ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したギターを本人が解説! ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したギターを本人が解説!

ピーター・ゴールウェイが佐橋佳幸とのジャパン・ツアーで使用したギターを本人が解説!

元ザ・フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイと佐橋佳幸がタッグを組み、2025年4月に日本の豪華ミュージシャンを多数ゲストに迎えたアルバム『EN』をリリースした。6月には大阪、横浜、東京で本作に伴うジャパン・ツアーを敢行。本記事では、ピーター・ゴールウェイがライブで使用したギターを本人の解説と共にご紹介しよう。

文=小林弘昂 通訳=トミー・モーリー 機材撮影=元気良一

Peter Gallway’s Guitar

2011 Gibson USA
Les Paul Studio ’60s Tribute

2011 Gibson USA / Les Paul Studio '60s Tribute

太いサウンドが特徴のメイン・ギター

今回ピーターが日本に持ち込んだギターは、2011年製のレス・ポール・スタジオ’60sトリビュートのみ。2015年に購入し、本国アメリカでもメインで使用しているものだ。ネックとボディにバインディングがないシンプルなデザインで、チェンバード・ボディを採用することで軽量化を実現した。

ピックアップはもとからP-90が2基搭載されているのだが、入手後にどちらもLindy FralinのP-90タイプに交換。ピーターは本器を使用する際はフロント・ピックアップのみを選択するとのことで、その太いサウンドが気に入っているそうだ。

Interview

ピーター・ゴールウェイ

いつもフロントに戻ってきてしまう。
この太いトーンが凄く好きなんだよね。

今回の公演で使うギターについて教えて下さい。

このレス・ポールは10年前に手に入れたんだ。ライブ用のメイン・ギターだよ。スタジオにはストラトキャスターやテレキャスターなど、ほかにもたくさんギターがあるけどね。今回日本には持ってきていないけど、いつもはバックアップとしてテレキャスターも用意するんだ。

改造したところはありますか?

ピックアップを交換したよ。Lindy FralinのP-90タイプで、ノイズがかなり抑えられているんだ。

基本的にはフロント・ピックアップのみを使っているのでしょうか?

うん。それだけだよ。ミックス・ポジションを使ってみたり、その時にリア側のボリュームを少し絞ったりも試したんだけど、結局いつもフロントに戻ってきてしまう。この太いトーンが凄く好きなんだよね。

今回P-90ピックアップのギターを選んだのは、佐橋さんがストラトキャスターを使うからですか?

佐橋との対比で選んだわけじゃないよ。今回のアルバム(『EN』/2025年)の大部分は音響ハウスでレコーディングしたんだけど、ほとんどの曲の自分のギターはアメリカのスタジオで録音したものでね。でも、バンドと一緒にライブでプレイする感じを強く求められて、佐橋が作った1曲だけでも音響ハウスでプレイしてほしいと言われたんだ。そういう理由から「Coltrane’s Blue World」だけはバンドで録ることになったんだよね。

そうだったんですかね。

バンドでライブ・レコーディングするのは好きだけど、プロデューサーとして参加していると自分をミュージシャンとして見るのが難しくなる。バンドで歌っている時は自分のことに集中しないといけないから、プロデューサーの視点から離れがちになるよ。

で、「Coltrane’s Blue World」をレコーディングする時に佐橋が1961年製のES-335を持ってきてくれて、僕はそれを弾いたんだ。ツアーをするという段階になって、佐橋が“あのES-335を使いたいか?”と聞いてくれたんだけど、全曲でES-335を使うのはちょっと不安があってね。

それはなぜでしょう?

ES-335は大きくて重いからね。でも『EN』のレコーディングでは何曲かでエピフォンのES-335を使ったんだ。サンバーストで……もしかするとES-335じゃなくてリヴィエラかもしれないな。

ヘッドストックに豪華なインレイがあるならシェラトンかもしれません。

正直なところ覚えていないんだ。確認してみないとね。でもそのギターは本当に気に入っていて、ピックアップがかなりグッドなんだよ。ここ10年以内に作られたギターだと思うな。中古で買ったんだ。でも今回は使い慣れているレス・ポールを持ってきたよ。そもそも僕はリード・ギターをプレイするわけじゃないからね。

あなたはシンガーソングライターですからね。

うん。僕はリズム・ギター・プレイヤーなんだ。トム・ペティみたいなリズム・ギターにも芸術的な価値があると思っているよ。僕の最初の心の師みたいな存在はジョン・セバスチャンで、素晴らしいリズム・ギター・プレイヤーだった。彼は50年代のサンバーストのレス・ポールを使っていてね。昔、1957年製のレス・ポールを僕に譲ってくれたんだ。でもそれは1969年頃に盗まれてしまって、とてもショックだったよ。

その犯人は重罪人です。

本当にそのとおりだね(笑)。あれが今も手元にあれば、もっと凄い宝物になっていたよ。それはさておき、僕はレス・ポールを、ビル・フリゼールやジュリアン・ラージがテレキャスターを使うような感覚で使っているんだ。ロックのリード・プレイのためにレス・ポールを弾いているわけじゃないんだよ。

これまでに様々なギターを所有してきたと思いますが、70〜80年代はどんなギターを弾いてきましたか?

自分のバンドでしばらくメインで使っていたのは、たしか1958年か59年製のゴールドトップのES-295だった。テレキャスターも一時期試していたけど、あんまり好きになれなかったな。あれは良い個体じゃなかったんだろうね。でも今は気に入っているグッドなテレキャスターを持っていて、ピックアップはLollarに交換している。そんなに古いものじゃないけど、サウンドが凄く好きなんだ。ローズウッド指板にLollarのピックアップっていう組み合わせが自分の好みなんだよ。

メイプル指板はどうですか?

メイプル1ピース・ネックには昔からあまり馴染めなくて、しっくりくることはなかったね。それがES-295をしばらく使っていた理由でもあるんだ。最近だとGodinのニューヨーカー・スタイルのギターも使ってるよ。モデル名は5th Avenueだったかな? アーチトップでP-90が1基だけ搭載されているやつだね。

もっと昔の話をすると、16歳の時、最初に手に入れたギターは63年製のストラトキャスターだった。そして78年頃にはハードテイルの65年製ストラトを購入して、それが長らくメイン・ギターだったんだよ。

Peter Gallway & 佐橋佳幸
“EN” Japan Tour 2025 with 屋敷豪太, 小原礼, Dr.kyOn
2025年6月26日(木)@Billboard Live TOKYO

【Setlist】
01. On The Bandstand
02. Running, Walking, Kicking The Ball
03. Save The Country
04. French Is Spoken Far From Here
05. Coltrane’s Blue World(with 山本拓夫)
06. Tokyo To Me(with 山本拓夫、松たか子)
07. Shinjuku Neon(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
08. Kyoto(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
09. English Football At The Prince Hotel(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)
10. Land Of Music

-Encore-
11. Good Lady Of Toronto
12. Sunday Basketball(with 山本拓夫、大貫妙子、松たか子)