アイバニーズの新シリーズ“Advanced Acoustic”より、ドレッドノートの進化系アコースティック・ギターが登場

AAD100-OPN

　AAD100-OPNのボディ・シェイプは先に書いた“グランド・ドレッドノート”と名付けられたもの。数年にわたる研究開発の中、ドレッドノートのシェイプをゼロから見直して生まれた新たな形状だ。標準的なドレッドノートよりも大きめのボディによって、音量に加え豊かなトーンとロー・エンドが実現された。

　ボディ材はトップがシトカ・スプルースの単板で、バックとサイドがオクメ。明るく抜けの良いサウンドを特徴とする。

　トップの裏側のブレーシングは“X-M”。X型の形状からつながるトーンバーのエリアがMの文字のように見えるため、こう呼ばれる。このブレーシングにより、アンサンブルの中でも埋もれないクリアな低音域、ウォームな中音域、クリスピーな高音域を実現。また弦振動をブリッジを介してボディへ効率的に伝えることで、幅広いダイナミック・レンジと高いレスポンス性をも獲得している。

　ネックには“サーモ・エイジド処理”が施されたニャトー（ナトー）材が採用されている。真空高温の環境下で加熱するこの処理により、木材内に含まれる不要な樹脂と水分が取り除かれる。その結果、軽量で硬く、狂いの少ない材となり、レスポンスが向上する。

　ネックのグリップは、コードの押さえやすさを念頭に置いて設計された緩やかな楕円形。ほどよい厚みが感じられるよう、ネック厚は1フレット部分で21mm、7フレット部分は22ｍｍ、ナット幅は43mmに設定されている。ネックを握り込みやすく、セーハしたときも各弦を押さえやすいバランスの取れたグリップ形状だ。さらに指板サイドのエッジ部分はラウンド形状に加工され、スムースなフィンガリングが可能となっている。

　ヘッドストックには新たに設計されたテーパード形状が採用されている。軽量化とチューニングの安定性を追求して生まれた形状だ。

　ブリッジには弦に沿ってスキャロップド加工が施されている。この加工によって弦振動が効率良くトップ板に伝わり、豊かな鳴りが得られる。

AAD140-OPN

　AAD140-OPNはボディのトップにオクメの単板材を採用したモデルで、豊かな中低音域を特徴とする。その他の仕様はAAD100-OPNと共通だ。

AAD300-CE-LGS

　AAD300-CE-LGSはマグネティックとコンタクトのふたつのピックアップを搭載したエレクトリック・アコースティック・ギターだ。先の2モデルとは異なる点について説明しよう。

　指板の終端に取り付けられているマグネティック・ピックアップは“AP11”。この位置に固定することで、ボディ・トップのレゾナンスを損なうことを避けている。

　また弦振動をダイレクトにとらえるので、レスポンスが良く、ピッキングのニュアンスも正確に表現。アンダーサドル・タイプのピックアップに比べてハウリングのリスクが低く、リバーブやコーラスなどのエフェクターの乗りが良いことも利点だ。

　音はマグネティックらしい中音域の存在感を持ちつつ、ナチュラルなアコースティック・トーンに調整されている。

　ブリッジ下にはコンタクト・ピックアップが取り付けられている。生音で弾いている時の空気感やタッチの繊細さ、ボディ・タッピング時のパーカッシブなサウンドも、このピックアップがナチュラルにとらえて出力する。

　それぞれのピックアップの音量は、ボディ・サイドに取り付けられたふたつのノブで独立して調節できる。ボディのバック側に近いノブがマグネティック・ピックアップ用で、トップ側がコンタクト・ピックアップ用だ。

　ボディ・エンドにはふたつのジャックがある。エンドピン・ジャックのみにケーブルを接続すると、ふたつのピックアップからの信号がミックスされて出力され、両方のジャックにケーブルをつないだ時は、エンドピン・ジャックからはマグネティック・ピックアップ、オープン・ジャックからはコンタクト・ピックアップの信号が分かれて出力できる。これによりピックアップごとの音色調整や、片方のみにエフェクトをかけるといった使い方も可能となる。

　もうひとつ、AAD300-CE-LGSが先の2モデルと大きく違うのは、こちらがカッタウェイを持つモデルであることだ。本モデルのカッタウェイは18フレットという深い位置から始まっている。

　またヒールの下部は角度を付けて削いだような設計になっており、これによりハイ・フレットでの演奏性が非常に高くなっている。なおカッタウェイ付きであってもノン・カッタウェイ・モデルと同等のボディ容積が確保されているとのことだ。

　指板の側面のドット・ポジション・インレイには、高い視認性を誇る蓄光材が採用されている。これにより暗いステージや照明がめまぐるしく変化するような環境にも対応できる。