Age Factoryの清水英介がライブで使用するペダルボードを本人が解説! Age Factoryの清水英介がライブで使用するペダルボードを本人が解説!

Age Factoryの清水英介がライブで使用するペダルボードを本人が解説!

2025年7月に6thアルバム『Sono nanika in my daze』をリリースしたAge Factory。本作のリリース・ツアー、『Age Factory presents “Sono nanika in my daze” Release Tour 2025』の最終公演である11月3日(月・祝)Zepp DiverCityでのライブにて、清水英介(vo,g)の機材撮影を行なった。本記事では清水が使用したペダルボードを本人の解説と共にご紹介しよう。

取材・文=森部真衣 機材撮影=星野俊 人物撮影=Kazma Kobayashi (Bearwear, UUWorks)

Age Factory / 清水英介 ライブ写真

Shimizu’s Pedalboard

Quad Cortexをフル活用する足下

【Pedal List】
①Peterson / StroboStomp Mini(チューナー)
②Radial / J48(DI)
③Neural DSP / Quad Cortex(ギター・プロセッサー)
④HOTONE / Ampero Control(MIDIフット・コントローラー)
⑤Blackstar / Live Logic(MIDIフット・コントローラー)
⑥Mission Engineering / TT-2(デュアル・フット・スイッチ)
⑦strymon / blueSky V2(リバーブ)
⑧strymon/ Ojai(パワー・サプライ)
⑨TC Helicon / VoiceTone C1(ボーカル用ハード・チューン/ピッチ・コレクション)

ギターからの接続順は、まず①StroboStomp Miniを通って②J48にインプット。今回のライブではレコーディングが行なわれていたため、ドライ・サウンドの録音用に②J48がセットされていた。

②J48のTHRU端子からは③Quad Cortexに接続され、③Quad Cortexのアウトからアンプ(Mesa/Boogie Dual Rectifier)のセンド端子にインプットされている。③Quad Cortexのセンド/リターンには⑦blueSky V2を接続。

③Quad Cortexは海外公演を視野に入れ、なおかつ機材トラブルを減らすために導入したという。本機のサウンドは基本的にDual RectifierとBasson B212から出力してマイクで集音されているが、XLR端子からライン出力もしており、外音はその2つをミックスしている。

③Quad Cortexと④Ampero Controlと⑤Live LogicはMIDI接続されており、⑥TT-2は④Ampero Controlと接続。④〜⑥の各スイッチにはそれぞれQuad Cortexのプリセットを割り当てている。

④Ampero Controlでは③Quad CortexのPRS McCarty用、Nash Guitars JM-63用の2つのプリセットを切り替えている。この2つのプリセットはそれぞれEQやコンプレッションの量を変えており、清水曰く”担ってほしい音域を完全に制御できるように分けています“とのこと。

⑤Live Logicでは③Quad Cortexで作成したクリーン/クランチ/ディストーション/ディレイの切り替えが可能になっている。割り当てられているアンプ・モデルとエフェクトは下記のとおり。

・Clean=Mesa/Boogie / Lone Star
・Crunch=Orange / AD30
・Lead=Marshall / JCM900
・Delay=Reverse Delay

また、アナログ感を出すため、すべてのプリセットに③Quad Cortexのコーラスをアサインしている。そうすることで真空管の“揺れ”のような質感を生み出しているという。こうした“裏技的な使い方”ができるところも、③Quad Cortexを使用する理由になっているとのこと。

③Quad CortexではDeath By AudioのFuzz Warをキャプチャーしたサウンドを作成しており、⑥TT-2はそれを呼び出すフット・スイッチとなっている。清水は曲中だけでなく、曲と曲とのつなぎやハウリングを起こしたい時にファズをオンにすることもあるという。

リバーブは③Quad Cortex内のものを使用せず、以前から愛用している⑦blueSky V2をセット。リバーブは“その日のテンションによって当日セッティングを変えることがある”そうで、すぐにノブの調整ができるよう、馴染みのある本機をいまだに使用しているという。この日はRoomリバーブにセットされ「HIGH WAY BEACH」や「Sono nanika in my daze」でオンに。ライブによってはShimmerリバーブを使用したり、LOWとHIGHをMAXにし、よりエフェクティブなサウンドにすることもあるそうだ。

