロの入りなのになんでこんな動きをするんだ……?”みたいな。

 そういったちょっと引っかかる個性的なところに惹かれていました。俺が初めてコピーしたKenさんのギターソロは「Blurry Eyes」(1994年)だったんですけど、グリスダウンで始まるソロなんて聴いたことがなかったんです(笑)。

今の自分ではあの音を作れないんですよね、いびつ過ぎて(笑)
──ミヤ

ミヤ
ミヤ

話は少し変わりますが、お二人が初めてプロデューサーとのレコーディングをした時は、どんなことを感じましたか?

Ken 『Tierra』(1994年)の時、ギターを入れたあと、キーボードを入れる時に富樫さんが来てくれて、その後、「Vivid Colors」(1995年)の時には、ギターを入れる時から西平彰(k)さんが来てくれたんですけど、西平さんはキーボードの人だからか、当時の自分では思いつかないアプローチを色々提案してくれて。

 例えば、サビはギターのパワーコードで音像を埋めずにハイポジションのカッティングだったりして。当時の自分では思いつかないアプローチだった。それで“えっ? これでいいんですか?”みたいな。ベースとパッドでコードを支えているから、ギターはカッティングで大丈夫だと言ってくれて。

ミヤ そうだったんですね。このカッティングは“これぞKenさんのギター”と思っていたので、ちょっと意外です。

Ken ああいうアプローチはそれまでやったことがなかったね。キーボードがいないギターが1本の編成で、音程がステイするカッティングだけだと、コード感がわからなくなるじゃん。音源ではキーボードを入れてもライヴでは再現できないから、やっていなかったんだよね。

西平さんが制作に入ったことで、新しいところに行けたんですね。

Ken そう。ローコードでずっと支えるんじゃなくて、ハイポジションだけを使ってアンサンブルを成り立たせる手法は“なるほどっ!”てなった。そこで“もっと色んなギターのアプローチができるな”って気がついたね。

ミヤ MUCCの場合は制作からバンドの運営まで全部セルフプロデュースだったんですが、ドラムに関してはわりと早い段階からSakura(Rayflower/ZIGZO/gibky gibky gibky)さんに来てもらっていたんです。基本的にはドラム周りを見てくれるんですけど、たまに楽曲のプロデュースというか、ディレクター的なアプローチもしてくれていたんですよ。テイク選びを一緒にやったりとか。

 そこから、もっと“コードやアレンジに新しい風がほしいね”となった時に「モノクロの景色」(2004年)で菅原(弘明/k)さんが来てくれたんです。当時の俺はテンションコードやセブンスとかを感覚でやっていて、何もわからなかったんですよ。それに対して菅原さんがアレンジをしてくれたり。あと、音が太過ぎるところは音数を少なくしたり、効果的なハモリを入れたりというようなアドバイスをもらったりとか。

 ただ、当時の俺は“シングル曲だから綺麗な音で”という方向とは真逆を攻めたかったんです。“シングル曲でも全部ファズでいきます!”みたいな(笑)。ファズのバッキングをダブルでやるというのを絶対に譲らなかった。菅原さんは凄く頑張ってコードのアレンジをしてくれてたけど、結局全部ファズで弾くという(笑)。だから、メロディはキャッチーだけど、もの凄く“ヌメェーッ”としている音像になってるんです(笑)。

Ken 凄いな(笑)。「モノクロの景色」は改めてその耳で聴こう(笑)。

ミヤ 聴いて下さい(笑)。もっとわかりやすい音像にしてもよかったと思うけど、逆に今の自分ではあの音を作れないんですよね、いびつ過ぎて(笑)。

Ken それはそれで良いよね。

ミヤ そうですね。バンドの歴史としては面白いと思います。

左からミヤ、Ken。
左からミヤ、Ken。

そういった時期を経て、お二人は他アーティストのプロデュースもするようになります。プロデューサーとして大事にしていることなども聞かせて下さい。

Ken 俺はまず、アーティスト側の要望とか、アレンジメントの希望する方向性を聞いて、頭に入れる。関わる人によって常に関係性は変わるから。まずはそこから色々考え始めるっていう感じかな。

