2024年7月12日にリリースされた、MR. BIGのニュー・アルバム『TEN』。本作で使用したアイバニーズのギターについて、ワールド・ツアー中のポール・ギルバートにたっぷりと語ってもらった。
取材・翻訳=トミー・モリー
最近気に入っているのは
80年代に作られたビンテージのIbanezだね。

『TEN』のレコーディングで使用したギターについて、詳しく教えて下さい。
僕の作業はすべて自宅のスタジオで行なったから、ギター・コレクションを自由に使うことができたよ。“この曲ではどのギターを弾こうかな?”っていう感じでね。だからギターを見回して、その瞬間にビビッときたものを手に取っていった。最近気に入っているのは80年代に作られたビンテージのIbanezだね。
80年代のIbanezですか。
Blazerを何本か持っているんだ。狙い目な個体をインターネットで見つけて、400ドルくらいで手に入れたのさ! ピックアップはDiMarzioのものに載せ替えていて、そういうBlazerを何本か使ったよ。
ほかに使ったIbanezのギターは?
Roadstarも何本か使ったよ。RS525っていう、ピンクや紫のフィニッシュのモデルを弾いたのを覚えている。このギターのクールなところは、ブリッジにファイン・チューナーを搭載しているところ! こういうトレモロ・ユニットはなかなか普通のギターには搭載されていないんだよね。これがあることで、カポを付けた時にもピッチをパーフェクトに合わせられるんだよ。
今回はどの曲でカポを使ったんですか?
「Right Outta Here」でカポを付けて演奏しているんだけど、カポを付けると特定の弦がシャープしちゃったりするんだよね。それをペグで微調整しようとするとカポ全体が少し引っ張られてしまい、問題がなかったほかの弦のピッチもズレてしまうんだ。特に低音弦だとね。でもファイン・チューナーがあることで、そういった苦労がなくなるんだよ。だからカポを使っても、Roadstarだとパーフェクトなチューニングになるんだ。あとハイ・ポジションも弾きやすくて、そこでのコードのボイシングがしっかり響くんだよね。
アコースティック・ギターもIbanezのものですか?
アコースティックな曲では、70年代中盤に作られたIbanezのアコースティック・ギターを2本使っている。ArtistとConcordっていうモデルだね。作曲する時、エリック(マーティン)と一緒によく弾いていて、気に入ったサウンドでレコーディングできるんだ。
ギターは世界中の色んなところで製作されているけど、“Made in Japan”っていうフレーズは、それだけでかなり価値のあるものになったと思う。日本製っていうだけで最高なギターだと思う人は多いんじゃないかな? 70年代から80年代にかけてのIbanezのギターは全部日本製だし、値段的にも驚くくらいお手頃で、素晴らしいよ。
あなたのシグネチャー・モデル、PGM1000は使いましたか?
もちろん新しいPGM1000も使ったよ。これは完璧なチューニングを維持してくれるギターなんだ。特にスタジオ・ワークではチューニングが大切だから、リズム・パートでけっこう使ったね。ちなみに僕はギター・ソロではクレイジーなベンドをするから、ソロではチューニングがそこまで重要なわけではないんだ。
あとはスライド・ソロをけっこうプレイするから、ギターにはスライド・バーを固定させるためのマグネットを貼り付けている。BlazerやPGM1000にもマグネットを貼っているよ。