⑨VoiceTone C1はこの日のライブでは使用されなかったが、ボーカルにオート・チューンをかけることもあるとのこと。

Interview

真空管の“揺れ”のような質感を
コーラスで補っています。

清水さんはもともとアナログ・エフェクターを使っていたと思いますが、Quad Cortexを導入したキッカケを教えてください。

僕はずっと実機のエフェクターを使いたかったんですけど、フェスみたいな環境でライブを行なった時にトラブルが起こったり、それに対するリカバリーができないことがあったんです。海外の公演が増えていくと電圧の違いもありますし、Quad Cortexのほうがトラブルの数が減るなと思って変えました。

なるほど。

以前、歪みをLine 6のHelixで作っていた時はあんまり上手くサウンドメイクができてないなと思っていたのですが、Quad Cortexはローディーの方と一緒に音を作っていく中で、“あ、そういうところでその部分の処理ができるんだな”っていう裏技みたいな機能を見つけたんですよね。ガッツリ信号を分岐したり、薄くショート・ディレイをかけることによってデジタルの感じをリカバリーできる点もあって、そこからは違和感なく使えるようになりました。

PRS用とJM用の2つのプリセットがありましたが、どういった違いがありますか?

EQやコンプレッションの量が違いますね。それぞれのサウンドの違いは活かしつつ、音圧など、それぞれ担ってほしい音域に関しては完全に制御できるように分けています。3ピース時代の曲は、僕が当時から弾いていたアルペジオなんかのフレーズが前に出てほしいっていうこともあって、いまだにシングルコイルのギターをメインで使っているんですが、4人編成になってからは僕がハムバッカーのギターでバッキング側にまわっています。

クリーン・サウンドではMesa/Boogieのプリセットを使用しているそうですね。

Lone Starのモデリングを使っていたと思います。

クランチはOrangeのモデリングなんですよね。

そうです。モデル名はAD30です。

クランチのプリセットに、Orange AD30以外のエフェクトは入っていますか?

AD30だけだったと思いますね。ほかのエフェクトはたぶん入れてないです。Quad Cortexにはクランチ系のエフェクトがあんまりなくて、アンプ・モデリングだけで音を作りきりたいという話になりました。

そしてギター・ソロではマーシャルのモデリングを使用しているということで。

JCM900のモデリングです。基本的にコンプレッサーをかけていますが、それもだいたいミックス30%以下なので、そこまで特殊な音を作っているわけではないと思いますね。

ファズもQuad Cortex内のエフェクトで作っているんですか?

Death By AudioのFuzz Warが昔から大好きで実機を使っていたんですが、トラブルがあったということもあって、Quad Cortex内のFuzz Warのプリセットを使っていますね。

このファズはどの楽曲で使用していましたか?

「3」、「漆黒」……あとは曲と曲のつなぎでも使います。ハウリングさせるために踏んだりもしますね。

ディレイのプリセットについても教えてください。

ディレイはリバース・ディレイです。特にモデルとかはないですね。

ほかにQuad Cortex内でエフェクトは使っていますか?

さっき言った裏技的な使い方で、全体的にアナログ感を出すために、真空管の“揺れ”のような質感をコーラスで補っています。

リバーブだけstrymonのbluesky V2を使用しているのはなぜですか?

昔から本当にblueskyが好きで。あとは当日のテンションによってリバーブのセッティングを変えたりするんですけど、blueskyは馴染みがあるので、すぐに変えやすいっていう理由もありますね。今回のツアーではRoomリバーブを使いましたけど、いつもはShimmerにしたり、あとは曲と曲のつなぎの時にはLOWとHIGHをMAXにしてエフェクティブな音で使っています。今回のライブでは演奏していないんですけど、「Lonely star」っていう曲や、シューゲイザーっぽい曲ではセッティングを変えていて、すぐに変更できるようにしています。

2025年11月3日(月・祝)Zepp DiverCity

【Setlist】
01.陽炎(SE)
02.rest/息
03.海に星が燃える
04.Shadow
05.3
06.漆黒
07.hernoiz feat. YDIZZY
08.CLOSE EYE
09.向日葵
10.Dance all night my friends
11.HIGH WAY BEACH
12.may feat.lil soft tennis
13.プールサイドガール
14.TONBO
15.1994
16.Blood in blue
17.Everynight
18.鳴っていたピアノ
19.Because
20.Sono nanika in my daze