全部を仕切るのではなく、アーティストのやりたいことや個性を尊重したうえで、より良いものを作るタイプというか。

Ken そう。あと、先に俺がどんな感じのプロデュースをやるのかをわかってほしい。俺とどういうことをやりたいかってところを擦り合わせてから“一緒にやりましょう!”となってほしいというか。相手の時間を無駄にさせたくないじゃない? だから、そこが合致するなら一緒にやる。しないならもっと合う人とやったほうがいいんじゃない……?というスタンスだよね。

ミヤ 俺はプロデュースといっても代表的なのはMUCCとGirugameshくらいなんですよね。あと、俺の場合は“今回のアルバムはこういう音像感にしたい。だからミヤさんにお願いしたい”と言われてプロデュースをする機会が多いですね。サウンド面のプロデュースに重きを置いてお願いされるというか。相手が俺のサウンドの方向性を気に入ってくれて頼まれるパターンですね。

お二人とも“信頼できる先輩”的な立ち位置のプロデュースといえますね。さて、今回話していただいた「アゲハ」、「空と糸」が収録されている『球体』と、その前年にリリースされた『志恩』(2008年)を再現するツアーが6月9日からスタートしました。今日のお二人の話を聞いて、ツアーが一層楽しみになりました。

ミヤ MUCCは25周年を迎えていて、アルバムも20枚あるんですよ。なので、アルバムを振り返ることを始めていかないと、30周年とかの時に困るなと思って。ツアーでアルバムをしっかり振り返るというのはしたことがなかったので、しっかりやることにしました。

 アルバム単位で楽曲と向き合う機会は貴重なので、凄く実りのあるツアーになっています。当時はできなかったことができるようになっているというのもあるし。だから、当時の再現だけっていうよりも“再現と再構築”というツアーですね。

Ken ただ単に昔を振り返るだけではないんだよね。

ミヤ そうです。あとは、活動歴が25年と長いので、当時の曲を観たかったけど観れなかったという人も多いんですよ。最近ファンになってくれた人とか。そういう人たちが喜んでくれるというのもあるし、若い頃から知ってくれてる人には“大人になって観ると、全然感じ方が変わりますね”という声をもらったりしている。そういうところでも、凄くやり甲斐を感じています。

 機材的な面で言うと、メインの楽器以外はあまり当時に寄せてないんです。例えば、当時は7弦で弾いていた曲はKenさんのストラトキャスターを使ってみたり。

そういったところも観どころですね。

ミヤ それに、それぞれのアルバムをイメージした新曲というのをツアーごとに出しているんです。当時の写真をイメージしたものを撮影していたりと、色んな部分を楽しんでもらえると思うので、ぜひ会場に足を運んでほしいです。

LIVE INFORMATION

『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」〜志恩・球体〜』

  • 2023年6月24日(土)三郷市文化会館
  • 2023年6月30日(金)メルパルクホール大阪
  • 2023年7月21日(金)高崎芸術劇場スタジオシアター
  • 2023年7月26日(水)Zepp Shinjuku
  • 2023年8月1日(火)浅草花劇場
  • 2023年8月2日(水)浅草花劇場
  • 2023年8月21日(月)水戸市民会館

NIGHTMARE×MUCCツーマンツアー『悪夢69』

  • 2023年8月17日(木)Zepp Nagoya
  • 2023年8月18日(金)Zepp Osaka Bayside
  • 2023年8月24日(木)Zepp Haneda

『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」〜カルマ・シャングリラ〜』

  • 2023年10月1日(日)仙台 GIGS
  • 2023年10月4日(水)渋谷 CLUB QUATTRO
  • 2023年10月7日(土)松山W studio RED
  • 2023年10月9日(月・祝)広島 CLUB QUATTRO
  • 2023年10月14日(土)長野 CLUB JUNK BOX
  • 2023年10月15日(日)金沢EIGHT HALL
  • 2023年10月21日(土)札幌PENNY LANE 24
  • 2023年10月22日(日)札幌PENNY LANE 24
  • 2023年10月24日(火)青森Quarter
  • 2023年10月28日(土)福岡BEAT STATION
  • 2023年10月29日(日)福岡BEAT STATION
  • 2023年11月4日(土)名古屋ボトムライン
  • 2023年11月5日(日)名古屋ボトムライン
  • 2023年11月11日(土)なんばHatch

『MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」』

  • 2023年12月28日(木)国際フォーラム ホールA
    ※詳細後日発表

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はMUCC公式HPをチェック!

MUCC公式HP
https://55-69.com/