2年ぶりとなる13枚目のアルバム『HELL』をリリースした、おとぎ話。インタビューの最後に、アルバム・レコーディングで使用した機材について語ってもらった。
取材・文=小林弘昂 人物撮影=星野俊
今回の曲はフェンダーの
ツイード系の音じゃないんですよね。
──牛尾健太
「正義の味方」、牛尾さんのギターは少しコーラスがかったようなサウンドになってますよね?
牛尾 今回はナッシュビル・チューニングのギターを用意していて、それを重ねてるんですよ。この曲だとサビのアルペジオがそう。12弦ギターを持ってないからっていうのもありますけど。
ナッシュビル・チューニングにしたギターは?
牛尾 有馬が持っているフェンダーの赤いバレットですね。
有馬 バレットが優秀で、中域に嫌な痛みがなくて。
レコーディングでナッシュビル・チューニングを使ったのは久しぶりですよね。
牛尾 「JEALOUS LOVE」(2016年)以来じゃないかな?
有馬 そうかもね。
牛尾 あとは「絵画」と「です愛」でも使ってます。
今回のレコーディングで使用した機材を教えて下さい。
牛尾 メインはSGかな。それと有馬からメキシコ製のテレキャスを借りて、ちょくちょく使いました。あとはバレットをナッシュビル・チューニングにしたり、曲によっては有馬のギルドのStarfire Ⅲを弾いたり。
有馬 今回、アコギは自分しか弾いてないです。
牛尾 アンプは2人共、有馬の’65 Super Reverbしか使ってなくて。1曲くらいはMusic Manの210 Sixty-Fiveを使ったかもしれないですけど。
牛尾さんのアンプは登場してないんですね。
牛尾 ブースに置くスペースがなかったのと、もともと有馬のSuper Reverbは僕が使っていたやつなので。それと今回の曲はフェンダーのツイード系の音じゃないんですよね。
そうですよね。グシャッとした音ではなく、キレイに伸びる音のほうが合います。
牛尾 そうそう。ある程度アンプをクリアにして、そこにクランチのオーバードライブとか空間系を加える感じ。
有馬さんの使用ギターは?
有馬 今まではずっとギルドだけを使っていたんですけど、今回はレス・ポール・スペシャルとテレキャスがメインでした。
牛尾 「正義の味方」はスペシャルで弾いてましたよ。ずっと“弾きやす〜”とか言ってて(笑)。
有馬 弾きやすいし、良い音だし、凄く楽しくて! ギルドはめっちゃ弾きづらい(笑)。
牛尾 エフェクターはArcher Ikonで歪ませたくらい。
有馬 うん。たぶん歪みは全部Archer Ikon。オンにせずにバッファとして使った曲もあるかもしれないですね。
エフェクターはそんなに使ってないんですね。
牛尾 もちろんRATとかEmpress EffectsのVintage Modified Superdelayのショート・ディレイとかも使いましたけど、ベーシックのバッキングでは極端にエフェクトを使うことはなかったですね。
有馬 リバーブが必要な時もアンプのリバーブを使ってたし。今思うと、アンプのツマミはけっこう変えてたかも。今までのレコーディングの中では一番そうしてたかもね。
牛尾 今回、全然歪んでないんですよ。今までだったら「恋は水色」とか「正義の味方」とかはもっと歪ませてたと思う。だから僕は歪ませたがってたんですよ。
有馬 レコーディング中、牛尾が何回か“やっぱりRATがいいかも”とか言うんですよ。それがめちゃくちゃ面白かった(笑)。
牛尾 同じ時期のRATを2〜3台持って来ていて、“このRATじゃなくて、こっちのRATのほうがいいかな?”って悩んでたら、有馬が“同じじゃん!”ってウケてた(笑)。
有馬 見てる分には楽しいけどね(笑)。
牛尾 オペアンプが違ったりとかね、あるんですよ。
作品データ
『HELL』
おとぎ話
felicity
MARY-001 / felicity cap-372
2024年5月29日リリース
―Track List―
01.恋は水色
02.MARY
03.美
04.ね。
05.I♡PIG
06.闇落ち
07.絵画
08.繊細
09.です愛
10.正義の味方
―Guitarists―
有馬和樹、牛尾健太